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ふじかわ・甲斐国と HIGH RAIL 星空で静岡・山梨周遊

去年の夏頃に、静岡県から始まり山梨県をぐるっと鉄道旅行した時の記録です。忘れないうちに書き留めておきます。
始まりは朝6時台に品川を新幹線こだまで出発して、静岡駅まで行きます。早朝のこだまは自由席でも余裕で空いている印象でした。静岡駅に降り立つのはこれが初めてです。

目的の列車の発車までには時間があるので駅の売店でお土産などを見て時間をつぶしました。この駅は県庁所在地の駅でもあるにも関わらず、意外と高校生の利用が多いようです。

駅で売ってる高級食パン

かつて中央本線をセントラルライナーで走っていた313系8000番台の電車が普通列車として現在は静岡で走っています。静岡県を普通列車で横断するようなことはもう多分やらないと思いますが、この電車に当たればかなり快適に移動できますね。

駅ホームには駅そばもあって、ここはチーズそばで有名なんですが、この日の気温は30度以上あり、流石に温かいそばを食う気にはならなかったので、朝食としては冷たいそばを食べました。

今回乗った列車は臨時特急「ふじかわ・甲斐国」号です。これで甲府駅を目指します。ちなみに、静岡駅から甲府駅までは定期で特急ふじかわ号が走っています。位置づけとしてはふじかわ号の臨時便というところでしょうか。
「山梨県特別観光キャンペーン」のオープニングセレモニーに合わせての運行が目的だそうです。全車座席指定で、これに乗るとノベルティとか特産品が貰えます。

ヘッドマークは特別に用意されたものなのでホームにはマニアの人が大量にいました。ホームにはマニアの人たちは大量にいるのに、なぜか乗車してくる人はあまりいませんでしたが。
座席は東海道線では海側、身延線内では富士川が見えるA席を事前に e5489 で予約しました。

JR東海のローカル電車特急でお馴染みの373系
定期運転のふじかわと異なり自由席はありません。

国道1号線沿いと並走しながら東へ向かいます。

薩埵峠辺り

乗車してからしばらくしてJR東海の社員の人が特産品などを乗客に配りはじめました。内容はどら焼き、みのぶまんじゅう、入浴剤と和紙と、観光パンフレットでした。あと、ペットボトルの静岡茶もいただきました。

みかんジュースは自腹です。

しばらく富士川沿いにローカルな景色が続きます。残念ながらこの日は曇っており富士山は行きの新幹線も含めて一切見えませんでした。

富士川沿いの景色その1
富士川沿いの景色その2
富士川沿いの景色その3
身延駅。身延山久遠寺久尾の玄関口です。
遠くに見えるのが身延山
身延山

観光パンフレットの表紙のキャッチコピーは「田舎は美しい ~ここにしかない絶景がある~」というもの。この辺の地域には始めてくるのですが、電車で通り抜けるだけなのでちょっと申し訳ないです。富士山がそれなりの距離で見えるところがウリな地域でしょうかね。
アニメ「ゆるキャン△」の舞台がこの辺の地域だそうですが、あまりその辺意識して視聴していなかったので感慨深いと思えるところは正直なかったです。勉強不足って損ですねぇ。

身延駅を過ぎたあたりでノベルティグッズの配布です。乗車記念証として、ヘッドマークと同じ柄のしおりをいただきました。観光向けの臨時列車でありながら、普通の沿線の用務客もチラホラといるのですが、そのような人にも配っていたのが印象的でした。「えっ?」みたいな反応でしたが。

山梨県の鰍沢口駅を過ぎてから甲府盆地に入るのですが、このあたりから風景は田園風景と住宅地が入り混じるというような感じです。個人的にはあまり面白いものはなさそうかなという感じでウトウトしながら終点の甲府駅まで駆け抜けます。

甲府駅にてホームから

甲府駅では駅長や山梨県の観光関係の人が総出でお出迎えです。こういうの恥ずかしいので私は横断幕をバックに撮ってもらったりはしないんですが、家族連れの方やシニアな方たちは駅で記念撮影などしておりました。

ようこそ!やまなしへ!
JRの山梨キャラクター「モモずきん」もお出迎え

到着したのはちょうど昼飯時なので、駅を出て早速ランチにします。初めて山梨県に降り立ったのでとりあえず山梨の郷土料理とか食べたいなと思い立ち、電車の中で調べていたほうとうの店に向かいます。同じ電車に乗っていたグループの何人かもこの店に向かっていました。
山梨県と長野県に展開しているチェーン店だそうです。甲信地域には縁がない人間なので新鮮に感じるものではあります。

流石に蒸し暑い7月ですので、温かいほうとうは食う気にはなれず、天ぷらおざら(冷やしほうとう)を選びました。結構量が多く、朝から電車に座ってるだけの身としては完食するのがちょっとしんどかったですが、美味しかったです。夏以外で来たときは今度は温かいほうとうを注文しようと思います。

次の目的地に行くためのバスまで時間があるため、しばらく甲府駅前をウロウロします。まずはヨドバシカメラ。駅前にヨドバシカメラがあることで、ここはまだ首都圏だと主張しているような感じがします。特に買うものもないので、適当にカメラやパソコンのコーナーを回って冷房で身体を冷やしてすぐに出てきました。

