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ヴィジュアル系のサブジャンルを本気でまとめてみた


エナメル衣装のお兄さんはシコい♡


■はじめに

『関ジャム音楽史』をベースにヴィジュアル系のサブジャンルの歴史をまとめてみました

今回もヴィジュアル系推しとして個人的な独断と偏見で記事を書いてますので、ご容赦ください笑

■80年代 創成期

お化粧バンド(黒服系)

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ヴィジュアル系という言葉が存在しなかった時代、カテゴライズ不能なバンドの総称。
また、黒服系とは黒を基調としたゴシックで退廃的な服装の総称のこと。
その世界観は、ダーク・ゴシック・ロック。
【元祖】DEAD END、BUCK-TICK、X JAPAN、COLOR、D'ERLANGER
【代表】エクスタシーレコード(LUNA SEAなど)

ヴィジュアル系のサブジャンルではないけど、90年代以降とはあきらかに系統が違っているため、わかりやすく明示しておきます。
会話の中で「気合い」というヤンキーワードが頻出するようなら、この界隈で間違いない笑
THE DEAD P☆P STARSや妃阿甦などは、これらとはまた別枠でもいい気がしますが…(怖い)
黒服系・名古屋系・コテ系は同じ黒色でも世界観が微妙に違うため、補足しておきました。

■90年代 黄金期(前半)

ソフビ系

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「ソフトなヴィジュアル系」の略。
ナチュラルメイクで、衣装は既成のスーツやカジュアルなものが多い。楽曲や歌詞はポップでキャッチーなロック、本格的な歌モノが多い。
【元祖】GLAY
【代表】SIAM SHADE、SOPHIA、Janne Da Arc、D≒SIRE、MASCHERA、D-SHADE、Lastier

90年代後半は、関西弁を喋べる長髪兄ちゃんのバンドで溢れ返っており、TV番組「Breake Out」で勝手にカテゴライズされていたなんてことも。
ソフビ系として活躍したのはwyse、Waive、Vogus Imageなどで最後のイメージです。
近年は「ヴィジュアル系をやりたくてやっているバンド」しかいないため絶滅したサブジャンル。

名古屋系

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名古屋発祥のムーブメントで、黒服や血のり、包帯など退廃的で独特なダークなバンドの総称。
楽曲もダーク、歌詞は文学的で知性があり、ライブでは首吊りパフォーマンスなど芸術性も高い。
その世界観は、病的・鬱的・陰気・退廃的。
【元祖】黒夢(またはSilver-Rose)
【代表】Laputa、ROUAGE、Merry Go Round、kein、GULLET(量産/新潟出身)

どこまでが名古屋系の血脈があるのかと考えてみると、個人的にはAvelCainMEMEで終わり。
名古屋系バンドマンは私服が革パンでダサくなければならない…(伝統)
アルルカンは"次世代名古屋系"を名乗っているけど、岐阜県出身の奈緒さんの発言から「名古屋系は"切なさ"と"激しさ"が両立している。僕の作る曲って基本的にメロディが切なくなってしまうんです。そこに名古屋系の雰囲気が感じられるかなと思い、"次世代名古屋系"を謳っています。」との理由らしい。
そもそも黒夢の清春さんも岐阜県出身だしね。

■90年代 黄金期(後半)

耽美系

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中世ヨーロッパ貴族の華やかで豪華な衣装、クラシカルな楽曲を特徴としたバンドの総称。
それぞれ王子様やお人形などのキャラクターで、エレガントな世界観を徹底して表現している。
【元祖】MALICE MIZER
【代表】LAREINE、Versailles

若手バンドがまったく出てこないサブジャンル。
衣装代がただでさえ一人10万円なのに、お耽美の費用となったら…
近年はVersaillesの影響で、耽美系といえばメロディアスなメタルのイメージです。

