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虐待される側にも原因がある:毒親エピソード④

私、こんなに酷いことをされて育ってきたんだよ!!と言い切れるエピソードばかりではない。

むしろ親の言うことも一理ある、と言えなくもないような、非常にグレーであることの方が多かったようにも思うのだ。

マフラー事件

小学5年生のある夜、両親と私とで寝る前の団欒をしていた。きっかけは思い出せないが、確かママともっと一緒にお菓子作りをしたい、というようなことを言ったんだと思う。「お前は嫌らしい人間だ」といういつもの父からの説教が始まった。

※話のつながりが見えなかったり飛躍するのはデフォルトなので前後の文脈は気にしないでください。

「物を人にあげるというのは、ある意味自分が優位者である、ということを人に示す非常に嫌らしい行為なんだ。お前は手編みのマフラーを、パパ以外の全員にプレゼントして、いい気になっていた。初詣の夜、『みんなpikoが編んだマフラーをしてるね!』と得意になっていた。別にパパだってそんなもん欲しくはないが、1人だけないものを見せびらかすその心根に不愉快になったんだ」

当時、1冊の本を買ってもらい編み物にハマっていた私は、妹、母、そして自分のマフラーを順に編んでプレゼントしていたのだった。買ってもらった本は『はじめてでもカンタン レディース小物』(のようなタイトルだったと思う)。男物は載っていなかった。

母:「ママも本当はpikoからもらったマフラー、つけるの嫌だったんだよ。パパのだけないのに、それをつけるなんて嫌だなーって思いながら初詣に行ったの。せっかくの楽しい家族の行事なのに、pikoのせいで嫌な思いをしたの。」

父:「しかも普通は自分のものを練習台にして、上手になってから人にプレゼントするよな?まず初めに編んだ穴だらけのボロボロなのを妹に押し付けて、さらに次はママにあげて、上手になってからちゃっかり自分のを大事に編み上げるってどれだけ嫌らしい子なんだ?」

piko:「でも、妹は喜んで…」

父:「それはお前に合わせてるんだよ!!妹はいつも我慢してるんだ!!なんでそれがわからないんだ!!」

本を買ったもらったとき、妹は羨ましがった。「いーなー!お姉ちゃん、妹にも編んで!」「うん!妹のマフラーを1番に編むよ!」妹が喜ぶ顔を早く見たくて、1番にプレゼントしたかった。

父「全員がお前のせいでそれぞれ嫌な思いをしてるんだ。お前のせいでいつもつまらなくなるな。」

Piko「ごめんなさい。」

説教が終わる頃には深夜をとうに過ぎていた。

思いやりのない子供

大人になった今ならわかる。家族1人の分だけ用意しないのはおかしい。ましてやそれを初詣の場で口にするなんて思いやりもない。人に物をあげるのであれば自分のもの以上に気をつかう。1発目の不出来な作品を人にプレゼントするなんて、例えば手作りマスクなんかでも、絶対にやらないだろう。小学5年生の女の子なら、そのあたりの分別があっても良さそうだ。大人になって同じことをしたら、人は離れていくだろう。

私は人に対する思いやりもなければ可愛げのない子供だった。

誰が悪いの?

こんな感じの、親が100%悪いと断罪できないエピソードが多いのだ。

「家族のマフラーを編んだのに、お父さんのだけ用意しなかったら、両親にめちゃくちゃ怒られたの。」

「それはpikoが悪いよ。お父さん、悲しかったと思うよ?pikoのためを思って厳しく言ったんだよ!」

もし人に話したら、大抵の人がこう感じると思う。だから、言えない。苦しいと感じる自分がおかしい。だって実際に悪いことしてるのは自分なんだもん。

伝わらない父の思い

当時の自分の心境を率直に語るなら、単身赴任の父、いつも私を断罪する父、父さえいなければ女3人平和に楽しく暮らしていた日常生活、悪意はなくとも、ナチュラルに『家族』の概念から父が抜け落ちていた。本に男向けのマフラーが載っていない以上、父のものも用意すべきなんて考えもしなかった。

女3人幸せな家庭だと思っていたのに、母にも嫌な思いをさせていたのか。プレゼント、喜んでくれていると思っていた。本当は嫌だったなんて思ってもいなかった。父にも編むべきだと教えてほしかった。ママ、なんで私より先に父と話したの?妹も無理に私に合わせている。この家に私の味方はいない………

このあと私は父に申し訳ないことをしたと思い、レディース小物の中からメンズでも使えそうなデザインを選び父のためにマフラーを編んだ。選んだデザインは紺地にNEW YORKの白ロゴ入り。イギリス好きな父に合わせ敢えてNEWを省いてYORKとした。父は喜んでくれて、私は嬉しかった。

結局どうすればよかったの?父も、私も

父は、言い方が悪かったのだろうか。本当に伝えるべきことが、言い方のせいでまるで私に入ってこなかった。ただ悲しいだけ。でも、自分が悪いことをしたのに相手の言い方に難癖つけるって、社会人ならやらないよね?

上司「ここにミスがあるから修正よろしく」

部下「私は確かにミスを犯しましたが、あなたの言い方が気に入らないのでやりません!」

なんて、社会で通用しないだろう。

だから思う。私にも虐待されるだけの原因があったんだろうと。少なくとも、可愛げのある子供ではなかったから。

それでも、辛い子供時代を過ごしたことに変わりはない。絶縁の意思は揺らがない。

親子として、とことん相性が悪かったという理解でいいのかな。

そして、もし娘が私と同じように思いやりのない行動をしたら?私はどういう風に導いてあげるのが正解なんだろう。まったくもってわからないが、父のような言い方をしないようにすることだけ、気をつけたいと思う。




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