頭の中でマリアージュ
急にお酒が飲めなくなった。
困ることはあまたあるが、外食するときとても困る。
例えばイタリアン。
ああこのハマグリとジュンサイの前菜には爽やかなリースリングが合うなあ。発砲のある冷えた日本酒も可憐なグラスでいただくのもありかも。
ああこの豚の塩漬けの背油と寝かせたアマダイには
ピノが合うなとか、とか。
舌と感覚がすっかり酒とのマリアージュを考えてしまうのだ。
けれどもお酒は飲めない。
炭酸水とかお茶とか、柑橘系のソーダとか頼んだりするけれど
口が気分転換されて、お腹が膨れるだけ。
マリアージュが叶わない食事がなんて滑らかに進まないなんて。
ノンアルコールでマリアージュが叶うお店が増えることを切に願う。
しばらくは頭の中で、昔の味の記憶を頼りに、エアマリアージュの日々が続くのかもしれない。
ああ、食の宴が始まる、悦びの泡がはじけるシャンパンが恋しい。
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