ryo-a

Aviation Geek / Radar Spotter / OSINT / OSINT CTF Organizer 主に航空関係のOSINTや誤情報の検証をやっています。発言は個人に帰属し、所属組織・団体などとは関係ありません。

ryo-a

Aviation Geek / Radar Spotter / OSINT / OSINT CTF Organizer 主に航空関係のOSINTや誤情報の検証をやっています。発言は個人に帰属し、所属組織・団体などとは関係ありません。

マガジン

  • 航空OSINT

    Flightradar24など、公開情報を用いた航空機の動向調査・分析などに関係する記事です。

最近の記事

  • 固定された記事

JAL機と衝突した海上保安庁機(JA722A)がフライトレーダーに表示されない理由

2024年1月2日18時前ごろ、新千歳発・東京/羽田行のJAL516便(エアバスA350-900、JA13XJ)と、海上保安庁所属「みずなぎ」(DHC-8 Dash 8、JA722A)が羽田空港C滑走路で衝突する事故が発生しました。 ※事故自体の経過についてはNHKの記事などをご覧ください(随時更新されるようです)。 要約Flightradar24など、航空機追跡サイトはボランティアによる受信で成り立っている 海保機は「ADS-B」に対応していなかったので、航空機追跡サイ

    • お問い合わせ

      航空関係のOSINT・情報検証、偽情報に対するファクトチェックについて確保できる時間の関係上、メディア・専門誌・研究機関の方のみの対応とさせてください。 ご所属が確認できるアカウントやメールアドレスからコンタクトいただけると幸いです。 X (Twitter): @geo_vitya (おそらく一番早い対応が可能です) email: ryoa.dev@gmail.com OSINT CTFについて原則としてXでご連絡ください。 また、ryo-aが運営メンバーの一員である

      • 「横田基地の周辺に"横田"という地名はない」という言説は誤情報

        SNS上を中心に「横田基地の周辺に"横田"という地名はない」という主張がなされることがあります。また、この主張に基づいて「横田基地の名前は(拉致被害者の)横田めぐみさんに由来する」といった偽情報が拡散していることも確認されました。 本記事では、これらの言説を検証します。 結論:「横田」という地名が付近に存在しないというのは偽情報。 横田基地の名称の由来は、武蔵村山市の「横田」。戦時中に米軍がこの名称を採用し、終戦後も継続して使われるようになった。この地名は少なくとも江戸時代

        • 中国軍の特殊作戦機の名称はややこしい ~領空侵犯機は"Y-9JB"ではない~

          2024年8月26日、中国人民解放軍の航空機が長崎県の男女群島沖で、日本の領空を侵犯したことが報じられています。 本件に関して、防衛省が当該機を「Y-9情報収集機」と公表したことから、一部ではY-9JBであるという声が見られました。しかし、実際にはその特徴から判断すると、本機はY-9DZ (Y-9Z)であると考えられます。 領空侵犯機とY-9DZ/Y-9JBの比較まずは具体的に、今回の領空侵犯機の特徴を確認してみましょう。 まず後方に、機体の丸みに合わせてパネルを貼った

        • 固定された記事

        JAL機と衝突した海上保安庁機(JA722A)がフライトレーダーに表示されない理由

        • お問い合わせ

        • 「横田基地の周辺に"横田"という地名はない」という言説は誤情報

        • 中国軍の特殊作戦機の名称はややこしい ~領空侵犯機は"Y-9JB"ではない~

        マガジン

        • 航空OSINT
          16本

        記事

          フライトレーダーで「領空侵犯を見つけた」「危険な場所に飛行機を見つけた」と思った時にチェックするべき事

          Flightradar24(フライトレーダー)を見ていると、時々「あれ、この飛行機はこの国の領空を侵犯しているのでは?」「飛行禁止区域に侵入した飛行機があるぞ」「紛争地帯の真ん中に民間機が突入した」――などと思わせてしまう航跡を見かけることがあります。また、それを指摘している投稿をSNSで見かけることもあるでしょう。 しかし、それらの多くは誤表示によるものです。この記事では、それらの誤表示が発生する背景や理由を確認していきましょう。 誤表示の理由1: Estimation

