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認知言語学のテキスト

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認知言語学を研究する大学院生が、認知言語学の最近の研究をまとめたマガジンです。1ヶ月に20回くらい更新します。言語学に興味がある人なら、誰でも楽しめる内容になっています。認知言語…
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2024年2月の記事一覧

教育の知見を論文にすることに意味はあるか?ーChatGPTと会話してみたー

こんにちは!飯島尚憲です。 今回は、ChatGPTと会話した履歴を載せました。 この3点を主に質問しました。以下、会話内容です。 それではどうぞ! ①『研究して論文にする』意味ChatGPT 語彙指導における研究は英語教育の領域において非常に重要な役割を果たします。研究を行うことには、実際の教育現場に直接関わること以上の、複数の意味合いがあります。以下の点でその重要性を説明します。 理論と実践の橋渡し 新しい知見の提供: 研究は新しい教育法や教授法、語彙習得に関する

第2言語習得研究における応用認知言語学の役割についてー架け橋は成立するか?ー

はじめに第二言語(L2)習得の分野の研究は、日々進歩しています。そんな第2言語習得の研究において、認知言語学の視点がますます重要視されています。指導法などに、教育者や学習者に新たな道が開かれたと言っても良いでしょう。 応用認知言語学(Applied Cogniitve Linguistics : ACL)は、言語学習の効果を高めるために認知科学からの洞察を活用します。実践的な教授法に情報を提供するフレームワークを提供します。 この記事では、ACLの中核となる原理を掘り下げ

生成文法と認知言語学を比較してみる

はじめに言語及びその構造に関する研究は、広範にわたり複雑です、決して1つの理論では収束しない深い深い深い世界です。その証拠に、人間による言語の獲得、処理、利用方法を解明するため多様な理論やモデルが提案されて、実行されてきました。 これらの中でも、言語理論として、生成文法と認知言語学は特に影響力があり、広範囲にわたって議論されている二つの枠組みです。生成文法も認知言語学も、人間の言語理解を目指す共通の目標を持ちながらも、そのアプローチ、基本的な前提、そして意味するところにおい

フレーム意味論と自然言語処理の深いつながり

はじめにフレーム意味論は、1970年代に言語学者であるチャールズ・フィルモアによって提唱された言語理論です。彼は自ら提唱した「格文法」という概念をさらに拡張させて「フレーム意味論」という概念を提唱しました。 近年、自然言語処理(NLP)において「フレーム意味論」という考え方は、ますます重要な概念となっています。フレーム意味論の中心的な考え方は「単語の意味は、その単語に関連する背景知識や文脈に大きく依存する」というものです。NLPがより複雑な言語理解タスクの自動化を試みるにつ