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オゾン層のおかげ

 38億円前、海の中に誕生した生命は30数億年の間、単細胞から多細胞へ・・植物から動物へと進化をとげながらも海中にしか住めませんでした。陸上には太陽からやってくる生命に有害な電磁波(紫外線)が遮られることなしに地上に降り注いでいたためです。しかし、今から約5億年前にオゾンが出来始めました。オゾン層には有害紫外線を吸収し遮る働きがあるため、安全圏とな陸上へ初めて生命が進出できたのです。

●オゾン層は太古の生命が30億年かけてつくったもの

 現在、オゾン層は私たちの上空15,000メートルから30,000メートルの成層圏にあります。オゾン層と言うのは、何も特別な物質があるわけではありません、空気中の酸素は酸素原子2個で出来ていますが、酸素原子が3個集まるとオゾン層になります。
 オゾンがたくさん集まっている層をオゾン層と呼びます。生命誕生の頃、地球の大気には酸素もオゾンもありませんでした。原始生命たちは光合成のため、大気中の炭酸ガスを水酸素を出し続けました。この酸素が大気中に出て、大気の約10%に達した時、酸素原子が集まってオゾン1分子ができ始めました。現在の大気には酸素が21%含まれ成層圏に安定したオゾン層が出現しています。生命が30億年かけて作った貴重なバリアのおかげで私たちは生活できているのです。

●フロンの塩素原子一個が十万個以上のオゾンを次々に破壊

 オゾン層の破壊は1970年代に始まりました。
 スプレー缶や冷蔵庫、発泡断熱材、エアコンなどでよく使われているクロロフルオロカーボン(フロンガス、CFC)が、オゾン層を侵食しているとされました。
 フロンは大気中に放出されても非常に安定性があるため成層圏まで徐々に上昇し強い紫外線によって分解され塩素が出てきます。この塩素原子が成層圏にたまり次々に保存と反応しオゾン層破壊しているのです。

●オゾン量、史上最低を記録するも、回復傾向へ

 1985年になって、オゾン層の穴(オゾンホール)を科学者らが発見されました。その2年後には「モントリオール議定書」が採択され、46カ国が有害化学物質を段階的に削減すると約束するに至りました。
 同議定書はその後、国連で初めて全会一致で批准された取り決めとなり、現在までに禁止されたオゾン層破壊物質のほぼ99%が廃止されました。
 オゾン層を守ろうとする人間の行動は、期待どおりの効果を上げており、今後数十年のうちにオゾン層が回復するかもしれないとの国連からの報告があります。オゾン層破壊が最もひどかった南極上空では2066年、北極上空では2045年、その他の地域では約20年後に回復するとの見通しが発表されています。

●私たちへの影響

 オゾン層が1%破壊されると有害紫外線は2%増加し皮膚がんは3%増えると言われています。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、北欧等では子供が戸外に出る時間や日光浴の時間を10分以内に制限しています。紫外線から肌を守ってくれるメラニン機能を持たない白人には皮膚がんの恐怖が襲い掛かり、我々有色人種にはメラニンのおかげですぐには皮膚がんに結びつきませんが紫外線を浴びるとメラニンがどんどん産生されシミ、くすみ、老人斑が激走します。

●悪影響のピークは過ぎたが紫外線ケアは必須

 日頃ファンデーションなどのメイクで紫外線をガードしている女性よりも、これまでケアをしてこなかったた男性を中心に紫外線の影響が増加していると思われます。
 7歳までに浴びた有害紫外線量が、成人になってからの免疫力やがんの発生に悪影響を与えると言う説もあり、今や紫外線は美容だけの問題ではなく、陸上に住む生命全体の問題になりつつあります。

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