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噓日記 6/25 体調不良

昨日しこたま酒をかっくらったおかげで一日中布団の上で寝て過ごした。
普段は二日酔いになることなど滅多にないのだが、ちょっと体調が悪い中でそれを無視して馬鹿みたいに飲んだのが祟ったようだ。
こんなに体調が悪いのはパイズリという言葉を作ったのが山田邦子だと聞いたとき以来かもしれない。
世界は残酷だ。
今朝は目が覚めた瞬間から喉がカラカラに乾いていたので作っておいた麦茶を1リットルほど飲み干し、それからなんだか体調がおかしいことに気がついた。
足が地についているのに、なんだかフワフワした感じがする。
言いようのない浮遊感が纏わりついているのだ。
昨日の酒がまだ分解できていないのだろう、我が肝臓の衰えが如実に現れている。
こんな日に散歩なんかしてみたら何度か転けるだろうし、帰り道がわからなくなって大きな声で泣くだろう。
大人しく床に着いて、天井を眺める。
手元のスマートフォンで動画配信サイトを開き、動画の音だけを楽しむ。
犬猫の動画なので毛ほども面白くない。
さっさと眠ってしまえばいいものの、こんな時にばかり頭は回る。
こんな生活でいいのだろうか、そろそろ車検の時期だ、なんて普段は気にしていないふりをしている事柄が頭の中をぐるぐると巡る。
身を捩って、抱き枕を足の間に挟み、赤子のように体を丸めて考えたくないことから逃げる。
大丈夫、なんとかなる。
いつもはそうやって誤魔化してきた日常の影が今日は嫌に鮮明に見えてしまう。
耳元で囁くように、今考えなければならないと押し付けられている感覚さえする。
体調が悪いときにこんなことを考えてもいいことなんてないし、理論がまとまることもない。
だから無理矢理にでも楽しいことを考える。
こんなときにうってつけの楽しいもの。
そう、山田邦子である。
女性で唯一天下を取ったお笑い芸人である彼女は、出てきた時代の価値観から考えてもその功績は計り知れない。
今でこそ女性の社会進出が叫ばれる時代であるが当時は女性の芸人というだけでどこか一過性の娯楽のように消費されていた。
その価値観さえも破壊したのが山田邦子なのだ。
彼女の卓越したお笑い力には今でも舌を巻く。
ついでにタレントショップのクーニーズが火事で全焼したのもめちゃくちゃ面白い。
そんな彼女が作った言葉を記しておく。
パイズリ。
なんだかまた体調が悪くなってきた。
もう寝よう。
山田邦子はお笑い芸人ではない、終わらない芸人なのだ。
やまだかつてない体調不良。

どりゃあ!