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#6.SING & SMILE に学ぶ? ボカロアイドルポップの世界【曲紹介・感想】

※分かりやすさを重視して、今回のコード進行に関する説明はすべて「Cメジャー」にキーを揃えます。何言ってるか分からないよって人はよければ僕の過去のnoteをご覧ください…!

どうもぐりーんです。ミクさんを買ったのに前後して、リアルも忙しくなっちゃって色々な方面に手が届かなくなってます。noteもそう。決してやめたわけじゃないんだよ。

前回で一区切りを付けたつもりなので今回から新章です。前回までは「衰退論」と「コード進行」をテーマにしてきた感じになってると思うのですが、今回からのコンセプトは今は決めてません。半端になってる「コード進行」のお話は少しずつ進めていきます。

「さぁ 歌いながら行こう」

というわけで今回は来たる今年の12/5に投稿10周年を迎えるこの名曲。Re:nGさんの「SING & SMILE」です。これを書いてる今はニコボ公式のプレイリスト「元気になれる曲」でもピックアップされていて「おおっ」てなりました。3DSのproject miraiだったかな、の中では他のクリプトン組によるカバー版も聴けたりするみたいですね。是非聴いてみたいです。

最近この曲を何の気なしに聴いてたとき、こんなにアイドルポップらしいアイドルポップってボカロにはなかなかないなと思って。これは膨らませてnoteにまとめるべき話題じゃん!って思ったが吉日、書いてやろうというのが今までの流れですね。ヘビロテ突入。

ボーカロイド「初音ミク」の得意分野

最近流行りのv_flowerちゃんは「ロック専門」と銘打たれたボカロなのは知ってる方も多いと思います。同じように、多くのボカロキャラにはそれぞれの得意ジャンルが存在します。今でこそ、人気キャラであればあるほど様々なジャンルに対応するべくして作られたいわゆる「アペンド」的な位置付けのライブラリがあるケースも増えましたが、「SING & SMILE」の発表された2007年のザ・黎明期にはそんなものはありませんでした。そしてその当初、発売されたての初音ミクの得意ジャンルと言われていたのが「アイドルポップ/ダンス系ポップ」でした。このジャンルを得意とする系譜は今もV4X ORIGINALに引き継がれています。すなわちアイドルポップというのは、「最も知られたベーシックな初音ミクの歌声」によって歌われることを想定されたジャンルの1つなのです。

アイドルポップらしさとは

黎明期のミク曲と言われたら皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?「みくみく」「メルト」「うろたんだー」「ロイツマ」…などなど色々あると思います。この辺はリンク割愛です。

今回の話に絡めた感想を述べるなら、うろたんだーとロイツマは置いておくとしても「みくみく」「メルト」はアイドルポップの要素を含んでいる楽曲だといえると思います。キャラを売り出す曲、若者の共感を呼ぶラブソング、どちらも鉄板ですよね。ただ、僕はこの2曲を王道を極めたアイドルポップとするには若干の違和感を感じるわけです。浮かんだ理由としては2つ。

◯浮き彫りになるアイドルとの相違点、質的要因
◯コード進行やメロディ、リズムなどの音楽的要因

先に質的要因の話をざっくりと。端的に言ってしまえば僕が思うには「初音ミクの歌」はアイドルよりもむしろ歌姫のそれだと思います。例えばメルトの音域を、アイドルがあんなに綺麗に再現しようと思ったら一筋縄じゃいかないとかそんなレベルじゃないと思います。もっと言えば、ビブラート、レガート、こぶしなどなど様々な技術的なことがミクさんにはいとも容易く出来てしまいます。恐らくこれができるアイドルがいたら、その人はそのままソロ歌手でやってくべきです。知らないだけでそういう例もあるかもしれないですが…?

