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14年来の親友Sの結婚式へ

2022年12月18日、中学からの親友Sの結婚式に参列した。












中学1年生のころの私は、あまり良い家庭環境ではなかった。


母は浮気を繰り返し、父との喧嘩後、1か月ほど家出をしたかと思えば◯百万の借金を作って帰宅し、父に「払え」と言った。父名義のカードを使えるまで使ったがそれでも足らず、闇金から金を借りてまでホストに貢いでいたらしい。
こりゃ大変だ!ということで急いで弁護士に相談、自己破産した。(精神病ということで半分以上免除された)
母はブラックリストに登録されたためクレカを作れず、父もカードや通帳を渡さなくなった。




そんな状況だったけど、私は中学生だったので正直あまりよく分かっていなかった。
ただ、夕飯や学校に持っていくお弁当がないので、私が「みんなの分作ろうか?」と言うと父から「弁当は冷食でいい。お前は母親のようなことをするな。勉強や部活を頑張りなさい」と言われた。


でも、中学は周りから無視されてたり変な噂を流されていたので行きたくなかったし、勉強は嫌いだし、なんとなく入った合唱部は楽しくないし。


母親は病気が悪化し引きこもって可食嘔吐やリスカを毎日のように繰り返してるし。父はストレスで寝込んでるし。兄は我関せず、ゲームばかり。
私は誰のために?何のために?生きてる意味ある?死ねたらいいのにな~なんて。




ふわふわと流されるままに過ごして2年生になったとき、出会ったのが同じクラスになったS。
私もSも、同じクラスに仲の良い人がいなかったので余りもの同士なんとなく集まった感じ。
Sも合唱部だったので1年の時から存在は知っていたけど、ほとんど話したことはなかった。Sの第一印象は「芋っぽいな~」。(私もいわゆる陰キャの一人だったので人のことを言える立場ではない)




Sとつるむようになって間もないころ、一緒に部活に行ったら「あれ?Sちゃんほしノちゃんと仲良かったっけ?」と、Oちゃんから話しかけられた。
OちゃんとSは小学校が同じだったらしい。私はOちゃんのことは知ってはいたけど、Sの友達という認識程度。
Sが「同じクラスになったの~」というとOちゃんが「Sちゃんと仲良くしてくれる子なんているんだwww」と笑った。
私はちょっと違和感があったけどSが「ひどーい!」とにこにこ笑っていたので「まあ二人の中での冗談なのかな?」と気にしないようにした。



その後、Oちゃんとも部活の時によく話すようになったけど、Oちゃんは「Sちゃんは何でもいいよね」「Sちゃんなら許してくれるからw」「Sちゃんほんとどんくさいね~」など、いつもSにキツめのいじりをしていた。
Sがいない時でもOちゃんと話したりしたけど、Sに見せる態度は私には見せなかったので、OちゃんはSのことをすごく下に見てるんだなあ…と思った。


そのころの私とSはかなり仲良くなっていた。
確かにSは困った顔が可愛いからいじりやすい。
でも、Oちゃんに貶されるほどダメダメではない。

誰にでも優しく、明るくポジティブで、相手と波風を立てることなく接することができるし、差別や人の悪口もほぼ言わないし、毎日勉強を頑張っていて成績もすごく良いし、私のくだらない話をにこにこ笑って聞いてくれるようなとってもいい子。
間違いなくOちゃんよりもいい子。

私はSを貶すOちゃんを鬱陶しく思うようになっていた。
SはOちゃんのことをどう思ってるんだろう?と思って聞いてみたけど「昔からあんな感じだし私がいじりやすいから~」とにこにこしていた。
私は余計に許せなくなり、OちゃんとSがあまり話さないようにわざと間に入ったり、OちゃんからのSへの冗談に「ひどw」など言ってみることにした。
Oちゃんは私たちの仲の良さを察してかあまり話しかけてこなくなった。



Oちゃんとつるまなくなり、私とSはより仲良くなった。
部活を一緒にサボって出かけたり、別れるのが惜しくて学校帰りに何時間も話し込んだり。
私は自分の家庭のことは詳しく話さなかったけど、私の冷食だらけのお弁当を見てもSは「冷食っておいしいよね!」と笑ってくれた。



