真夏の夜の夢 【ショートストーリー】
真夏の夜の夢とはよく言ったもので。
つい先程まで繋いでいた手のひらに、温い夜風がすり抜けていく。
一緒に歩く砂利道には浴衣姿の君の足音。
カランカランと耳に心地よい響きが鼓膜を鳴らした。
特に会話らしい会話もなく、ただ、二人で手を繋いで歩いているだけの夏祭り。左前の浴衣を着た君の横顔はとても綺麗だった。
穏やかに流れる川縁には、灯篭流しをする人たち。
しばらく二人で立ち尽くしてその情景を見ていたら、君が手をゆっくり離して前へ歩き出す。一度だけ振り向いて申し訳なさそうには