コテ系

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「コテコテのヴィジュアル系」の略。
派手な色の髪を逆立てたり、奇抜または濃いメイクをしたり、エナメルゴシックパンクの衣装を着ている。楽曲や歌詞は攻撃的であり退廃的。
その世界観は、猟奇・エログロテスク・厨二病。
【元祖】Pierrot、La:Sadie's、Matina・Soliel・KEY PARTYレーベル
【代表】Phantasmagoria、ヴィドール、12012、DIAURA、MEJIBRAY

初期の黒夢(またはLUNA SEA)に影響を受けたバンド。
元祖は難しいけど、2000年代以降はDir en greyと地下線でサブジャンルが固まったと感じます。
コテ系は、もともと黒系白系が存在していました。白系とは白の衣装を基調として、幻想的かつ透明感がある世界観のバンドたち(初期L'Arc〜en〜Ciel、Raphael、Rentrer en Soiなど)。
ソフビ系と同様に、近年は「ヴィジュアル系をやりたくてやっているバンド」しかいないため絶滅してしまいコテ系=コテ系(黒)になっています。

■00年代 ネオヴィジュアル期

密室系、地下室系

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密室系とは、cali≠gariのリーダー桜井青が設立した音楽レーベル「密室ノイローゼ」に所属していたバンド。地下室系とは、cali≠gariの主催イベント「東京地下室」に出演していたバンドのこと。目の周りが真っ黒だったり口紅がはみ出ていたりアンダーグラウンドな雰囲気が特徴。楽曲は電波から歌謡までさまざまで、歌詞は文学的。
【元祖】cali≠gari
【代表】ムック(インディーズ在籍時)、犬神サーカス団、グルグル映畫館

サブジャンルではあるけど、事実上cali≠gariムック(とどろろ)のみのイメージです。
「密室系はレーベル以外のバンドも含まれており、2000年代初頭の裸足または草履で体育座りしていそうなバンド(ホタルやカリメロ、美空など)も密室系だろ」という主張には全面的に支持します笑
ヴィジュアル系専門誌の白黒ページに掲載されていた陰陽座が、バジリスクをきっかけに触れてはいけない存在になったことが個人的に寂しい。
(筋肉少女帯、Gargoyle、SEX MACHINEGUNSあたりから曖昧なくくりではあったけど…)

白塗り系、ピコピコ系

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白塗りメイクを主としたバンドの総称。
楽曲はパンクからピコピコまでさまざまで、歌詞は学生運動やレトロゲームなどサブカルチャー色。
【元祖】不明(AUTO-MODまたはGASTUNK?)
【代表】毒殺テロリスト、メトロノーム、新宿ゲバルト、SEX-ANDROID、秘密結社コドモA、新興宗教楽団NoGoD

むかしも今も、ART POP界隈のイメージです。

オサレ系

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青文字系雑誌(KERA!、Zipper、CUTiE)の原宿系な衣装、可愛いメイクをしたバンドの総称。
楽曲はポップなものが多く、シャッフルリズムにしゃがれた声で歌うフレーズが特徴的。歌詞は身近で共感を生むような言葉選びがなされている。
【元祖】バロック
【代表】アンティック-珈琲店- 、SuG

ニャッピーo(≧∀≦)o
元祖はバロックにはなるけど、「逝ってキマス。」「否定デリカシー(閉ジタ窓)」「東京ストリッパー」の流れは個人的にコテオサに感じます。
余談だけど、この当時は怜さんの"指で口をイーッとするポーズ"が流行っていました笑
オサレ系の衣装(ハット・首に市松模様のスカーフ・リストバンド・アームカバー・ボーダーソックス・ラバーソールなど)をファンが私服として真似しやすく、サブジャンルの中で服装と最も密接な関係にいたイメージです。
しかし、原宿系ファッションの廃りで青文字系雑誌が廃刊したように、縮小したサブジャンル。