Sの存在はあの頃の私にとってすごく有難かった。Sがいなければ私は中学時代を乗り切れなかったかもしれない。




そんなSとの仲は私が高校卒業後、社会人になってからも続いた。
Sは大学生となった。



キラキラした大学生活。
私が夜遅くまで残業したり、セクハラを受けたり、失敗して泣いている間にSはインスタに美味しいごはんをあげている。
毎日楽しく元気に生きているSが羨ましい。


Sから聞かされる悩みもすごく小さなものに思えてキツいことを言ってしまったり、私が勝手に不機嫌になりSを困らせてしまうことが増えて、私はSとあまり会わなくなっていった。
誕生日や年始の挨拶などもあまり連絡しなくなった。




2017年、私の誕生日ごろに家族で出掛けて夕方に帰ってきたら、自宅の玄関に大きな袋がかかっていた。
Sからだった。私に直接プレゼントを渡すために家まで来てくれたのだ。


袋を開けると、ふわふわのかわいいトートバッグと、長文の手紙が入れてあった。
その手紙には「前のように仲良くしたいこと」や「私のことを変わらず好きでいてくれていること」などが書かれていた。


不在にしたことを後悔した。
すぐにお礼の連絡を送ろうと思った。
が、私はSと上手く付き合える自信がなかった。
仲直りできたとしてもまたSにキツく当たったりして傷付けてしまうのではないか…。


結局、お礼の連絡はしなかった。
Sなら誰とでも仲良くできるはず。私より仲のいい友達なんていくらでもいるだろう。
私はSとはもう仲良くなれないと思ったので、今後も仲良くする気もないし、このままでいいんだと思うことにした。


その後、時々連絡を取ったりもしたがなんとなくぎこちない関係のまま、3年ほど過ぎた。




2020年9月30日。私の25歳の誕生日。
何があったのか忘れたが、とても病んでいた。
「誕生日なのに病んでる。死にたい」のようなことをインスタのストーリーに投稿した。



そのあとすぐ、SからLINEが届いた。
私への誕生日のお祝いと、職場の人間関係でうつ病になって会社を休職していると。

Sは、会わない間に私の母親と同じ病気になっていた。
私はすごく驚いたが、ずっと関わっていなかったくせにLINEで根掘り葉掘り聞くのもどうかと思い、とりあえず会うことにした。



10日後、Sに会った。
久しぶりに会ったSは、今までとは少し印象が違っていた。
雰囲気はそこまで変わらないけど、なんだかおっとり、ふわふわ?している。

私が「なんかふわふわしてるね」と言ったら、「え?そうかな?病気で毎日めまいがするからそのせいかも」とSが言った。


母親がいつも「めまいがする」と言って四つん這いで家の中を這いずっていたのを思い出した。
あの時は、1日中めまいが起こることなんてある?と母が心配されたくて嘘を言っていると思っていたけど、Sを見て嘘ではなかったんだと気付いた。
母はSよりも症状が重かったし、もっと支えてあげられたら良かった。


そして、これからSを支えてあげたいと強く思った。
Sには申し訳ないけど「母を支えてあげられなかった罪悪感」を重ねていたと思う。




それから私たちは月イチで会うようになった。
カフェで話したり、カラオケに行ったり、日帰り旅行に行ったり。

Sとのカラオケは何時間でも歌ってられる


Sは体調の波はあるけど、私との時間をすごく楽しんでくれて、嬉しかった。
私たちは一時期険悪だったのが嘘みたいにまた仲良くなった。中学生の時よりも仲がいいと思う。

日帰りで京都へ


この時からSは長年付き合っている彼と結婚式を挙げるのが夢だと語っていて、2021年に結婚し、2022年に結婚式をする予定だから絶対に来てほしいと言われた。
お相手の彼はすごくいい人で、Sの病気をよく理解し、Sへの溺愛っぷりがすごいので、この二人なら良い結婚式をするんだろうな…と楽しみにしていた。




