米国株には議決権はない
日本経済が「失われた30年」と言われているように経済低迷が続いており、日本株のインデックスはずっと横ばいである一方で、経済成長を続ける米国ではインデックスでも年率7〜10%という勢いで株価は上がり続けています。
そのためか、米国株投資をしている方が増えており、証券会社も米国を含めた世界株の取り扱いを拡充しています。
しかし、米国株を購入した場合には基本的に議決権の行使はできませんし、株主総会に出席することもできません。
なぜこういう状況になっているのかを解説します。
なぜ議決権がないか?
日本の証券会社を経由して米国株を買う場合には、基本的には現地の証券会社の口座名義で株式を保有し、その株式を間接的に日本の投資家が保有することになるため、購入した株式は名義上は現地の証券会社のものになるからです。
例えばマネックス証券は TradeStation,Inc. 、楽天証券やSBI証券は Interactive Brokers LLC に取り次いでいます。
なぜこのような仕組みとなっているのかは情報がなく分からなかったのですが、おそらく海外の投資家に直接議決権や株主総会の参加権を与えてしまうと株主総会などの書類を海外に発送することになり、事務手続きが煩雑かつ郵便費用が嵩んでしまうからではないかと思っています。
なお証券会社のホームページ上では「議決権はありません」と書かれているものの、証券会社に連絡をして指示をすればカストディアンを通した議決権の実質的な行使は行える可能性があるようです。ですが数千円程度から購入できる米国株の投資家からそうした指示がたくさん来てしまったら、証券会社側の事務処理が圧迫されてしまうため敢えて明記していないのだと思われますので、わざわざ証券会社と連絡を取り合って議決権を表明する人はほとんどいないと思いますし、迷惑なので控えたほうがいいでしょう。
逆に、海外の投資家が日本株を購入する場合も日本のカストディアン名義で保管されるため、株主総会への参加資格は基本的にはないようです。
デメリットは?
議決権がないこと以外のデメリットは実質的にはないと考えていいです。
もちろん証券会社は現地のカストディアンと契約して手数料を払っているはずなのですが、それは証券会社の売買手数料収入の中から支払われるため、投資家が保管手数料を要求されたり、配当金から手数料を差し引かれることも基本的にはないようです。
とはいえ株主総会は会社のオーナーとして会社の運営方針を決定する大事な場ですので、それに参加できないし議決権も行使できないというのはちょっと残念な話ではあります。
どうしても議決権が欲しい場合
「それでもやっぱり議決権が欲しい!」という場合には、現地の証券会社と契約してアカウントを作れば議決権も貰えるはずです。
ですが、日本に居住しながら海外の証券会社に口座を開くのはおそらく難しいと思いますので、そこまでするメリットはないでしょう。
外国企業をTOBなどにより買収したいとかであれば別の話ですが、個人投資家のやることではありません。
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