「本心」の感想の前に～マキちゃんとかタイタニックとかステージアとか
今日友人のマキちゃんと、映画「本心」を観てきました。
感想などを書こうと思ったのですが、その前にちょっと、三十年来の友人であるマキちゃんを紹介したくなりました。よかったらお付き合いくださいね。今日は本題までたどりつけません、たぶん。
マキちゃんは競輪選手の妻です。彼女の夫の職業など、映画の感想には一切関係ないのですが、ちょっと自慢したくてつい書いてしまいました。
いまから27年ほど前、マキちゃんに、「ななちゃん、タイタニック一緒に観に行ってくれん？あたしひとりでは映画館よう行かんのだわ、でも観たいんだわね」とお誘いを受けました。
すでに、別の女友達にまったく同じ理由で誘われて、いまはなき春日井コロナでタイタニックを観ていた私でしたが、その女友達よりはるかに親しかったマキちゃんの頼みですので、ふたつ返事で、まるで初めて観るような顔でもう一度タイタニックを鑑賞いたしました、同じ春日井コロナで笑。
当時マキちゃんはのちの夫となる、競輪選手を目指す５歳年下のノリくんと半同棲していたのですが、ノリくんが修善寺の競輪学校(日本競輪選手養成所)に受かって入所したため、約10か月間、ふたりは離れて暮らしていました。マキちゃんはタイタニックの後半からラストまでずっと泣いていました。帰り、当時の彼女の愛車である赤のステージア（本当はボルボが欲しいって言ってた）に乗り込むと、「あーなんだかノリくんに会いたくなったよお」とぼそっとつぶやいたきり、私の家に着くまでほとんど無言でした。
その翌年マキちゃんは、競輪学校を卒業しプロデビューを控えたノリくんと、瀬戸市の深川神社で結婚式を挙げました。マキちゃん、本当に綺麗だった。披露宴は名古屋市内の式場で催されました。
私は歌がそこそこ上手かったものですから（今はもうノドが硬くなり声量も落ちてるのでイマイチです）、ときどき頼まれて、披露宴ではロビンソンやピースオブマイウィッシュ、瀬戸の花嫁、女友達（ゆうじん）代表、二次会では部屋とＹシャツと私、などいろいろ歌ってまいりましたが、マキちゃんからは、なんとタイタニックの主題歌であるセリーヌ・ディオンの My Heart Will Go on を直々にリクエストされてしまいました。どひゃー、セリーヌディオン⁉英語⁉無理無理、キロロじゃだめ？と聞いてみたものの、ダメ、絶対タイタニック！とのことでしたので、ほかならぬマキちゃんの頼みとあってはもう覚悟を決めるしかない、と腹を括ってリクエストをお受けしました。ヒトカラなんて言葉もまだ無かったころでしたが、当時は家から徒歩３分のところにまねきねこがありましたので、ひとりせっせと通い猛特訓しながら、こんなに難しい曲をしかも英語で、百人近いお客さんたちの前で歌うだなんて、やっぱり無理！なんで安請け合いしちゃったんだろう、キロロで勘弁してもらうんだった、と猛烈に後悔したものでした。
そして迎えた披露宴の日。私はマイクを持ちスポットライトを浴びながら、マキちゃんとタイタニックを一緒に観に行ったこと、マキちゃんがノリくんを想いポロポロ涙を零していたことなどをスピーチしてから歌い出したのですが、あれだけ練習したにもかかわらずこれまでにないほど緊張してしまい、思ったように声が出ませんでしたので、感極まって嗚咽がこみあげるふりをして誤魔化しながら歌っていると、女神のように美しい花嫁姿のマキちゃんが壇上から降りてきて私のとなりに立ち、背中に手を当ててくれました。それを見た新婦友人たちがハンカチで目頭を押さえていました。
人妻となったマキちゃんとは、新居に遊びに行ったり赤ちゃんの顔を見にいったり友人の結婚式で一緒に余興をするためにカラオケボックスにこもって練習したり共通の友人が多く集まる忘年会で顔を合わせたりなどしていましたが、当然、結婚前と同じように頻繁には遊べるはずもなく、マキちゃんは男の子とふたりの女の子を育てながらノリくんのサポートに忙しい日々で、パラサイトシングルで毎日フラフラ遊び歩いている私とは会う機会も減って疎遠になり、年賀状の交換のみ、という年が長く続いていたのですが（マキちゃんは毎年、今年こそ会おうね！いつでも遊びに来てね！と必ず書き添えてくれていた）、昨年、私の母の通夜に駆けつけて、銷沈する私を優しく慰めてくれたのをきっかけに、また連絡を取り合うようになりました。
そんなある日マキちゃんから「侍タイムスリッパー、一緒に観ない？」とLINEをもらいました。滅多に映画館に行くことがなく、SNSもやっていないマキちゃんが、知る人ぞ知る小さなインディーズ映画のことをなんで知ってるのか聞いたら、テレビで紹介していたとのこと。「私も観たいと思ってたの、一緒に観に行こう！」ということで、長久手イオンシネマに観にいきました。1997年のタイタニック以来27年ぶりの、マキちゃんとの映画鑑賞。観終わってロビーに出ると、ノリくんと次女ちゃんが迎えに来ていました。
ここでこっそり告白しますが、実は私、侍タイムスリッパーは２回目だったのです。なかなか都合が合わず日にちが決まらなかったので、痺れを切らして先にひとりで観に行ってしまいました。でも、初めてのような顔をして観ましたよ、27年前と同じように。
侍タイムスリッパーの上映前に流れていた「本心」の予告編を見たマキちゃんが、後日「あの、お母さんの映画も観たい！」とLINEをくれたので「うん、私も観たい、行こう行こう！」と返事をしました。
ふう、長い長い前置きもやっと終わりです。それで今日、長久手イオンシネマで「本心」を観てきました。お読みいただきありがとうございました。
「本心」の感想もですが、本当に書きたかったのは、観終わったあとのマキちゃんのことなんです。また後日。
（マキちゃんの愛車だったステージア。運転が得意な彼女は、どこへ行くときも車を出してくれました。あちこちいろんなところに旅行したなぁ。）
※拾い画像です
#侍タイムスリッパー #本心 #ステージア #競輪選手 #タイタニック #セリーヌ・ディオン #結婚式