          フライトレーダーで「領空侵犯を見つけた」「危険な場所に飛行機を見つけた」と思った時にチェックするべき事

          ネットに投稿された航空管制の音声を過信してはいけない理由

          先日の羽田空港におけるJAL機・海上保安庁機の衝突事故のように、航空事故の直後にはWeb上に航空管制を録音した音声データがアップロードされることがあります。 ただし、残念ながらそれらの多くは事故分析用としては不十分なものです。もちろん「編集されているかもしれない」という一般的な理由もあるのですが、本稿では航空管制特有の理由を説明します。 要約LiveATCの音源を根拠に「管制やパイロットのやり取りが不明瞭だった」「交信がなかった」と言うことはできない。理由は2つ。 空港で

          ネットに投稿された航空管制の音声を過信してはいけない理由

          ロシア・北朝鮮首脳会談後に両国を往来するIl-62Mの動向

          2023年9月、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記が行われて以降、軍事面で両国の連携が加速したことが指摘されています。 そのような状況下、ロシアの人員輸送機が通常よりも頻繁に平壌を訪れていたことが公開情報から確認できました。 ロシア政府のIl-62MIl-62M(イリューシン62M)は旧ソビエト連邦製の旅客機です。旧式ではありますが、北朝鮮では政府専用機として、ロシアでも要人などの人員輸送機として運用されています。 ロシア政府・ロシア軍の管轄下にあるIl-62M

          ロシア・北朝鮮首脳会談後に両国を往来するIl-62Mの動向

          イスラエルからの邦人退避に関連するフライトの記録(2023年10月)

          2023年10月に発生したハマスとイスラエルの軍事衝突に伴い、日本国民の退避のために特別フライトが運航されました。 本記事は政策の是非などを論ずるものではなく、後の参考とするため航路や機材を記録することを目的としています。 なお、本記事は随時更新される予定です。また、誤りを含む可能性もあります。 以下、出発日順です。 韓国空軍 KC-330(10月13日~14日)韓国国民退避のために運航されましたが、日本人51人も同乗しました。 機材 機種:エアバス KC-330(A

          イスラエルからの邦人退避に関連するフライトの記録(2023年10月)

          経済制裁下でロシアに渡ったビジネスジェット(2023年)

          2022年のウクライナ侵攻以降、ロシア連邦は様々な経済制裁下にあります。特に航空機関連はその代表例で、機体そのものだけでなく部品の供給も制限されているため、比較的早い段階から「共食い整備」が発生するという見通しが示されていたほか、最近も整備状況が悪化している故にトラブルが頻発しているとか、制裁を科さないイランに整備を委託するといったニュースが見受けられます。 さて、そのような状況であるにも関わらず、少なくとも2機の中古のビジネスジェットが欧米からキルギス経由で取得され、似た

          経済制裁下でロシアに渡ったビジネスジェット(2023年)

          LUUPの車種バリエーション(見つけた範囲。情報ください。)

          街中で見かける電動キックボードシェアサービス「LUUP」ですが、車両にいくつかのバリエーションがあります。この小さな差が興味深いので見かけた範囲ではまとめているのですが、まとまった公式情報などもなく、いまいち全体像が掴めないので、街頭で珍しい機種を見つけた方は情報をくださると幸いです(Twitterにご連絡ください)。 KK-224BJ-BK塗装:黒 ナンバー:原付サイズ 6km/hボタン:なし(歩道走行不可) スマホホルダー:横に挟み込むタイプ 方向指示器:スライ

          LUUPの車種バリエーション(見つけた範囲。情報ください。)

          Flightradar24に対する偽の航跡データ送信事例とユーザ側で可能な対策

          Flightradar24は世界中のボランティア(フィーダー)が設置したアンテナの情報を集約し、航空機の位置を追跡・表示しています。それゆえ、理論上は以下の2つの手法で偽データが混入する(spoofingが発生する)可能性があります。 実際のトランスポンダを用いて偽の内容を含んだ電波を発信し、フィーダーに受信させる フィーダーが偽の情報をFR24へ送信する 今回は2の攻撃手法に関する実例と、不審なデータの真偽を確認する方法をご紹介します。 偽データがフィードされた事例