もちろん、ミクさんにはサイリウムを振って、コールを打ってくれ、グッズも買って身につけてくれるようなファンがいて、サービスもアーティストというよりは明らかにバーチャルアイドルのそれです。ただそれはキャラクターのお話で、歌を歌うボーカロイド初音ミクは良い意味でアイドルっぽくないというのがここでの僕の主張です。

そしてもうひとつ、当然ですがミクさんには人間臭さがありません。例えばAKB系列のグループは、メンバーそれぞれの背景にあるドラマをドキュメントとしてまとめて公開するなどして「若い女の子たちの頑張る姿」を見せてきました。総選挙というイベントもそのドラマを劇的にする大きな要素でした。二次元のアイドルでいっても、ラブライブやアイマスにはアニメ、すなわちストーリーが存在しますよね。そこでそのキャラのなりが分かったり、共感を呼んだりというファン獲得の形は珍しいものではありません。

ミクさんにもエピソードは多々ありますが、上に挙げた例とは明らかにたもとを分かつものだと思います。ボーカロイドというコンテンツが他と比較できない唯一無二の文化なこともありますが、ミクさんたちはアーティストとアイドルの中庸を行く存在という感じがします。むしろどちらでもない新たな存在なのかも…

アイドルポップの花形「カノン進行」

今回メインのお話はこれです。皆さんの賛同が得られるかはわかりませんが、僕はみくみくのメロディラインってカッコ良すぎてアイドルっぽくないなって思うんです。じゃあぐりーんがアイドルっぽいなって思った曲は何なのか。そう、それが SING & SMILEでした 。最初のサビ聴いてビビっときて、Bメロくらいまで聴いて確信しました。

少し話が脇道に逸れますが、AKB48が全盛期だった7年ほど前のこと、なにかの特番で彼女たちの曲が何故若者を惹きつけるのかが解説されていたのをはっきり覚えています。そこで出てきた魔法の言葉が「カノン進行」。調べてみるとAKBだけでなく、ラブライブ関連楽曲でも一番使われているコード進行みたいですね。アイドルポップ界の王道進行だこれは。

さて、そんなカノン進行がカノン進行と呼ばれるのはこの進行を有名にした曲がカノンという曲だからです。パッヘルベルのカノン、皆さんはご存知でしょうか?きっとどこかで聴いたことはあると思います。ぐりーんはクラシックはさして詳しくないのですが、この曲は小学生の頃にリコーダーで吹いた思い出があります。聴いてて気持ちよくなってしまう普通にいい曲なので困ります。バロック期から今に至るまで数百年レベルで愛され続けているというのは物凄いことですね。

このカノン進行、カノンを知ってればなんとなくお分かりいただけるかもしれませんが原則長調のコード進行なんですね。過去にも話したように短調の曲が多いボカロ曲では珍しく、明るい曲の多いアイドルポップに多用されるのは頷ける話です。(ちなみに短調カノンという変則型もごく稀にあります。例だけ上げておくと、悪ノ召使などがそれです。むしろボカロではそれしか知りません。)

さて、具体的な進行内容を見てみましょう。
C G Am Em F C F G
これが基本形です。後ろ四つを少しいじって応用を効かせるパターンがよく見られます。ここでは説明を割愛しますが、具体的にどう応用するんだって話がニコニコ大百科のカノンコードの記事でも書かれているのでそちらもご参照ください。記事が作られるほどメジャーな進行なんですね。

ここではこの基本形の一つ一つがどんなはたらきをしてるの?っていうお話をしようかな…と言いたいところなんですが、少しアプローチを変えた説明をします。
カノン進行に関していうならば、聴いていて心地よくなれるこだわり抜かれた配列をしてるなというのが全体を俯瞰したときの所感。C → Gの流れがその「心地よさ」をリードして、そこから構成音としてはカノン原曲の通り少しずつ降下していきます。これが C G Am Em F までの流れ。マイナーコードが含まれているのは音楽的なルールの都合でもあるのですが、それを遵守してるがゆえの心地よさでもあるのです。

後半4つについては先も触れた通り比較的自由なアレンジが効きますが、基本型のF C F Gはよくいえばとても美しく綺麗に並べられているという感じです。裏を返せば無難なところに落ち着きすぎていて、個性を出しにくいということが挙げられます。

