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『シクミヤ』のこと - なぜインターンを募集するか

これまでの情報発信と趣旨を変えて、VisionaryBaseを運営している株式会社シクミヤについて発信する。

これまで口コミや投資家経由かTwitterで仕事の依頼がくる都合上、特段他にPRもせず会社のこともほとんど開示していなかった(HPも不親切だ)。この状態だと、従業員やインターンとして働く人までが「こういう会社で働いていました」と周囲に言いにくい。

初回として、インターン制度について発信する。インターンは何故募集しているのか、何をやっているのかについてこの記事にまとめようと思う。

この記事はインターンを目指す人には勿論、今所属しているインターン生や卒業したインターン生にも見てもらうように書いている。インターンを目指す人にとっては、この記事を読めば”シクミヤのインターン”で何を経験できるか知ることができる。すでに経験した人が読めば、あらためて、全体の方針と取り組んでいる(いた)ことの再確認ができるだろう。

全く関係ない、働いている社会人や経営者の方にとっては、こういう思想で経営している企業があるんだ、という目線で見てくれると嬉しい。

何故インターン生を採用するか

設立時から、インターン生を採用している。採用に至るまでのインターン候補との打ち合わせ時に、以下3点を採用理由として説明している。

(A)起業に関する知識を得た学生を育て、社会に送り出したい
(B)吸収力が高く、能力的に成長している人を組織内に入れたい
(C)組織内に人が循環する状態を作りたい

これら3点についてそれぞれ内容を説明しよう。(A)は会社を設立した社会的意義につながる内容で、(B)(C)は組織のための論理だ。

(A)起業に関する知識を得た学生を育て、社会に送り出したい
インターンとして働く学生は、業務を通じて起業に関する知識を得る。数多くのスタートアップ企業の調達ニュースを確認し、登記簿謄本を読み、資本政策について検討する。

インターン生は、大学卒業後に直ちに起業せず就職して各々のコミュニティに所属する。起業に関する仔細な知識を得た卒業生が、自身が起業する際にその知識を活用したり、周りの起業する人に対していい影響を与えることを期待している。

(B)吸収力が高く、能力的に成長している人を組織内に入れたい
所属する従業員は全員中途入社で、これまでの職業人生により蓄えた知識・経験に依存して仕事をする傾向がある。

対して(少なくとも既存の)インターン生は、専門知識・経験を有さない代わりに、思考力・学習力に優れている。入社したインターン生が事前知識0の状態から業務に携わり、意欲高く学習し知識を身に着け能力を向上していく様は組織全体にいい影響を及ぼす。知識・経験に依存することで、ある意味楽に仕事をしている従業員に強い刺激を与える。

(C)組織内に人が循環する状態を作りたい
経営者の立場として、入社した従業員には会社に居続けて欲しい。しかし、そのエゴを押し付けて従業員に「永続的に居て貰う事」それ自体が組織運営上の目的になるとグロテスクだ。会社と従業員の関係はフェアであるべきで、会社が従業員に対して所属するメリットを提供できなくなった時点で、従業員が退職を選べる方が良い。

その点、インターン生は学校卒業後に就職と共に必ず退職することになる。組織のメンバーが入れ替わるイベントが定期的に発生するため、「組織を離れる」選択肢は誰にとっても意識されやすくなる。これにより、管理する人間として、「この従業員は退職しないだろう」という甘えた態度は容易に取れなくなる。

インターン生は何をやるか

採用したインターン生には、どんな作業をやってもらうかについて説明する。抽象化すると、インターン生は以下3ステップの順番で作業を実施する。

(1)データ打ち込み作業並びにその加工
(2)データの内容理解・処理のために必要な知識習得
(3)データ処理方法の合理化・自動化

(1)データ打ち込み作業並びにその加工
シクミヤでは、非上場企業については登記簿謄本と資金調達ニュース、上場企業については有価証券報告書と決算説明資料に掲載された情報に関するデータベースを構築している。

入社したてのインターン生には、まずはどれか1つの担当範囲を決めてデータの打ち込みを担当してもらう。複数企業に関する同じ書式の書類を閲覧し、そのデータを打ち込むことを担当してもらうことで、①担当範囲に関する資料の見方を覚えて貰うことと②元資料からデータを抽出するためのルールを見つけて貰うことの2点を達成したいと考えている。

(2)データの内容理解・処理のために必要な知識習得
(1)の工程はPDF等のデジタルデータを、インターン生の目と手を用いて別の形式のデジタルデータに変換することに他ならない。上述の②で見つけたデータを抽出するルールについて、それが自動処理できそうなものであれば、その自動化ができないか検討してもらうことになる。

自動化に伴い、その範囲が本当に自動処理できるか判断するために知識が必要となる。読み解くために必要なファイナンスに関する知識を専門書で、自動処理を行なうために必要なプログラミングスキルを必要な手段で(例えば、未経験者にはProgateの有料アカウントを付与する)、それぞれ身につけて貰う。

(3)データ処理方法の合理化・自動化
知識を身につけたら、自動処理の実装に携わる。インターン生が自分で組み上げた自動処理は、エンジニアがレビューして適時アドバイスを行なう。

対象とするデータによっては(そして、結構な割合で)画一的な自動処理が行えない。そのようなデータに対しては、作業方法の手順最適化や判断基準の明確化など、経営工学的な手法による標準作業時間の短縮に挑んで貰うことになる。

インターン生に何を習得してほしいか

各作業を通じてインターン生が習得する知識・経験について記載する。主に以下3点の知識・経験が身につくと考えている。

① スタートアップ・起業に関するエコシステムに対する知識 
② ファイナンスとデータ分析に関する知識
③ 学生時代に変わったインターンを行った経験

① スタートアップ・起業に関するエコシステムに対する知識
スタートアップに強い興味を持っている学生を除いて、未上場の企業を数多く知っている学生は稀だ。

インターンとして働く学生は、業務を通して色々なスタートアップの情報に触れる。調達や新規上場のニュースを見て、そのニュースに登場した企業の登記簿謄本や有価証券報告書を見ることで、投資家・企業・経営者の名前を覚える。

② ファイナンスとデータ分析に関する知識
業務の性質上、ファイナンス(特に、資本政策)に関して知識を習得する。知識習得後、その知識を用いて企業の分析を行なうことにより、実践的な知識習得が可能になる。

また、インターン生は業務中に企業情報に関するデータ分析に携わることになる。大量のデータを分析する際に個々のレコードをどのように扱ったらいいのか、集めたデータから統計量はどのように出すのかなど、データ分析に関する基礎知識を得ることができる。

③ 学生時代に変わったインターンを行った経験
過去に所属したインターンの1人は、2019年1年間に行われた調達ニュースのほぼ全てに目を通した。今所属しているインターン生には、各スタートアップが発行した新株予約権(ストックオプション)を3000種類目を通してもらって、設計についてまとめてもらっている。

インターンを通して専門家に勝る専門知識を得ることは難しいが、専門家でも目を通さない量の実例に触れてもらうことはできる。ある程度の量をこなすと、その経験はエピソードとして語れるものになり、今後の人生において自信を形成する一助になる。

おわりに:応募リンク

このnoteでは何故インターン生を採用するか、採用した場合何をやらせるか、やらせた結果何を習得するかについて述べた。このnoteを読んで応募したい学生がいれば、以下の応募ページから応募を受け付けているため、応募してもらいたい。


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