見出し画像

「お勧めの銘柄は?」と聞いてくるすべての人へ

投資家をやっていると必ず「いまお勧めの銘柄はありますか?」と聞いてくる人がいます。
投資系インフルエンサーの方のもとには毎日のようにそういったメッセージが届いていることでしょう。
しかしその人が誠実であればあるほど、お勧めの銘柄を教えてはくれません。
投資初心者の方や中〜上級者の方でもアツい銘柄を知りたいものですので聞きたくなる気持ちは分かるのですが、答えてくれたとしても「インデックスファンドでも買っておけば?」みたいな適当な答えしか返ってこないでしょう。
将来テンバーガー(10倍以上)になると期待している銘柄があったとしても、少なくとも僕はよっぽど親しい友人以外には絶対に教えません。
今回はその理由をお話します。

責任を持てない

投資にはリスクがつきものです。
いくら自分が有望だと思っていた銘柄でも下がるときは下がります。
もし具体的な銘柄を教えてその銘柄がその後爆下がりしたとしても、教えた相手の損失を補填することなんてできませんし、責任を持てません。
しかし教えられた人は自分の損失をたいていは教えてくれた人の せい にします。
「お前の言うとおりに買ったら損したじゃないか!」と。
そんなこと言われても困ります。こっちだって損してます。最悪の場合にはSNSで「この人のせいで◯万円も損した!」とか言われて自分のレピュテーションを下げられてしまいます。
しかし逆に儲かったとしても教えた人には、教えたことで何の利益もありません。「成功報酬で儲かった額の◯%もらう」とかにしていたら別ですが、それは投資助言業などの規制に引っかるためできません。
助言した銘柄が上がった時には何の利益もないのに、下がったときには文句を言われるわけです。そんなこと普通の人ならばやりません。

損したら人のせい、得したら自分の手柄

投資に限らず、失敗したら人のせいに、成功したら自分が頑張ったからだと思いたくなるものです。
上で述べたこととも被るのですが、投資助言を受けて損をしたら助言をした人のせいにし、儲かったら「自分はリスクを取ってこんだけ儲けることができたんだ。自分はすごい!」と考える人が大多数です。
「◯◯さんのおかげでこんなに儲かりました!」と言ってくれる人も一定数いるかもしれませんが、それは少数です。
助言する側としてはこんなムカつくことに何のメリットもありません。

利確・損切りもセット

現在おすすめの銘柄を教えてもらって買ったとしても、いつか利確か損切りをする必要があります。
しかしそうしたポジションのクローズ時期についてはその時期になるまで分かりません。
「いま現在」お勧めの銘柄は教えることができても、何ヶ月後や何年後に利確・損切りすればいいかは自分でも分からないので、それは教えてもらった側の判断となります。
しかしお勧めの銘柄を聞いてくるような人は自分で銘柄選定ができない人ということですから、適切なタイミングでポジションを閉じることもできない可能性が高いです。「じゃあそのタイミングも教えてくれ!」という話ですが、別にあなたから報酬をもらっているFPでもなければ、投資助言業の仕事をしているわけでもないのに、そんな面倒くさいことできません。
無償であなたのアドバイザーとなって、長期に渡り親切に売却のタイミングまで教えるメリットはありません。

とりあえず「鉄板」の銘柄を教える

それでも親切な人であればお勧めの銘柄を教えてくれるかもしれません。しかし、将来何十倍にもなることを期待している銘柄はその分リスクも高く、十分の一になる可能性もあり、文句を言われるリスクがあります。
そうなると、例え教えるにしてもインデックス投資とか、国債を買うとか、一般的でありきたりな銘柄を教えることになります。それでも構わないのであればいいのですが、わざわざ投資系インフルエンサーにメッセージを送って懇願してまでネット検索で出てくるようなお勧め銘柄を聞いても大して意味がないでしょう。ググればいい話です。

教えてくれたとしても、悪意があるかも

SNSやLINEのクローズドなコミュニティで大々的に「◯◯株を買いました!将来有望なのでみなさんも買ってください!」みたいなことを言っている人がいます。
しかしそういった情報を出す頃には既に自分はエントリーしているわけですから、自分の信者が買い上げたところで売り抜ける、いわゆる「仕手」を行っている人も存在します。
時価総額が数十億円の小型株で浮動株も少ない銘柄は数千万円ぐらいの資金流入でも大きく株価が上昇しますので、そういう銘柄では自分の信者が購入することで株価は上昇していく可能性が高いです。そうすると「◯◯さんの言ったとおりに買ったらめっちゃ上がった!」と短期的にはなるのですが、そのタイミングでインフルエンサーが利確し、暴落します。
で、そうすると信者は大損をするわけで信者は離れてしまいそうなものですが「でもちゃんと上がりましたよね?そのタイミングで売れなかったあなたの責任です。」とか適当に言い訳すれば信者をつなぎとめることは可能です。
これは相場操縦などの犯罪行為に該当する可能性はありますが、とはいえ立件するためには不正な取引を行ったという客観的事実を立証できないといけませんので、なかなか摘発まで至ることは少ないのではないかと思います。「ただみんなに儲けてもらいたかった。価格操作の意図はなかった」と言われてしまえば当局としてはなかなか動きづらいです。
もちろんすべての人がこうした悪意を持って情報発信をしているわけではありませんが、誠実な人が文句を言われるリスクを取ってまで具体的な銘柄などの発信をする可能性は低いです。「自分をはめ込もうとしてるんじゃないか?」という視点を持って、よく見極めてください。

まとめ

  • 他人にお勧め銘柄を教えるのは、リスクが高いのにメリットがほぼ皆無

  • インデックス投資とかの鉄板な銘柄なら教えてくれるかもしれないが、ググれば済む話

  • 具体的な銘柄を教えてくれたとしても、はめ込みの可能性がある

ですので僕の場合はお勧めの銘柄を聞かれても「知らん。自分で考えろ。」と一蹴するようにしています。
本当にまったく悪意なくお勧め銘柄を教えてくれる人もいますが、いつまでもその人に頼っていては、その人が教えてくれなくなったらそこで試合終了です。銘柄選定は自分でできるようにしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?