コテオサ系

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コテ系とオサレ系の良いとこどりをした、ハイブリッドなバンドの総称。
コテ系の世界観から脱却して、MCや振る舞いなどでふざけたノリが許されるようになった。
しかしそれと相反するように、泥臭い失恋ソングに名曲が多いことが特徴的。
【元祖】蜉蝣
【代表】ナイトメア、ガゼット、彩冷える

コテ系と同じく元祖が決めづらい。
バロックが元祖の"オサレ系から派生したコテオサ系というサブジャンル"が前提条件になるのに、メンバーの前身(喰耶さんも含める)は蜉蝣ローディだったので矛盾してしまう。
「これらのバンドはコテ系の進化であって、2000年代中頃の衣装ミックス(姫苺など)がコテオサ系だろ」という主張にも全面的に支持します笑
ではなぜこのように切り分けたかというと、"秋葉原系オタクのストーカー気質な主人公"の世界観を、"闇・十字架・マリア・丘"など厨二病ワードの王道なコテ系の進化として認めるかどうかにあった。そしてなにより、その2000年代中頃のバンドたちは蜉蝣やガゼットに多大な影響を受けていたため、元祖や代表とすることにしました。

ラウド系(拳盤)

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2000年代中頃から増え始めたハードロックニューメタルの要素をとりいれたバンドの総称。
楽曲の技術面はずば抜けており、歌詞や衣装には男らしさがあって振りよりも拳やヘドバンを多用したことから、男に好まれる傾向にあった。
【元祖】DIR EN GREY
【代表】D'espairsRay、lynch.、ギルガメッシュ、DELUHI、摩天楼オペラ、NOCTURNAL BLOODLUST、DIMLIM

DIR EN GREYの「VULGAR」からまたたく間にヴィジュアル系で受け入れられたサブジャンル。
お笑い界隈で例えるのなら、松本人志が筋肉をつけたら、筋肉芸人が受け入れられた理論と同じ笑
この影響によって音楽的構成が、ドロップC#チューニングに下がり、シャウトのみであったヴィジュアル系界隈にデスボイスやスクリームが流行りはじめました(曲中のブレイクダウンも含める)。
むかしは売れないメタル畑の人が、動員とかわいいファンを狙って引っ越してきたイメージです。近年はヴィジュアル系がオワコンだから、純粋にそのまま野外フェスを目指した方がよさそう。

■10年代 戦国期

キラキラ系

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2000年代中頃からジャニーズ、2010年代からホストたちが、薄いメイクのアイドルのような風貌にキラキラした衣装を着て、客と一体になって楽しませるステージングをしたバンドの総称。
楽曲はシンセサイザーなど同期が多く、歌詞はキャッチーで、近年ではバラエティ豊かなメンヘラソングが主流となっている。
【元祖】アリス九號.またはカメレオ
【代表】少女-ロリヰタ-23区、ν[NEU]、ViViD、DIV、LEZARD、Smileberry、the Raid.、0.1gの誤算

2000年代中頃のキラキラ系(名称はまだない)と、2010年代からのキラキラ系はあきらかに系統が違っているので、ジャンル分けしてほしかった。
「キラキラ系はお洒落系からの進化(平成維新やV-last.よりはオダメからDOG、Zip.erやトゥーン工場やRoNo☆Croなど)であって、可愛いの要素が強く、これらのバンドはキラキラ系ではない」という主張にも全面的に支持します笑
余談だけど、この当時はアヴリルラヴィーンのツノがボーカルのあいだで流行っていました笑
メンヘラソングといえば、むかしはDEViL KiTTYやラジオ体操など"都盤ドマイナー特有の悪ノリ"として一部のファンに人気があった(のぶりんみたいな存在)。そこから雑誌「Men's SPIDER」によってVホスがヴィジュアル系界隈で容認されてきたなかで、カメレオが近年の歌舞伎町・メンヘラソングを確立しました。

お笑い系、ネタ系

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ゴールデンボンバーの登場により確立されたお笑いを重視したバンドの総称。
演奏をせずにコントしたりなんでもあり。楽曲や歌詞はとにかく楽しませることに徹底している。
【元祖】ゴールデンボンバー
【代表】えんそく、Jin-Machine

