見出し画像

噓日記 4/26 脅迫日記

最初に記しておくがこの日記は私の意思によって書かれていない。
今、私は謎の老婆に銃を突きつけられながらこの日記を書いている。
もし老婆の意に沿わないことを書いたら、もし老婆の機嫌を損ねたら、その瞬間ズドンとあの世行きだろう。
老婆からの要求はこうだ。
これから出すお題ワード3つを使ってスカッとする小話を作れ。
お題のワードは「苦」、「豆腐」、「ヤング」。
それらを巧みに使いつつも、老婆が抱える精神的な地雷をうまく回避して物語を紡がねばならない。
老婆から出題された一世一代の大喜利である。
やってやる。
私にしてみれば物語を作ることなど簡単だ。
さらにテーマであるスカッとする話に関しては私の生業だ。
私はスカッとする話まとめサイトを運営しており、私が創作した話をさもあったことかのように掲載し、アフィリエイト広告による収益を得ている。
噓と現の見分けがもはやつかない私にとって、現実とは私の脳内の延長に過ぎないのだ。
では、始めよう。
私は夏休みの宿題を早めに終わらせるたちだからお題ワードはめちゃくちゃに早く消化してやる。

題名:隣の家の子どもがネグレクトにあってるっぽい
豆腐とヤングコーンを使った新しい創作料理を考えているのだが、なかなか難産で丁度良い料理らしさが出ない。
苦し紛れに豆板醤を入れてみたところこれが大正解。
うまく中華料理っぽさが出てきたように感じる。
さて、舌鼓を打とうかと思ったところに、インターホンが鳴る。
それも一度ではなく、何度も執拗に押される。
居留守を決め込もうかと思ったが、そう執拗に押されるので我慢ができず玄関まで様子を見に行った。
ドアスコープから外を覗いてみても、誰もいない。
小さくドアを開けるとそこには隣の部屋の子どもが立っているではないか。
この隣の部屋に入居している家族というのが厄介で朝から晩まで何か言い争っているような声が聞こえたり、子どもが夜中に泣きながらベランダに立たされていたりと近所でも評判の所謂、触れづらい家庭なのだ。
我が家を訪ねる子どもの身なりもなんというか、ガリガリで小汚く、なんなら風呂にも入れてもらえていないのではないか? うっすら臭いもする。
「おなかがすいた」
齢5つといったところだろうか、その子が目に涙を溜めて腹が減ったと訴えてくる。
きっと親を怒らせて食べ物を与えられなかったのだろう。
しかし、ここで飯を与えてしまうと向こうの親に何を言われるか分かったものじゃない。
一度部屋に招き入れてしまうと何度も訪ねられるようになっても困る。
私は心を鬼にして扉を閉

話の途中のようですが老婆的には子どもが飢えてるのNG。戦時中の生まれだもんで。

どりゃあ!