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第1046回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」副業:複数の仕事を掛け持ちするOLたち

本日の記事:
「副業:複数の仕事を掛け持ちするOLたち」
原題:
" Side hustle: office workers juggle multiple jobs to make ends meet "

記事リンク:https://e.vnexpress.net/news/business/economy/side-hustle-office-workers-juggle-multiple-jobs-to-make-ends-meet-4778051.html


(写真:副業に関する自信の実情を話てくれたNhu氏。今年前半の台湾への社員旅行時の写真)


【本日のポイント】

(1)低賃金が原因で、多くのベトナム人労働者は複数の仕事を掛け持ち、副収入を得ることが一般的です。

(2)Covid-19パンデミック以降、副業の必要性が増し、多くの労働者がリモートワークを利用して副業を行っています。

(3)副業は職業倫理に反する可能性があり、企業の収益や従業員のパフォーマンスに悪影響を及ぼすため、給与の引き上げや企業文化の強化が求められています。

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

かつて、「人事労務相談のトップ3だったのに、この数年で激減した相談」に

「従業員の副業を禁止することができますか?」

があります。

なぜ減ったかって、そりゃ、ここ数年、日本政府が手のひらを返したように

「日本の労働者よ、大いに副業、やろうぜ!!」

って、大号令かけてますから、そりゃ、私の人事の先輩世代に当たる方なんかは先日、お話しした時

「いやー、まさか、副業を国が推奨しちゃう時代になるとはねー。人事マンとして、ずっと、”副業=悪”でやってきたのに、参っちゃうよなー」

ってこぼしてました。



ベトナム労働法では、労働者は複数の使用者と労働契約を締結することができると定められていますので、法律上、副業(兼業)をする権利は認められています。
ただ、「どちらも契約で約束した内容をきちんとやってくださいよ」とも法律には書かれています。

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ベトナム労働法 第19条 複数の労働契約締結
1.労働者は複数の使用者と労働契約を締結することができるが締結した契約内容を十分に履行することを保証しなければならない。

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ただ、日本も日本国憲法22条「職業選択の自由」を保障しておりますので、副業を禁止する法律はありませんが、実際には多くの企業が、「競業避止義務」「秘密保持義務」「職務専念義務」などを理由に、従業員の副業を禁じる就業規則を設けております。

まぁ、この辺りは社会的な許容度の違いも大きいと思います。

ベトナムでそれなりの会社のオフィスワーカーなら、まぁ、逆に副業・兼業をやってない人の方が少ないでしょう。

「いや、うちのマネジャー連中は全員、副業やっていないよ」

というお客様のところのマネジャー全員と話をしたら

「家族でやってる会社の仕事はやってるよ。だって、それは副業じゃなくて、家族の仕事だから、”家事”みたいなもんでしょ?」

「知り合いに頼まれた翻訳の仕事はやってあげてるわよ。だって、それは”友達からの頼まれごと”だから。ま、”お礼”はくれるけどね」

「会社での仕事は午前中でいつも終わらせて、午後はネットショップでやってる日本から輸入した化粧品の販売やってるけど、会社の仕事は全て終わらせてるから、副業、ではなくて、私個人のことだから」

ということで、ほぼ、全員、仕事中の副業やってました。

その会社の社長さんが「世界じゃ、それを、副業と呼ぶんだぜーーー!!」
って叫んでました笑



この記事にも

「マネジャーの管理が甘いから副業する」

って書いてますけど、いや、マネジャーこそ、一番やってますから笑

ただ、「副業・兼業」って何?の捉え方が違うだけで。

ま、こういう話すると、
「うちのマネジャーは本当にやってないって言ってる!」
っていう方もいるので、「多くの」とつけておきますが。

まぁ、うちの会社では、副業解禁、というか、規制しようと思ったこともないですし、むしろ、、規制することで隠すようになってしまうので、いろいろな仕事をかけもちしているのを大前提で、むしろ、気軽にしゃべってもらって状況を把握して、その中で、いかにうちのお願いするタスクを滞りなく進めてもらえるか、のマネジメントに注力しています。

ま、人数が少ないからできるんでしょうが、皆様の会社でもマネジャーの方々がその意識できっちり管理すれば可能ですよね。

あ、マネジャーこそ、副業してるのか!