ヴィジュアル系界隈でお笑いをコンセプトにしたバンドは、むかしから数多く存在していました(TV番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」・「学校へ行こう!」・「パパパパパフィー」・「天才てれびくん」・ピンクハレルヤ・仙台貨物・jealkb・ポワトリン・マイドラゴン・エンドウコウキなど)。
しかし、ゴールデンボンバーはそれらとは一線を画して一般層でブレイクを果たしたけど、何が違っていたのかどなたか考察してみてほしいです。
個人的な見解にはなるけど、いつの時代もヴィジュアル系ブームになれば新規のバンギャが増え、おもしろいことをする若手バンドマンが現れて、"シーンが潤う"という一連の流れがあります。しかし、金爆ブームではなぜかその現象が起こらなかった。ゴールデンボンバーはもちろん好きだけど、ドマイナーまでおりてくる金爆ギャが少なかったのが悲しいところ。

■その他

そこまで使われていないサブジャンルたち。

<ゴシック系>
Moi dix Mois、Schwarz Stein

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<コスプレ系>
Da'vidノ使徒:aL、Psycho le Cému、Mix Speaker's, Inc、ニンジャマンジャパン

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<和風系>
D、あさき(ギタドラ)、Kagrra,、己龍、メメント・モリ、ジン

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<歌謡曲系>
人格ラヂオ、メリー、シド、ドレミ團

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<デコラ系>
えいみ→☆、DecoLa Hopping

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<サイバー系>
宇宙戦隊NOIZ

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<病院、医療系>
La'Mule、SEX-ANDROID、LuLu

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<メルヘン系>
ユメリープ、グリモア、Leetspeak monsters

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<キラコテ系>
わかりません(ごめん)
言いたいことはわかるんだけどね…

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■最後にまとめ

〜90年代から〜
ヴィジュアル系は、80年代まではヤンキー文化でしたが、90年代からはオタク文化への変容によって名古屋系や耽美系、コテ系など「世界観・コンセプト」が重要視されるジャンルとなりました。

▶︎ヴィジュアル系 ×「世界観・コンセプト」
「病的」→ 名古屋系
「ヨーロッパ貴族」→ 耽美系
「厨二病」→ コテ系

〜2000年代から〜
「世界観・コンセプト」が、沢山のバンドたちによって出し尽くされた結果、2000年代からは「他文化」との融合によって進化してきました。

▶︎ヴィジュアル系 ×「他文化」
「新宿二丁目」→ 密室系、地下室系
「サブカルチャー」→ 白塗り系、ピコピコ系
「原宿アパレル店員」→ オサレ系
「メタル畑」→ ラウド系
「ホスト(ジャニーズ)」→ キラキラ系
「NSCお笑い芸人」→ お笑い系、ネタ系

〜2010年代から〜
「他文化」さえも出し尽くされた結果、2010年代初頭からは新しいサブジャンルが出ていません。
(邦ロック、メン地下、HIPHOP、ボカロ、EDM、クラシック、K-POPなどの融合は成功していない)
(名古屋、ヨーロッパ、新宿二丁目、原宿、秋葉原、歌舞伎町以外の地域特性との融合も成功していない)
これがヴィジュアル系がオワコンとなった原因の一つであると個人的には考えています。

また、世間一般のイメージするヴィジュアル系は、オリジナリティのあった90年代の「世界観・コンセプト」を指すことが多く、2000年代以降の「他文化」については、深掘りはできるが世間には浸透しなかったうえに、その文化のメインストリームには勝てないといった問題も抱えています。

ぶっちゃけホストとメタル畑で成り立っている界隈が悲しすぎて、2020年代そろそろ進化して…
ただ-真天地開闢集団-ジグザグ/WANDSの売れ方は、他のバンドには真似できないよ笑

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