結婚式を目前に控えた2022年秋ごろ、Sから嬉しい報告があった。

「そいえばね、うつ病が治ったの!自立神経の病気も併発しちゃったからそっちはまだなんだけど…」


こんなに嬉しいことはない。泣くかと思った。
正直、結婚式の準備が大変だとよく聞いていたから、病気が悪化しちゃうかもと思っていた。
悪化しないにしても、うつ病が簡単に治らないということは痛いほど分かっている。(母は私が2歳の時に発症し、今現在も治っていない)
まだ全部が治ったわけではないので安心はできないが、一つ治しただけでもすごいことだ。

家族や旦那さんの支えもあるだろうけど、何よりも本人がすごく頑張った結果。
私は自分のことのように嬉しかった。








そして迎えた結婚式当日。
チャペル後方の大きな扉が開く。
そこには真っ白のウエディングドレスを纏ったSの姿があった。
その瞬間、私は、Sと出会ってから今日に至るまでを思い出していた。


中1で私が不登校になっていたら?
部活に入らなかったら?
Oちゃんと仲良くしていたら?
高校、大学と関係が続かなかったら?
あの時Sが私に連絡をしてくれなかったら?


今までの全部の偶然が重なって、この瞬間に私を連れてきてくれたのだと思ったら涙が止まらなかった。
Sも私を見つけて涙が出たらしい。


病気だと聞いたときはすごくショックだったし、驚いたけど、良い人と結婚して、理想の結婚式を挙げることができて本当に良かった。
たくさんの人に祝福されてにこにこ笑っているSが、本当に綺麗だし、かわいいし、自慢の親友だ。
良い旦那さんに出会えたのも、たくさんの人が祝福してくれたのも、Sが本当にいい子だからだろうなあ。
私は色んな想いが溢れてずっと涙腺ゆるゆるだった。

異世界感やばい


私の彼も連れて行ったのだけど、彼は「いくらかかってるんだろう…」ということばかり言っていた。


確かにすごく大規模な式だった。
これより少し前に参列した他の友達の結婚式と比べるとスケールが違いすぎる。
参列者もかなり多いし、チャペルが立派すぎる。
立派すぎて「ここは本当に日本なのか?」と、ちょっと笑ってしまうくらい。

この写真が好きすぎて
しばらく私のスマホのホーム画面になっていた

式後は外に出てブーケトスがあった。
今回のブーケトスは「独身女性」ではなく「女性全員」が対象のコスメブーケ。
ブーケトス初体験の私はわくわく!取れるといいなー!

だが、女性全員が対象といえどもやはり遠慮してしまうのが日本人らしく、式場スタッフから「もう少し新婦の周りに集まってください!」と言われても周りの人が全然集まらない。
私はあまり遠慮というものがなく、周りの人が集まらないのが不思議でならなかったため堂々と前の方に出たら周りの人もやっと動いたようだった。

ブーケトスが行われたが、誰も受け取れず花が地面に落ちてしまったので、一番近くの人が拾うかな?と思っていたらまたも「遠慮」というやつが邪魔をして誰も動かないので私が光の速さで拾った。

端から見るとガツガツした女と思われたかもしれないが、こんなにも多くの参列者がいて、誰も受け取りに行かないのはよく分からなかった。
むしろみんなもっと奪いに行くものだと思っていた。

ちょっと恥ずかしい気持ちもあったけど、Sも「取ってくれてありがとう!」と喜んでくれたので結果的には良かったかな。

コスメブーケ(自宅にて撮影)


披露宴会場に移動し、新郎新婦の入場後、友人代表挨拶。


当初、Sは私に友人代表をお願いしたいと言ってくれていたけど、友人代表スピーチ枠が1人だけらしく、私と新郎は特に接点がないため、新郎新婦と接点がある大学の先輩になった。


正直、それを聞いたときすごくショックで数日落ち込んだのだが、当日、参列者を見て(Sの大学時代の友達だらけ)この中でスピーチする勇気ないな…と選ばれなくて本当に良かったと思った。

ケーキ入刀。
Sの笑顔が本当にかわいい


運ばれたご飯を食べながらのほほんとしていたら突然会場が暗くなる。


実は、この日はSの誕生日。
新郎からのサプライズで参列者からSへの誕生日ムービーが流れた。
もちろん私も参加している。スクリーンいっぱいに自分の顔面が表示され、恥ずかしい~!
笑われてないかな?とSを見たら号泣してくれていた。喜んでくれたみたいで良かった。


