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|massaging capsule|アームコルセット専門店

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|4th floor|デザイナー渋谷美緒。 脆く傷付きながら懸命に自立する人物像をイメージし、そのような人たちが強くあるための殻としての服飾品をデザインしている。ブランド名はE・…
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#モーヴ街

貴婦人のコルヴェイユ|開催方法と作品販売

オンライン開催 at ヴィヴィアンズ百貨店 (モーヴ街・8番地) 各アーティスト・ブランドの多彩な作品・アイテム展示をオンラインで配信するフェアです。 「作品・アイテム画像」「アーティスト・ブランドのコメント」「気鋭の執筆者・自作解説による作品エッセイ」をひとつの記事にまとめ、本noteより配信致します。 会期中、霧とリボンのSNS(Xとインスタグラムストーリーズ)をチェックすれば、オンラインフェアをご体験頂ける仕組みです。 【お昼頃】霧とリボン Xにて当日ご紹介する内

貴婦人のコルヴェイユ|オンラインフェアのご案内

* オンライン開催 at ヴィヴィアンズ百貨店 (モーヴ街・8番地)  オンライン上のストリート「モーヴ街」8番地に位置する架空の百貨店「ヴィヴィアンズ百貨店」初のフェアを開催致します。  欧羅巴の老舗百貨店に憧れてオープンしたここ「ヴィヴィアンズ百貨店」には、個性豊かな専門店が並んでいます。本フェアでは、5つの専門店からアドベントへと向かう季節にぴったりの作品・アイテムをお届け致します。  |1st Floor| |アンヴァンテール| フランスアンティーク・ブロカン

massaging capsule|スカラップに魅せられて

 これっきりで廃番になってしまうというモダンな扇子柄のフリルレースを、どうしても今こそアームコルセットに使いたい、という強い思いからスタートしました。  人々がパフェのように甘い新しいジャズとモードを求めた20年代をイメージして、腕に沿うように離れるようにリズミカルな形を作りたかったのです。  ヴィクトリアンからアールデコの時代にかけてのファッション、とりわけ小物類にはこのレースのように半円の連続する「スカラップ」のデザインがよく採用されています。  美しい形をモチーフ

massaging capsule|路地裏、幻のカフェへ

 夏の午後。家の裏手にある木戸をくぐり抜けて、砂利道を足裏に感じながら私は出かけました。いつも途中で迷ってしまい辿り着けないカフェを目指して。  そう確か百日紅の大木がある家が曲がり角の目印です、間違えないように。満開の花の下を、猫の通り道ほどの路地の生垣を縫って進みます。  突き当たりに手書きの看板を見つけました。白い洋館風の看板建築は今日こそは目の前に佇んでいました。左右対照の大きな窓の木枠には旧い模様のガラスが嵌められて、泡立て器とボウルの擦れるリズミカルな音が中か

massaging capsule|月夜に駆けて

 今夜は、誰でしたっけ、たいそう高貴だとかいう紳士を紹介される予定と聞いていたのでした。今夜のために時間をかけて結い上げたヘアスタイルも優雅に仕上がっていました。   けれど、彼女は舞踏会を抜け出すことに決めました。混じり合った香水の強い匂いはそろそろ耐え難く、次から次に微笑む完璧な人達の、これまた完璧な社交辞令のお喋りには頭痛がし始めていました。それに何より、良く似合うドレスに着替えた、その直前まで夢中で読んでいた本の、しぶしぶ栞を挟んで閉じた物語の続きがどうしても気にな

massaging capsule|冬の舞踏室の記憶

 ある年の12月でした。私は友人と英国のブラックプールにいました。オフシーズンの避暑地は人もまばらで、夏には賑わう海辺の土産物店も、桟橋の遊園地もゲームセンターも閑散としていました。  街の名所である大きな塔に併設された、旧いボールルームを見学していたときのことです。  数歩先を歩いていた友人が、笑いながら振り返り、それから急に怪訝な顔になりました。「いま、トントンと肩を叩かれて、あなただと思って振り向いたけれど違った」と言います。またまた、と受け流しかけた私の耳に、小走り

massaging capsule|人造マリアのアームコルセット

Text|massaging capsule  「菫色 × 都市」というテーマを頂いた瞬間から、フリッツ・ラング監督による1927年のモノクロ・サイレントフィルム「メトロポリス」が脳裏に浮かんで離れなくなり、オマージュすることにしました。  公開時点では遠い未来だった2020年代を空想して制作された、SF映画黎明期の名作です。100年後の架空の都市を舞台にしたこの作品の、科学への畏れと憧れが同時に詰まった造形に魅了されています。  摩天楼が整然と聳え立つ地上に住む支配層

massaging capsule|架空の遊園地に捧げるアームコルセット

Text|massaging capsule  世界が停滞し不安に包まれていた2020年の春、「この瞬間を健やかに生きていくために、ダロウェイ夫人のように、ぴんと背筋を伸ばして、通りを歩いてみたい」という凜とした言葉がモーヴ街から届きました。  この招待状で、心細い現実を前に押し潰されかけていた、美しきものへの憧れと追求をいま一度取り戻したことを忘れません。空想で旅するときめきを思い出した瞬間でもありました。  得意な空想で、架空の街モーヴ街のクリスマス前を思い描いてみ

massaging capsule|ペンを取るアイリーンのアームコルセット

Text|Yayaco Yoneyama  ヴィヴィアンズ百貨店4th Floorにある「massaging capsule」。アームコルセットという唯一無二の服飾小物を世に送るブランドです。様々な素材を精緻な技術で巧みに組み合わせ芸術的な作品を作り続けられています。  ストイックな漆黒のシルクと菫色のレースアップのリボンに思わずルネのコートドレスにぴったりだわと声を上げてしまいました。 
 菫色の華奢なリボン。スカラップの隙間からこぼれる繊細で優美なレースはスーツの

massaging capsule|ニガヨモギとアニスのアームコルセット

Text|KIRI to RIBBON  春のモーヴ街に、ひときわハーバルでエキゾチックなアブサンの香りが漂ってきました。  ヴィヴィアンズ百貨店4th Floor「massaging capsule」は、手元を優美に飾るアームコルセットの専門店。クラシックとモダンを悠々と往来する感性と卓越の技術で、唯一無二の作品をお届けしています。  今回はどんな作品がディスプレイされているのでしょう・・・さっそく入店してみたいと思います。 *  感嘆のあまり、息を飲みました—

massaging capsule|華麗なるアームコルセット

 世界でたったひとつのアームコルセットブランド《massaging capsule》の専門店へ、ようこそいらっしゃいました。古き良き時代の長手袋のエレガンスとコルセットのフェティシズムを調合した、時に優美に、時にモダンにお手元を飾る特別な一品が並びます。サイズオーダーにて承ります。 massaging capsule  服飾ブランド →HP デザイナー渋谷美緒。1998年よりmassaging capsule名義にて服飾製作を開始。 脆く傷付きながら懸命に自立する人物像をイ