          Flightradar24に対する偽の航跡データ送信事例とユーザ側で可能な対策

          ワグネル「反乱」に伴うモスクワ近郊におけるロシア機の動向

          2023年6月23日~24日(日本時間)に発生した、ワグネルの「反乱」に伴ってモスクワ近郊で確認されたロシア軍・ロシア政府機などの動向一覧です。概ね24日夜時点までにこちらで確認できたものに限られているので、抜けがある場合はコメント欄で情報提供いただけると幸いです。 また、本稿で記載した以外にも、ModeSトランスポンダの応答がなく、航空機追跡サイトでtrackできなかった航空機(戦闘機など)が存在しうることにご留意ください。 本稿のリサーチはkn1cht氏と共に行いました

          ワグネル「反乱」に伴うモスクワ近郊におけるロシア機の動向

          【ファクトチェック】「北朝鮮・平壌と横田基地を結ぶ定期便」と主張される画像は何なのか?

          先日のようにニュースで横田基地が話題になると、毎回と言って良いほどSNSではある画像を見かけます。北朝鮮・平壌の空港にYOKOTAという行先が表示されている画像です。 一部では、この画像をもとにして「北朝鮮と米軍基地の間で定期便が運航されている」という都市伝説が出回っているようです。今回はこの画像について検証・ファクトチェックしてみましょう。 結論: 実際には横田基地と平壌を結ぶ定期便・直行便は存在しない。カナダ軍のフライトに対して誤った説明をされた画像が出回ったものである

          【ファクトチェック】「北朝鮮・平壌と横田基地を結ぶ定期便」と主張される画像は何なのか?

          所属不明機、緊急着陸――横田基地 "B763"を巡る誤報はどうして発生したのか

          2023年6月15日、米軍横田基地に爆破予告があり、一時は退避指示が発令されるなど騒然としました。それと同時に、ネット上ではとある航空機を巡って誤報やデマが飛び交っていました。また。大手メディアや一部の軍事クラスタも誤解に基づいた発信をしていたようです。 今回の騒動の原因はB763と表示されていた、韓国から飛来したボーイング767-300です。 結局、この飛行機の正体は?オムニエア・インターナショナル(Omni Air International)のボーイング767-30

          所属不明機、緊急着陸――横田基地 "B763"を巡る誤報はどうして発生したのか

          【Flightradar24の正体不明機を分析する】日本を飛ぶアメリカ籍小型機?

          今回見ていくのは、中部地方を飛行するアメリカ籍の小型機 N3195K です。機種はビーチクラフトバロン(B58)となっていますが、航続距離の短い外国籍の小型プロペラ機が日本を飛んでいるのは珍しいはずです。 まず離陸したと思われる場所を拡大してみましょう。Flightradar24では、航跡の色から高度がわかります。以下の記事をご参照ください。 MLAT(ADS-B由来でないデータ)ゆえに誤差があるので、まさに離陸した瞬間を捉えることはできないのですが、浜松付近から離陸した

          【Flightradar24の正体不明機を分析する】日本を飛ぶアメリカ籍小型機?

          【Flightradar24の正体不明機を分析する】モルドバ国境付近のルーマニア機

          ルーマニア東方、モルドバ国境付近で詳細不明の航空機が飛行していました。機体記号は「YR-SVB」で、コールサインはそのまま「YRSVB」となっています。 おそらく普通の民間機なのですが、ウクライナ付近という緊迫した情勢のエリアで詳細不明となっていることから、ランキング上位に登場していました。今回はこの飛行機の詳細を探ってみましょう。 速度から見て、おそらく軽飛行機やグライダーの類だと思われます。 素直に機体記号でググりますが、Flightradarの「機種名不明」のページ

          【Flightradar24の正体不明機を分析する】モルドバ国境付近のルーマニア機