massaging capsule|冬の舞踏室の記憶
ある年の12月でした。私は友人と英国のブラックプールにいました。オフシーズンの避暑地は人もまばらで、夏には賑わう海辺の土産物店も、桟橋の遊園地もゲームセンターも閑散としていました。
街の名所である大きな塔に併設された、旧いボールルームを見学していたときのことです。
数歩先を歩いていた友人が、笑いながら振り返り、それから急に怪訝な顔になりました。「いま、トントンと肩を叩かれて、あなただと思って振り向いたけれど違った」と言います。またまた、と受け流しかけた私の耳に、小走り