1人で生きたいと望みつつそうはいかない尻の青い小娘より愛を込めて黄昏へ

放っておけばあと少しでかさぶたになったのに。その後たとえ跡になったとしても、放っておけば痛みなく塞がった傷を、隠しているのに暴き出して、ひどくならないように誰にも触られないようにしている傷を暴き出して、ものすごく沁みる薬を塗られたみたいな気分になる。

その薬は跡形もなく傷を治してしまうけれど、ものすごく沁みて、傷を負った時と同じくらい痛くて泣いてしまう。

受験と母との確執とでいっぱいいっぱいであと少しで溢れてしまうだろうというときだった。その時は正月でテレビから聞こえてきた彼の歌がひと押しとなって結局、泣いてしまった。
あまりに湿度の高い歌だったから。初めて彼を見たのはその時ではなくて、深夜のテレビで特集を組まれていたのを偶然見たことがあった。

その時私は怖がった。本当に怖くて怯えた。ぞっとした。あまりの熱量と湿度に怯えた。 私にはせっかく隠している傷を暴くように感じられたのだ。その隠匿は意図的なときもあるし、そうでないときもあるけれど、放っておけば跡は残ったとしても痛みなく治ったはずなのだから。それを暴き出して、こちらの意思を無視して無理やり治してしまうような彼の歌に怯えた。本当に怖かった。

#竹原ピストル

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