そのあと、新郎からSへバラの花束が渡されて、感動して私ももらい泣きをしてしまった。

新郎の溺愛っぷりはすごい。まるで私の彼みたいだなあ。
Sも私も、自分を溺愛してくれる相手に出会えて良かった。

彼氏、いつもありがとう


サプライズムービーでひとしきり泣いて、ふう、と一息ついたところで会場が明るくなり、司会者からのアナウンス。
「Sさんはお色直しのため退場となりますが、一緒に退場してもらいたい方がいらっしゃるんですよね??」

ん??まさか、、、

Sが司会者からマイクを受け取り、私を呼んだ。

ええ~~まじか!めっちゃ嬉しい~!でもめっちゃ恥ずい!!と早足でSの元へ。
私が嬉しくて大泣きしたら、Sも泣いていた。

私を選んでくれてありがとう


Sと一緒に退場。Sは泣きすぎでメイクがほとんど落ちていたが、やっぱり綺麗だった。
ドレス歩きにくそうだけどいいなあ~着たいな~~なんて。

Sの隣はやっぱり安心する


お色直し後のドレスの色当てゲームがあり、紫(Sの好きな色)、青、ピンク、オレンジのサイリウムから選ぶ方式。

やはりSの好きな色である紫をみんな選びがちだったけど、私はそんな分かりやすいゲームするかな?と疑って除外。青はSのイメージに全くなかったから除外。ピンクはありそうだな~めっちゃありえるな~と散々迷って結局オレンジにした。
彼氏にはピンクを渡した。



そして、お色直しをして出てきたSは赤っぽい濃いピンクのドレスを着ていた。

うわ~~外した!!親友として一生の恥だわ…と落ち込んでいると、彼氏がにっこりしながら私のサイリウムを奪い取ってピンクと交換してくれた。
愛してるぞ、、彼氏、、

この写真お気に入り

それにしてもめちゃめちゃ綺麗。似合いすぎてる。
今までSのことをかわいいと思ったことは何回もあるけど、綺麗だと思ったことはあんまりなかったからすごく新鮮。(失礼)




そのあとはSから両親へメッセージ。
Sの口から両親への感謝などほぼ聞いたことがなかったので(特にお父さん)、Sの素直な言葉にめちゃくちゃ泣いた。

(私、Sの親だったっけ?)


メッセージを読み終えたあとは、花束を渡しにSが両親のもとへ。
Sは両親と抱き合い、泣いていて、それがまた美しい涙だった。

私たちの席が親族の席からめちゃめちゃ近かったので目の前でその様子が見れてとてもよかった。
一連の流れを動画に収めた……つもりだったけど、うまく録画できていなかった……めちゃくちゃ悔しい。




披露宴が終わり、帰り際。
新郎新婦とご両親がお見送りしてくれた。

式場の時間が押していて一瞬だったので「おめでとう!いい式だった!ありがとう!」ぐらいしか話せなかったけど、Sと離れるのが寂しくて、改めてSのことが大好きだなあと感じた瞬間だった。
(その横にいたお母さんとはめっちゃ話した。Sのご両親も大好き)

流行っているらしいコストコのリンゴジュース。
めっちゃ美味しかった






改めて結婚おめでとう!!

結婚式というSの人生の中での一大イベントに立ち会えて本当に良かった。
呼んでくれてありがとう。



私という人間を理解してくれて、死にたいなんて思ってもいつも一瞬で前を向かせてくれるSが本当に大好き。

私がなかなか言えない感情を言葉にしてくれて、代わりに怒ってくれたり泣いてくれたり、自分のことよりも相手を助けようとしてくれる優しいSが本当に大好き。

くだらない下ネタとか面白くもない冗談に涙を流しながら笑ってくれて私も一緒に笑っちゃうみたいな、Sとの時間が本当に大好き。



これからもずっと仲良くしてね!
私の結婚式(あれば)にも来てね!

世界一キレイなSと、微妙な表情の私

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