そんなところです。かなり雑ですがご容赦ください。
ちなみに、ボカロ曲以外の主なカノン進行(派生形も含む)の曲をザッとご紹介。

恋するフォーチュンクッキー」AKB48
僕らは今のなかで」μ's
」中島みゆき
桜坂」福山雅治
Emerald Sword」Rhapsody
Butterfly」和田光司
負けないで」ZARD

…正直キリがないのでこの辺にします。アイドルポップに限らず、優しく暖かい雰囲気の楽曲ではよく用いられてますね。つべやニコニコに曲のあるやつはURL貼っておくので興味ある方は是非ご一聴あれ。一部原盤の音源じゃないけど勘弁。

SING & SMILE の話をします。

さすがにこの曲の要素がカノン進行!だけなのはこの曲の紹介と銘打つ以上失礼な話だなと思いまして。僕が思うに、SING & SMILEのアイドルポップ要素は他にもあります。これは間違いない。それを列挙して語りますね。

◯アイドルソングに欠かせないPPPH
アイドルかアニソン歌手、もしくはボカロや歌い手さんのライブに行くことがある人は「あっ」と思ってくれるかもですね。PPPHは「パンパパンヒュー」の略です。よくBメロあたりでパンパパンって手拍子打つか、もしくは口を大にして「オーーッハイッ」ってコールするアレです。SING & SMILEのBメロはそれができます。かなりやりやすいです。聴いてみてください。

◯アイドルポップらしさに満ち溢れた歌詞
僕は文脈を読み取るの得意な方ではない自覚があるんですけど、この曲は歌詞解釈とかするまでもなく歌詞がズドーンと刺さってきます。これは「みくみく」や「メルト」もそうですね。サビの「あなたの笑顔が誰かをきっと幸せにするよ」「世界は変えられるよ」とかめっちゃくちゃ元気もらえるし、Bメロの「とっておきのパワーをあげる!」「もっとドキドキさせて!」はミクさんからリスナーへの語りかけになってて、曲自体がミクさんと我々の双方向のコミュニケーションになってて「ああああ!ミクさん!」ってなります。なりませんか…?限界オタクの痴態晒してすみません。

総括とアイドルポップなぼかうた紹介

結論:カノンは偉大!ミクさん可愛い!

の一言ですね。総括おわり。

最後に、カノン進行で比較的アイドルポップ寄りなボカロ曲を数曲貼っておしまいにします。有名なの多めですね、そして調べてて思ったけどやっぱり古い曲の方がアイドルポップ多いですね。

恋スルVOC@LOID
メタな歌詞内容に広い音域も相まってミクさんにしか歌えないアイドルポップですね。でもアイドルアイドルしてるなと思います。

コンビニ
コンビニの店員さんへのラブソングですね。これは文句なしのアイドルポップではないでしょうか。

おちゃめ機能(リンクはろんの歌ってみた)
ボカロじゃないじゃんって言われたらそれまでなんで見逃して。ポップで洗練された可愛いメロディが魅力的。

愛言葉
愛言葉Ⅱも該当しますね。この曲もやっぱり例に漏れることなく心温まるなあって曲です。

◯星の唄
buzzG。かなり基本形からは外れていますが、サビの頭はC G Em Amと流れます。EmとAmの順番を入れ替えて曲の印象に変化を与えています。

◯歌に形はないけれど
アイドルバラード(?)ですね。テンポを遅くしてピアノで弾くとこういう優しいバラードにも応用できます。応用というか割にベーシックな感じがします。

最後になるけれど、ぐりーんも今年の10選について既に少し考えています。何曲かこれは内定だなあって思う曲があるんですけど、その1曲にこのカノン進行の使われ方が秀逸過ぎてどハマりした曲があります。年末が近付いたらそのお話が出来ればいいなと。

それでは今回はこの辺で、ですね!お疲れ様でしたぐりーんでした!

#vocanote #vocaloid #曲紹介 #感想 #コード進行


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