第1001回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」原材料価格50%高騰でベトナムのカシューナッツ輸出業者が危機に直面
本日の記事：
「原材料価格50%高騰でベトナムのカシューナッツ輸出業者が危機に直面」
原題：
"Vietnam cashew exporters threatened by 50% surge in raw material prices "
【本日のポイント】
（１）原材料価格の上昇と供給不足：
ベトナムのカシューナッツ輸出業者は、東アフリカの原材料の供給業者の多くが価格を40〜50%上昇させたことにより深刻な事態となっています。
（２）供給元の問題と契約不履行：
東アフリカでのカシューナッツの不作や輸出制限政策が原因で供給不足が発生し、東アフリカの供給業者の多くは契約内容を守らず、高価格での取引を要求しています。
（３）対策と提案：
ベトナムのカシューナッツ加工業者は法的措置や制裁を検討していますが、一方で、輸入への依存度を下げるため、ベトナム国内生産の拡大が提案されています。
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【解説】
アジアゲートベトナム代表の豊田です。
さて、今日の記事について。
ベトナムのお土産としてカシューナッツは有名なんですが、実は原材料自体は90％以上、他国から輸入されていて、その多くは東アフリカ諸国からだそうです。
私、お土産で時々買うんでなんか騙された気もしますが、別に買おうと思えばベトナム原産のカシューナッツもあるそうですが、ちょっとお高いそうです。
やはり、農業加工品とかになってくるとすでにベトナムでも人件費が上がってきていてアフリカ産には勝てないそうです。
で、そのアフリカに急に契約無視で値段を激高にされてベトナムの加工業者さんが法的措置や国際法的機関への提訴を検討しているそうです。
普段、ベトナム企業とトラブルになった日系企業が法的措置に訴えたり国際紛争裁判所の活用を検討する際に、
「でも、ベトナムの企業とか、”そんなの関係ねぇ”と思ってるんですかねぇ」
とかおっしゃってますが、今回、ベトナム企業がこれに訴えようとしてるってことは、逆に、その効果は一定程度、見てめてるんだな、と思いました。
ベトナムもだんだんと経済的地位が上がってきて、委託業者が契約を守ってくれない事態に悩みステージになってくるんでしょうねぇ、、、
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【記事の日本語訳】
輸出用のカシューナッツの加工を行うベトナム南部の企業で働く労働者たち。
原材料価格50%高騰でベトナムのカシューナッツ輸出業者が危機に直面
ベトナムのカシューナッツ輸出業者は、東アフリカのカシューナッツの供給業者の多くが価格を引き上げたり、以前合意した低価格で契約通りに納品しなかったりしているため、大きな損失を被る可能性がある、とベトナム・カシューナッツ協会（Vinacas）が警告した。
Vinacasの副代表であるグエン・ミン・ホア氏は、金曜日の記者会見で、東アフリカからベトナムに輸入される生カシューナッツの価格が、2月または3月に合意された価格から40～50％上昇し、1トン当たり1,500～1,700米ドルに急騰したと発表した。
価格高騰に加え、多くのサプライヤーが契約を守らず、合意した量の50%しか納品されない結果となっているとホア氏は述べた。
東アフリカの多くのサプライヤーは、価格高騰と契約不履行の原因を、この地域での不作とコートジボワールによる生カシューナッツ輸出制限政策にあると説明している、と彼は述べた。
カシューナッツの輸出でトップクラスのビンフック省南部の Hoang Son 1 JSC の社長、タ・クアン・ヒエン氏は、最近のカシューナッツの輸入価格の高騰はかつてないほどだと述べた。
フエン氏は、西アフリカのサプライヤーの多くが価格引き上げを発表するだけでなく、既存の契約に基づく納品を中止し、残りの数量についてより高い価格を要求していると指摘した。
例えば、ホアンソン1社と西アフリカのサプライヤー間の契約では、生カシューナッツ5万3000トンが規定されていたが、サプライヤーは契約価格で約2万5000トンしか納入しなかったとフエン氏は述べた。
残りの数量は、サプライヤーが設定したより高い価格での取引となるか、あるいは納品されないことになるだろうと、フエン氏は嘆いた。
同様に、南部バリア・ブンタウ省のCao Phat Co. Ltd.のディレクター、Cao Thuc Uy氏は、現在輸入されている生のカシューナッツの量は、契約で定められた量の70%以上に達していると報告した。
また、Uy氏は、カシューナッツの輸出価格が2月と3月に比べて30％上昇したと指摘した。しかし、この上昇率は、輸入された生のカシューナッツの値上がり率よりもまだ低い。
また、彼は今年のカシューナッツの品質が例年よりかなり劣っていることも指摘した。
Vinacasは、契約上の義務を果たさなかった外国のサプライヤーのリストを作成し、適切な制裁措置や国際法廷での法的措置を検討する計画を発表した。
ホア氏は、ベトナムの加工業者が使用するカシューナッツの90％以上が輸入品であり、その70～75％（年間約230万トン）が東アフリカから輸入されていることを明らかにした。一方、国内供給量は年間約30万トンに留まっている。
輸入への依存度が高いため、悪条件が続いた場合、今年の第3四半期と第4四半期には、ベトナムの加工業者や輸出業者の投入材料が大幅に不足し、輸入価格の上昇による多額の損失につながる可能性がある。ホア氏はまた、このような状況が2025年第1四半期まで続く可能性があると警告した。
一部の企業は、悪天候により今年のカシューナッツの原料供給量が世界全体で7％減少すると予測しているが、実際の減少率はこれよりも大きくなる可能性がある。これは、輸出用の加工原料の長期にわたる不足を示唆している。
これに対し、多くの企業がベトナム農業当局に対し、カシューナッツの栽培面積を拡大し、生産性を向上させる施策を講じ、輸入への依存度を減らし、価格変動や原料不足のリスクを最小限に抑えるよう提案している。
こうした課題があるにもかかわらず、ベトナムは今年最初の4か月間で、約21万6,000トンのカシューナッツの実を11億6,000万ドル相当で輸出し、数量で前年比32.4%、金額で前年比21.2%の増加となったと、農業農村開発省が発表した。
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以上 豊田英司
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