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自分が詳しい業界の銘柄しか投資してはいけない

今回は株式の長期投資限定のお話をします。
自分が詳しい業界(一般人に業界構造などを説明できるレベル)以外の銘柄には投資しないほうがいいでしょう。
「SNSで◯◯さんが買っていた」とか「ネットニュースですごい新製品を出した」とか、そういう情報が入るとその銘柄を自分も買ってみたくなるものですが、基本的に自分が詳しい業界の会社でなければ敢えて見逃すほうが無難です。
あとになってその銘柄がニ倍とかになったら「あぁ、あの時買っておけばよかったな……」と思うかもしれませんが、倍になるような銘柄なんていっぱいあります。悔しい思いをするかもしれませんが、それでも買わないほうがいいでしょう。

長期投資はファンダメンタルズが最優先

長期投資(3年〜)を行う場合には、投資先の業界と企業が継続的に成長し、大きな収益をあげることを期待して株式を購入します。
ですので、業界や企業のファンダメンタルズを適切かつ合理的に分析を行わないといけません。もしその業界について何も詳しく知らなければ適切なファンダメンタルズ分析などできないでしょう。
例えば最近(2023年7月に執筆しています)はAIがたいへん盛り上がっており、AIの計算に必要なGPUを提供する NVIDIA (NVDA) や、Google (GOOG/GOOGL) や Microsoft (MSFT) などもAI開発に熱心であり、株価は急騰をみせています。
しかし何事も良い面と悪い面の両方が存在します。ネットニュースで話題になっているものは良い面ばかりが取り沙汰されることが多いですが、悪い面についてもきちんと知っておくべきです。そうでなければ悪い面が突然表面化してきてしまい、株価が下がってしまうかもしれません。
確かに ChatGPT のような大規模言語モデル (LLM) のAIは革新的で非常に素晴らしい技術ではありますし、司法試験に合格できるレベルの回答を出してくれます。ですがネット上のデータを学習して記憶し、質問者の内容に合わせて記憶したデータを出力しているだけであり、間違った答えを返してきたり(ネット上にあまり情報がないような質問に多いです)、個別に判断が求められるような質問(当社の売上をあげるにはどうしたらいいですか?など)には一般的な回答しかできず、限界があります。
繰り返しますが、ChatGPT は素晴らしい技術であり、僕も課金して使っていますが、やはり限界があるというのが僕の認識です。世の中には「ChatGPT があれば知的労働(コンサルとかプログラマーとか)なんて要らなくなる!」という言説も多く見かけますが、人間を完全に置き換えるほどの進化をするかは疑問です。
少なくとも、ChatGPT はいうて人間の補助をするためのソフトウェアであり、ChatGPT を利用するためにはAIが適切な答えを出せるような質問を「人間が」考えて入力する必要があります。
ChatGPT の限界については実際に課金して試してみないと分からないことですので、そういった調査もせず「話題になってるし、すごい技術だから」みたいな、ふんわりとした理由で投資をしていたら、適切なファンダメンタルズ分析ができず、投資成績に悪影響となるでしょう。

どのくらい詳しければいいか

ですので、ある程度投資先の業界について詳しく知っておく必要があります。
業界で務めるプロの人レベルに到達するのは無理ですが、少なくとも何も知らない一般人の友人に、その業界の構造とか今後注目されていること、不確定要素などのデメリットなどを教えて「へぇ〜、そうなんだ。知らなかった!」と言われるレベルには詳しくなっておく必要があると考えています。
そのためにはやはり勉強が欠かせません。
業界の深い話(どういう重要人物がいるかとか、最新の市場動向など)はネット上に情報がなく、業界人を伝手にして聞かないと分からないことも多いのですが、とはいえネット上に存在するような情報ぐらいはタダで調べられますので、少なくともWikipediaに載っているような情報くらいは知っておきたいものです。
もっと強烈な例では、ある会社が世界になかったすごい新製品を出そうとしている、というニュースを一般に公開する前に知り、その銘柄を買えばほぼ確実に儲かります。もっともこれはインサイダー取引に該当する違法行為になる可能性がありますので、やってはいけません。
投資における最大の武器は「知識」です。勉強もせず、大して知識のない状態でSNS上での反応を見て雰囲気で売買していては勝率は低いでしょう。

短期投資は別

ただ、冒頭でもいいましたがこれは長期投資に限った話であり、短期投資の場合には別です。
短期投資の場合には、投資先のファンダメンタルズに賭けるというよりはチャートの形といったテクニカルな情報のほうが重要ですので、絶好の売買シグナルが出ていたら銘柄に詳しくなくてもエントリーしてもよいでしょう。
ただ中期投資(〜数ヶ月)の場合にはテクニカルとファンダメンタルズが入り混じって価格が形成されるため、やはり適切なファンダメンタルズ分析もできることが絶対条件にはなるのではないかと思います。


数年単位以上の長期投資では、基本的に投資先のファンダメンタルズの上昇に期待して投資をすることになります。そのためファンダメンタルズの分析を適切に実行できる必要があります。ですので投資先の業界構造や企業の製品について詳しくなっている必要があります。
そのための唯一の近道は勉強を怠らないことです。いまは詳しくない業界でも、これから勉強して詳しくなればいいだけです。ともかく勉強をしまくって、様々な業界に詳しくなることで投資の幅を広げることができれば、その分収益機会も増えますし、リスク分散にもなります。
自分の趣味や好きな領域であったり、実際に自分が使っている製品や会社であれば、あまり苦なく調べることができますので、自分の得意な領域について調べまくって詳しくなっていきましょう。そうすれば投資に直接的につながらなくても、楽しみながら調べることができ、新たな発見をすることができます。
いろんな業界や企業を分析し、投資の幅を広げていきましょう。

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