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詩ログ 「模擬水圧」

これまでに発表した詩/短歌のまとめです。

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胎内の列車 熱気を抜けて電波届かぬ海を知るだけ

断片

おおきく吸わなければ窒息してしまう、
肥大した心臓が蠕動、したとき
うつ、しだされる主我
剥奪
理想論が凝固させていたくろいラプラス
すべての記憶が収斂する部屋
冷凍保存の小瓶をひらききって——まどろみ

       反転

深海魚が死んでいる道に打ち寄せられた四肢
あるいはきみの不可侵、塩素が切り取る透明な朝
虚数解のまま夢を見た
ゆれる
から、っぽ食みました
特異点の塔が瓦解、している
ちいさなテロリストが飛び降りたら、

(補遺:とどかなくてよかった、
     平行世界の青、
     放たれたとたんに蒸散することば、忘却)


イノセント

「だからって、きみおなじではないじゃない」

音、音ないみたい
二進法でできた子宮 ピュア・ブルーのユートピア
じょうぶな泡のなかにみつけたきみたちは、
その奥 絶滅の予感をかさねて

うみが見たい
透明な侵略に敗けているとき、おなじであるようにかんじます
この霧のなか、素数の亡霊たちが憑在しているように夢想します

あるいは祈り
本質的なちっぽけのなかで、ならんで星が見られるように
いつか集合的無意識の底の深くに、幼いゆめにかえれるように

救えない!
こわがらないで、こわがらないで。
きれいでなくてもいいよ。

悠然と時間、確からしいです
季節の弛緩の端緒です
こんげつに飽きた
10日です
朝から低気圧の予報です


3G

溺れていく気配が零れて近づく
脳はぐちゃぐちゃのジャムになって
うみになってしまう
わからない、わからないからもう人、ではない
わたしも 頼るのも

ふかふかがいて、その奥はくろくて、わたしがいる!
傷ついて、濁った
これも嘘です でんわして 人

だれも、身体も、さまよって、海底です
すべて、すべて!
あたたかい、自分だけ ほかはぜんぶ氷らしい
それでも私は夏がすきです
意味不明の、やわらかい岩にひとりですか?

3Gの壜のなか、外への管は切れているという
そういえばわたしは声が通らなかった
かわいい? すこし、かわいい、とおもいます

だんだん音楽が鳴って、
レディメイドが雪崩こみ代入
軽く、楽に、引き換えに、

しょせん適温でしか生存できないし
気がついたら鮮やかになっていた
せっかく塗り直されたのに焦茶色の裏側!


流砕

肢体のニューロベースに気づいてしまったから
摂氏4度の熱風にうなされて遠ざかれない
エアコン、庭、カピバラ、瀟洒——
お気に入りの理想論は対角線を飛んでゆけない

(切り分けをまちがっていたこと)

もうなにも望めないほど、
ぼくの胎、内はぼくで満たされていますか
それでは、ママの胎内は
ぼくはママですか
あるいは 数千年前のだれかですか

(停滞と融解を否定できない
印刷された角膜でしか暮らせないひとは、
窒素を濾過していたのだろう!)

きっと時も世代もないならば
眠っても眠っても眠っても眠ってもおわらない明日の、
あるときに、ぼくだけのかみさまをください!
焦がれている自分のほうがすてきです、から

晴れた日に降る雪を、くろい袖の乱反射を、
知っていれば
ローポリの虚構で子どもを轢いたり
だれかの死期を寝過ごしたり
しないことを、選べただろうか

(原色の四角形に囲まれて
猫 あるいは ペッパーベーコン と認識されたとき
安堵した気がしました
ぼくの誤謬と不可能性も、
いつか此岸に浮けたらいい)

短歌連作「失恋ソング」

・しあわせが思い出になる瞬間にあたしいちばん詩(うた)になれたの
・規則正しく4つ打ちができなくて生活がシューゲイザーになる
・Bluetoothの候補にきみのカーステレオの型番 その交差点
・「I miss you♪」ぼくが歌えばぬいぐるみも口ずさむそれなりの夜
・寝た愛が起こされたまま音MADを見て微妙な朝を迎える
・窓越しに過ぎてく春とインテグラル インドア系なら恋はできない
・エイジアでもきっと見つけ出せるけど次からは目をそらすのだろう
・いまはテクノだってすごく面白い フューチャーコアはきみに預けて


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ありがとうございました! 最後にデカい夢を書いておきます。
・曲がインスピレーションになることが多いので歌詞を書いてみたい
・青空文庫の詩歌でストリーミングサイトを作りたい
がんばります。もし協力してくださる方がいればお声がけください。

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