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噓日記 11/18 歯医者怖い

久々に歯医者に行ってきた。
歯医者は怖いものだという固定観念が公共の電波で流布されてきたので、俺は昔から歯医者が苦手だ。
幼い頃から絵本などで擬人化された虫歯菌が歯を削る様子なんかを見てきたものだから、どこか口内を医者に見られるという行為がそのまま痛みに直結するような錯覚がしていた。
勿論、そんなことは実際にはないのだが他の内科や外科と比較して足が遠のきやすいという印象が大人になった今でもあった。
実際、最後に行ったのが去年、歯石の除去に行って以来だ。
その時も行きたくないと思いながらも、そろそろ行かねばと逡巡し、予約を取って逃げられなくしてから無理やり行った。
今回も歯石の除去と虫歯がないかの確認だ。
奇跡的に予約が丁度俺が行きたい時間にだけ空いていたので助かった。
クリニックに到着後、待つこともなく席に通される。
スーパーリクライニングのシートに座らされ、アホみたいなピンクの前掛けを首に巻かれ、強いライトが顔を照らしてくる。
圧迫感がある。
この威圧感がやはりどこか苦手だ。
医者に言われる通り口を開き、歯石の除去へ。
キィーンと高い音で響く何かと、シュコーという音と共に唾液を吸う何かが口内に侵入してくる。
やめてほしい。
痛かったら左手を挙げてくれと言われたが、大の男が痛いからと手を挙げていたらバカみたいなので挙げない。
だが、思ったより痛い。
歯石の除去はかなり歯茎のギリギリを攻めてくる。
ちゃんと痛い、しっかりと痛覚がある部分にダメージを負っている。
反射で挙げそうになる左手の中指を右手で折れそうになるまで逸らして痛みに耐える。
医者からすると凄い力で中指を立てられていると思ったかもしれない。
申し訳ない。
キィーンという謎の器具の音が止まり、やっと終わったかと思ったら口をゆすげと指示がでる。
言われた通り、紙コップに入った水で口内をゆすぎ、吐き出す。
ただの水が薄ら色付いているように見える。
そして、紙コップの飲み口にはしっかりと血がついている。
俺はちゃんと出血しているようだ。
その後、よく知らない塩辛い薬を歯に塗布されたりとなすがままに治療を受けた。
やっと終わった、解放された。
「では、次回虫歯の治療をします」
いや、虫歯あったんかい。
医者の言うことには小さい虫歯のなりかけみたいなものがあるから次に治そうとのこと。
俺はまた嫌いな歯医者に行くことが確定した。
それ、今日どうにかしてもらうことはできないだろうか。
できないんだろうな、次来いってことは。
これからは一ヶ月に一回、もしくは二ヶ月に一回くらいは歯医者に行こう。
一気に痛い思いをするよりマシだし。

どりゃあ!