小説【アコースティック・ブルー】Track9: Desperado #1
懐かしい歌声がヘッドホンを通して聞こえる。目の前に座るタスクはカフェのテラスからぼんやりと空を眺めているが、その横顔はどこか緊張していた。
「まだ持ってたんだ。恥ずかしいから消してよ」
「え、嫌だよ、良く録れてるのに」
「自分で歌えばいいじゃない。Mor:c;waraの曲にするんでしょ」
「いやいや、曲作りは兄貴とイチロウ君のセンスには遠く及ばないよ。
あの二人は天才だからね」
「うん、何度も聞いた」
「兄貴がいなかったら今の俺もいないから」
タスクは同じMor:c