まず『サーホー』を観に行こう、という話
はじめに
おつかれさまです悪霊です。
なんとなくあちこちの自粛が緩んできて、あれやこれやの施設も開くようになってきましたね。映画館も例外でなく、各所で営業が再開されております。
TOHOシネマズ公式より引用
しかも各映画館も気合を入れて、新作映画に加えて過去の名作をリバイバルで上映していたりも。これはもう鬱憤を晴らすなら今!ってなもんです。(もちろん手洗いうがいマスク等の対策をした上で、ですよ)
で、問題になるのが「こんだけ色々やってると逆に何観れば良いの?」という点。アクション、推理もの、ラブロマンス、バイオレンス、ダンス、クライム、カーチェイス……色々ありますからね。
そこでひとつ、ご提案がございます。
だいたい全部詰まってるんで、『サーホー』、観ません?
どんな話?
インドのはるか遠くにある暗黒帝国の犯罪都市ワージー。このきらびやかな大都市を裏で牛耳るのがロイ・グループのロイ(ジャッキー・シュロフ)だ。20年前、抗争に敗れたロイはボンベイ(現在のムンバイ)からワージーへ脱出し、首領プルドヴィラージの後継者になったのだ。
ロイは金や石油の裏取引で組織を発展させたが、後継者争いに破れたプルドヴィラージの息子デーヴラージ(チャンキー・パーンデー)は面白くなかった。やがて、内部の対立が表面化すると、抗争を恐れたロイは裏社会から脱却し、ロイ・グループとして合法的な事業を展開した。そして、2016年からインド政府の優遇措置を受け、再生可能エネルギー及び水力発電事業を展開させる。しかし、その事業が動き出した矢先、ロイ会長は凱旋したムンバイで暗殺されてしまった。
その3週間後―。ムンバイ市警察は、被害総額3億ドル(約300億円)の謎の窃盗グループを追っていた。実行犯を全員逮捕したものの、逮捕者は「見知らぬ者から指示を受けただけで、犯罪に加担していない」と自供する。実に謎めいた事件だった。そこで、市警幹部は現場に「今後の捜査は覆面捜査官に託した」と明かす。
男の名前はアショーク(プラバース)。逞しくしなやかな肉体、そして、鋭い洞察力を持つタフガイ。大男たちをなぎ倒したと思えば、事件現場では犯行当時の犯人の動きを見事に言い当てる伝説の捜査官だ。
舞台は再びワージー。ロイ・グループの会議は後継者や今後の方針をめぐって紛糾していた。ロイの家族はかつての抗争で全員死んだと思われていたが、遠くの地で人知れず一人息子を育てていた。その息子ヴィシュワクが帰還したことで事態は大きく動く。ヴィシュワクは「資産2兆ルピー(約3兆5500万円)の在りかは私だけが知る」といい、金庫のカギとなるブラックボックスはムンバイにあると明かす。こうして、秘書のカルキ(マンディラ・ベーティー)はブラックボックスを手に入れるためムンバイへと赴く。一方、かねてから会長の座を狙っていたデーヴラージは、自分の手下たちにロイを殺害させ、2兆ルピーを奪ったと告白する。
市警と合流したアショークは、美人捜査官アムリタ・ナイル(シュラッダー・カプール)を相棒にして、特命チームを指揮する。特命チームは窃盗グループを仕切る謎の男(ニール・ニティン・ムケーシュ)の姿を捉えていた。アショークはこの男との接触に成功。男は“ワージーにある金庫を開けるブラックボックスを入手してみせる”と豪語していた!市警がこのブラックボックスを手に入れれば、犯罪シンジケートのムンバイ進出を阻止できる。
こうして、ロイ・グループ、ムンバイ市警、謎の窃盗グループが入り乱れてのブラックボックス争奪戦が始まった。最後に、それを手にする者は誰か?
(公式サイトより引用)
どうだった?
ざっくり要約しますと、架空の近未来の架空の大都市ワージーを舞台に、ヤクザと警察と泥棒が大金を巡って三つ巴でドンパチやる話です。
……もうね、もうね。詰め込みすぎ!
誰ですかインドの中2男子にボリウッドマネーを握らせたのは!尺いっぱい男の子の妄想ノートの中身みたいのが実像を伴って襲い掛かってきちゃってるでしょうが!好き!!!
そもそもこの映画、169分(2時間49分)あるんですが、それでも完全に過剰積載。本来3部作6時間くらいでやるべき内容をこの尺に突っ込んでるもんだからもうしっちゃかめっちゃかなんすよ。1時間半くらいで急に「SAAHO」ってタイトル出て来てアレ?終わり?と思ったらそっからシレっと1時間続くっていう……。
よくよく「3勢力入り乱れての…」などという売り文句は耳にしますが、それにしたってまあ各勢力動く動く。勢力Aだったキャラが実は勢力Bのスパイで、かと思ったら実は勢力Cこそが本来の所属なんだけどまた勢力Aに弱みを握られて……みたいな動きが各所で3時間弱切れ間なく起こりまくるので目が離せません。
(そうして入り乱れる人々がみんなソース顔の単髪ヒゲおじさんなので途中から正直誰が誰だか分かんなくなってくるのはご愛敬という事で)
それでいて絵としてはもう迫力と興奮の連続。
激しい銃撃戦の中大きめのBGMと共に駆けつけるプラバース!
セクシーなヒロインとクラブでキレキレに踊りまくるプラバース!
丸腰で空中戦を演じ、挙句の果てにジェットウイングで飛翔するプラバース!
砂嵐の中、屈強な荒くれとバーリトゥードで殴り合うプラバース!
……正気か?
一応申し上げておきますが、コレ、同じ作品ですからね?
『ミッションインポッシブル』かと思ったら『ワイルドスピード』、かと思えば『シティーハンター』や『ルパン三世』をやり始め、『アベンジャーズ』というかMCUを彷彿とさせながら『HiGH&LOW』や『マッドマックス』になだれ込み、最終的には『バーフバリ』に落ち着く、みたいな感じでした(個人の感想です)
あ、もしかすると序盤の昼行燈系スケベヒーロー感は人によってはちょっとキツいかもですね。それこそ『シティーハンター』みたいな感じなので、ちょっと価値観のズレがあるかもしれない。『バーフバリ』の時はあまり気にならなかったけど、まあアレは神話だしな……。
※今更申しますが主演のプラバースさんは一部で凄まじい人気を誇る『バーフバリ』シリーズの主人公、バーフバリ役で有名ですよね。今更申しますが。
というかコレ、結局色々やりつつメチャクチャ出来の良いプラバースのPVですよね。清潔感溢れるスーツ姿から髪を乱したアウトロースタイル、唐突に挟まれるダンスシーンでのド派手な衣装まで、プラバースの驚異のプロポーションが遺憾なく発揮されております。
まとめ
というわけで、様々なジャンルを内包したプラバースのPVこと『サーホー』、オススメです。どこまでシラフでやってんのか一切分からないインド映画独特の空気感と、それはそれとして問答無用で盛り上がってしまう迫力満点の画作りは、観ればくさくさした心もアガる事間違いなしです。
『サーホー』、万歳(サーホー)!
受肉代にします