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〈vol.9〉オラクルプロバイダーの最終勝者はだれか?

Real World Asset(RWA)とは、不動産や株式、債券などの現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したものです。RWAの取引が活発化するにつれ、資産の適正な市場価格などのデータを提供するオラクルの重要性が高まっています。

オラクルデータの役割と重要性

オラクルは、ブロックチェーン外部の現実世界のデータをスマートコントラクトに提供する重要な役割を担っています。RWAの取引においては、オラクルが資産の市場価格などの信頼できるデータをリアルタイムで供給することで、トークンの適正な価値評価を可能にします。 また、オラクルデータを参照することで、RWAに紐づけられたトークンの価格変動リスクを軽減し、取引の透明性と信頼性を高めることができます。 今後、DeFiにおけるRWAの発行や取引が拡大するにつれ、オラクルが提供する客観的で正確なデータがますます不可欠になると考えられています。

オラクルデータの信頼性確保方法

オラクルデータの信頼性を確保するためには、複数の高品質なデータソースを集約し、異常値を除外することが重要です。 例えばChainlinkでは、複数の独立したノードオペレーターがデータを提供し、それらの中央値を取ることでデータの改ざんを防いでいます。また、暗号化やブロックチェーンによる署名などのセキュリティ対策を施すことで、データの完全性を保護することも欠かせません。 APIの認証や、トランザクションの監査証跡を記録することで、不正なデータ提供を抑止できます。さらに、データの品質を定期的にモニタリングし、問題が発生した際には速やかに対処する体制を整えておくことも重要な信頼性確保の方策と言えるでしょう。 RWA取引の健全な発展のためには、オラクルの堅牢なデータ管理基盤の構築が不可欠です。

主要オラクルプロバイダーの比較と特徴

1. Chainlink

 Chainlinkは、分散型オラクルネットワークとして設計されており、ブロックチェーンと外部データソースを安全かつ信頼性の高い方法で接続します。Chainlinkのオラクルノードは、外部データを収集し、スマートコントラクトに提供する役割を果たします。

  • 分散型アーキテクチャ:中央管理者が存在しない分散型ネットワークを採用しており、単一障害点のリスクを軽減します。

  • 多様なデータソース:複数の信頼できるノードからデータを収集し、その情報を照合してからブロックチェーンに送信するプロセスにより、データの正確性と信頼性を高めています。

  • 広範な採用実績:DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)など、さまざまなブロックチェーンプロジェクトで広く採用されており、既に1,000以上のプロジェクトで利用されています。

例えば、2022年には、Chainlinkのデータフィードが5.8億件のデータポイントをオンチェーンに提供し、様々な分散型アプリケーションをサポートしました。これは、Chainlinkの信頼性と規模の大きさを物語っています。

2. Band Protocol

Band Protocolは、独自のブロックチェーンを活用することで、より高速かつ低コストなオラクルサービスを提供しています。Band Protocolは、クロスチェーンデータオラクルとして設計されており、リアルタイムでデータを収集し、スマートコントラクトに提供します。

  • 高速かつ低コスト:独自のブロックチェーンを使用することで、データの収集と提供が迅速かつ低コストで行えます。

  • クロスチェーン互換性:Cosmos SDKを基盤にしており、複数のブロックチェーンとの互換性を持つため、広範なデータ利用が可能です。

  • 多様なデータタイプ:スポーツスコア、天気情報、株価など、さまざまなデータを収集し提供する能力があります。

3. API3

 API3は、Web APIプロバイダーが直接オラクルノードを運営できるようにすることで、データのミドルマンを排除し、よりシンプルで分散化されたオラクルネットワークを目指しています。

  • 直接的なデータ提供:Web APIプロバイダーが直接データを提供するため、データの信頼性と透明性が向上します。

  • DAOガバナンス:API3は、DAO(分散型自律組織)によってガバナンスされており、コミュニティ主導の運営が行われています。

  • 多様なパートナーシップ:API3は、多くのWeb3プロジェクトと提携しており、広範なデータ提供が可能です。

API3は、2023年に50以上のWeb3プロジェクトと新たに提携し、そのネットワークを急速に拡大しました。これにより、API3は信頼性の高いオラクルプロバイダーとしての地位を確立しました。

オラクルプロバイダー選定の重要な評価ポイント

RWA取引においては、資産価格データの正確性と迅速性が求められるため、以下の要素を考慮してオラクルプロバイダーを選定する必要があります:

  • データソースの信頼性:提供されるデータが正確で信頼できるものであることが重要です。

  • レイテンシ:データの提供速度が速く、リアルタイムでの取引に対応できることが求められます。

  • コスト:オラクルサービスの利用コストが適切であることが重要です。

  • ノードオペレーターの分散度:分散型ネットワークであることにより、単一障害点のリスクが低減されます。

まとめ

オラクルプロバイダーはそれぞれ異なる強みと特徴を持っています。Chainlinkは分散型アーキテクチャと広範な採用実績で信頼性を確保し、Band Protocolは高速かつ低コストなサービスを提供しています。API3は直接的なデータ提供とDAOガバナンスによる透明性を特徴としています。RWA取引においては、各プロバイダーのデータソースの信頼性やレイテンシ、ノードの分散度合いなどを比較検討し、要件に合ったオラクルサービスを選定することが重要です。


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