ダメだ、こりゃ!笑

ベトナムで副業禁止を本当に実施するのは、まぁ、ちょっと、厳しいですよねー。



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【記事の日本語訳】
副業:複数の仕事を掛け持ちするOLたち

上司がオフィスから出ると、ゴック・ビックさんはすぐに個人用のノートパソコンを開き、クライアントから緊急に依頼されたデザインを修正します。
27歳の彼女は、ホーチミンの大学で広報担当として働きながら、2つの広告会社でデザインの仕事もしています。

「私の月給は1000万ドン(400米ドル)で、貯蓄や両親を養うための蓄えはありません。

2021年まで、彼女は月に100~200万ドンの副業しかしていませんでした。
しかし、Covid-19による2年間のリモートワークの間に、彼女はより多くの仕事を引き受け、総収入は月2500万ドンに増加しました。
彼女がオフィスに戻り始めると、ビックさんは内緒で副業を続け、時には夜中まで残ってオフィスの設備を利用しながら個人的なプロジェクトに取り組みました。

ハノイの運送会社でカスタマーサービスを担当するタイン・ヌーさん(40歳)の月収は800万ドン。
パンデミック以前は、彼女と夫の収入で生活費と住宅ローンを賄うことができました。

しかし、夫がこの2年間失業し、息子には家庭教師が必要になったため、彼女は副収入を得るために化粧品のネット販売を始めました。
オフィスでは、顧客からのメッセージに対応し、商品の広告を掲載し、出荷待ちの注文をいくつも抱えながら、副業に半分の時間を費やしています。
表向きは息子を迎えに行くためですが、実際は商品を仕入れるために早退することもあるそうです。

私の仕事はそれほど厳しくなく、勤務時間もフレキシブルなので、空いた時間を使ってお小遣いを稼いでいます。
給料が安いので、多くの同僚も同じことをしています」。
彼女は副業で月に1,000万ドンを超える収入を得ており、保険手当や同僚と交流できる環境がある本業を辞めるつもりはないそうです。

2023年3月のVnExpressの調査では、50%以上の人が収入を増やすために副業をしたいと考えていることがわかりました。
2022年のAnphabe社の調査では、知識労働者の13%がフルタイムとパートタイムの仕事を両立していることがわかりました。

ビジネス文化研究所の副所長であるドー・ミン・クオン准教授は、この問題に関する研究はほとんど行われていないものの、副業はベトナムでは長年の現実であると言います。
主な理由は低賃金であり、基本的な生活ニーズが満たされない場合、人々が複数の仕事をすることは避けられないと指摘。

さらに、勤務時間中に副業をするということは、管理が甘く、上司のモチベーションが低いことを示していると言います。
「多くの研究によると、この傾向は主に低・中所得者やチャレンジ精神旺盛な若者が追い求めるものです」。

ヴァンラン大学広報コミュニケーション学部のレ・アイン・トゥー氏によると、パンデミック後、多くの企業が人員削減や給与の引き下げを行ったため、複数の仕事の必要性が高まったとのこと。
多くの人は、質素なライフスタイルを採用する代わりに、より懸命に働くことを選んだ、と彼は主張します。
しかし、複数の仕事を持つという現象はベトナムに限ったことではないそうです。

米労働統計局によると、2023年10月現在、2つのフルタイムの仕事を同時に持つアメリカ人は約41万2000人で、2019年から3分の1に増加しました。

どちらの雇用者にも知られることなくフルタイムの仕事を2つ掛け持ちする " 過就業 " が新たなトレンドになりつつあります。
ソーシャルメディア上では、「過就業」グループが数多く立ち上がり、コンサルタントが会社の規制をどうかいくぐるかをアドバイスしています。

クオン氏は、勤務時間を使って副業をすることは、有益なことよりも有害なことだと考えています。
副業は職業倫理に反する行為であり、人々は気が動転し、常に発覚の恐怖に怯えることになる、と。

ヌーは、個人的な用事でオフィスアワーに頻繁に欠勤していたため、同僚から報告され、警告を受け、業績評価が降格し、年末のボーナスに影響したと言います。

彼女はこう主張します:
「自分の仕事を全うする限り、勤務時間中に私的な仕事をしようが本業をしようが、それは私の勝手です。
給料が上がらなければ、家族が飢えてしまいます。
経営陣は給料の低さについて黙っています」。

クオンは、このような状況が企業に影響を与え、収益を下げ、光熱費を増加させ、規律に影響を与え、従業員の離職につながると警告しています。
ハノイの広告会社でマネージャーを務めるドゥック・フイ(40歳)は、部下が複数の仕事を掛け持ちしているのを見て見ぬふりをすることがよくあります。
この会社では、パンデミック以前に比べて賃金が低くなっているため、彼はあまり厳しくしすぎると熟練労働者の離職につながりかねず、その代替には多くの時間と労力が必要になることを恐れています。

「従業員が会社を裏切ることを望む経営者はいませんが、このような状況は避けられません。
給料が上がり、収益が安定すれば、この問題に対処します。"

副業が従業員の仕事を圧迫しないよう、経営者は給与の引き上げや報奨金の創設を検討すべきだとクオンは言います。
また、一部の従業員が「片足をドアから出す」ような事態を避けるため、経営陣は強固な企業文化を築き、監督を強化し、規律を浸透させるべきだとクオン氏 は付け加えます。



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以上 豊田英司
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