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第735回「今日のベトナムニュース解説」ビナミルクに見るベトナムM&Aの難しさ

本日の記事:
「F&N Dairy Investment社がVinamilk社への出資比率を高める。」
Title:
" F&N Dairy Investment to increase stake in Vinamilk "

記事リンク:https://english.thesaigontimes.vn/fn-dairy-investment-to-increase-stake-in-vinamilk/


(写真:ベルトコンベア上で製造されるに輸出用のVinamilkナッツミルク製品)


【本日のポイント】

(1)ベトナム最大級の企業ビナミルクの大株主の1つであるシンガポール企業が出資をさらに増やす、と言うニュース

(2)ビナミルクはベトナムのブランドランキングでも常に上位に上がり、外国企業からの投資も多い企業である

(3)ここ数年、ベトナム企業への外国企業からの出資が増え、それに伴うトラブルもまた増えているが、ベトナム市場の拡大とそれを狙う外資系という構図がある限り、今後もM&Aは増え続けると思われます

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

ベトナムの大手乳業メーカーであるビナミルクの大株主の1つであるシンガポールのF&N Dairy Investmentがさらに大幅に株式購入する登録を行い、これにより
出資比率は17.69%から18.69%に上昇する、と言うニュースです。

ビナミルクといえば、ベトナム最大級の企業の一つであり、かつ、「企業ブランド調査」などでも常にトップランク入りする名実ともにベトナムを代表する企業ですが、結構、外資が株を持ってるんですよね。

詳しい情報がないんですが、確か、国が4割弱くらい持ってて、あとは今日のF&N Dairy Investmentをはじめシンガポールの会社が結構持ってたような記憶があります。

私は元々、2011年にベトナムへ来た理由の1つは某日系一部上場企業がベトナム磁場企業を買収し、その責任者としてジャカルタからやってきたのがきっかけで、その時に、まぁ、いろんな「勉強」をさせていただいたので、それ以来、

「ベトナム企業への外国企業の出資」

にはすごく興味があって、実務としても人事労務面でのサポート中心に、色々と関わってきました。

まぁ、このメルマガ読者の方にもベトナム企業とのM&Aに携わっている方、M&A候補の紹介や、その際の法律や会計チェックなどのお仕事されている方などがたくさんいます。

私は顧客にも提携会社にもベトナム地場企業が山ほどあり、その中で日系企業がベトナム企業へ出資した際のことを「ベトナム企業側」で内実を色々とみてきたので、この「ベトナムでのM&A」について、何か言え、と言われたら、この一言を送りたいと思います。

「血は水よりも濃けれども、また争いを招く原因ともなる」

と言うことです。

一般に、外国企業がベトナム企業と「一歩、踏み込んだ協力関係を結ぶ」には、出資関係を持ったほうが良い、というのがあると思います。

ただ、私が、もし、次にベトナム企業とのM&Aをするのなら、まず、間違いなく、1年〜2年くらい、「業務提携」関係を結んで、何か一緒に事業を行い、相手企業の「ノリ」を確認すると思います。

「ノリとは何か?」

これは一言で言えば

「こちらが期待する業務水準(特に品質と締切)、とコンプライアンス水準、そして、経営目標達成への協働意欲について、どの程度、乖離があるか?」

を見極めたい、というのがあります。

一般に日系企業とベトナム企業を比較した場合、日本本社が内部的に求める報告資料(特に財務会計)の質と量は「桁違い」で、まず、ここで「早く出せ」「なぜ、こんなのが必要か」みたいなところで揉めているケースをよくみます。
まぁ、揉めてるだけならいいですが、日本人と揉めるのが面倒になって、適当な情報資料を作ってる会社も結構みます。

そして、コンプライアンスも、正直、これはどっちにも言い分はあると思うんですが、日系企業はどうしても「法律でやっちゃダメと書いてある」ことは、やっちゃダメでしょ、何ですが、ベトナム企業からしたら、「こんなの、誰も守ってないって〜」みたいなのが山のようにあって、ベトナム側からすると「非効率」「金をドブに捨てる」みたいに見えて、すっごいストレスみたいで、よく私に愚痴ってきます。
部外者の私に愚痴られても、、、て感じですが、まぁ、私は両方の立場を経験してるので、言いたいことはわかるんですけどねぇ、、

そういう思惑の違いが重なって、資本を入れたことが返って「冷たいピザ」のような関係を生み出してしまうことになり

「こんなことなら、業務提携で留めておけばよかった」

と嘆く日系企業のお客様とも、何度もお話ししてきました。

まぁ、ビナミルクは最近、Kidoと言うこれもベトナムの大手製菓会社との合弁会社を1年くらいで解消していますので、別に日越や「内資と外資」の問題ではなく、違う文化の中で成功してきた2つの組織がM&Aで1つになり、同じゴールを目指し成功する、と言うのは、簡単なことではないですよね。


以上 豊田英司
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