ヨドバシカメラマルチメディア甲府

まだ時間があるので舞鶴城公園(甲府城跡)の上まで来てみました。天気は若干ガスっていて遠くの山は霞んでいるような感じです。天守台からは甲府市街が見渡せます。

天守台から勝沼方面
天守台から市役所などの方面

城から下った後は駅前のバスターミナルまで戻り、路線バスで昇仙峡を目指すことにしました。山梨交通のバスが日中45分間隔くらいで運行しています。市街地を抜けると山道をグネグネと昇っていきますが、乗り物酔いに弱い人は気を付けたほうがいいかもしれません。紅葉の時期はかなり観光客が多いみたいですが、7月の梅雨の合間の土日はかなり道路も閑散としていました。
Suica など交通系 IC カードが使えます。

路線バスからはあまり写真は撮ってない…

昇仙峡は日本五大名峡のうちのひとつで、甲府市の北部に位置します。正式には御嶽昇仙峡と呼ぶらしいです。初めてきました。
近づくにつれて大きな奇岩が道路から見えてくるようになり、なんか雰囲気の違う所にきたな~という感じがしてきます。

奇岩にも名前がついてるそうですがこれはどれなのか覚えておらず

バスは終点の昇仙峡滝上というところまで行くのでそこで降ります。影絵の森美術館の駐車場内にバス停があります。そこから徒歩で見物して回ることにしました。地図や観光ガイドは甲府駅前のバス乗り場にパンフレットが置いてあるほか、公式ページでも公開されていますので事前にどこを回るか決めておいた方がスムーズに回れて良いと思います。

八珠願いというスポットがありまして、ガチャポンのマシンに 200 円を投入して8個の願い石を購入して、お鉢に石を投げ入れて願掛けすることができます。私はノーコンなので、3個ぐらいしか入りませんでした。

遊歩道を下っていくと、仙娥滝という滝が見えてきます。仙娥とは中国神話に登場する月に行った女性嫦娥のことを指すらしいです。落差30メートルなんですが、滝といえば那智の滝とか華厳の滝とかのほうを見慣れているとそこまでインパクトは強くはないように思いました。紅葉とセットになると良い感じになるみたいなんですが、梅雨の合間の晴れの日だとこんな感じです。

仙娥滝

滝と反対方向の景色は覚円峰です。昇仙峡の代表的な景観となります。こっちの景色のほうは日本じゃないような、水墨画のような景色を楽しむことができます。

昇仙橋の上からから覚円峰

遊歩道は少し奥まで進んだのですが、この後別のところにも行きたかったので途中で引き返してきました。下ってきた遊歩道の階段を昇るのが結構キツかったです。

仙娥滝の上の昇玉堂付近の風鈴。夏っぽくていいですよね。

バス停付近まで戻って、徒歩10分ぐらい進んだところに昇仙峡ロープウェイ乗り場がありますので登ることにしました。折角来たんですし、山の上からの景色ぐらいは見ておきたいですよね。大人一人往復1300円です。

土日なのでロープウェイはそれなりには混んでいるような印象です。20分に1本が運行されています。後方展望できる立ち位置を運よく確保して風景を見ることができました。

奥に見えるのは荒川ダムのダム湖(能泉湖)です

山頂パノラマ台駅には売店がいくつかと八雲神社があります。山の名前は弥三郎岳と呼ぶらしいです。山頂まで少し歩けば展望台があるということで目指しました。道中は岩場で砂地っぽい箇所が多いので、滑りやすい靴は絶対に避けた方が無難です。
予想していた通り、残念ながら富士山は雲で見えなかったので、帰りのロープウェイに間に合うよう急いでロープウェイ乗り場まで下山しました。

見るときはこの向こうに富士山が見えるらしい
展望台まで登りましたがとりあえず来た記念

ロープウェイで下った降り場付近に黄金池という、金色の鯉が沢山いる池があります。金運アップができるということで俗な人が沢山群がっていてなかなか出られません。

黄金池

仙娥滝駅チケット売り場脇の水槽には黄金のヤマメがいます。近寄ってみると金色というよりは鯛みたいな赤色でしたが…
ちなみに隣のポップのキャラクターは、昇仙峡ロープウェイのイメージキャラクターはせんがタンというらしいです。2011年に生み出されたキャラクターなのでネーミングセンスはちょっと一昔前みたいな感じがして味がありますよね。

行きはスルーしてましたが、ロープウェイ乗り場前には天然鉱石を使用した健康グッズを売っている店がいくつかあります。パワーストーンの類は信じてはいませんし、でかいクリスタルなんか家におくことに有難みを感じる性格でもありませんが、お守りや記念に小さい勾玉くらいは買って行ってもいいんじゃないでしょうか。

一通りお土産店を見た後はバス停まで戻ってバスを待ち、そのままバスで甲府駅まで下りました。予定ではバス到着後すぐに松本方面の普通列車に乗って小淵沢までいくことを目指していたのですが、渋滞でバスが遅れつつあったのでヒヤヒヤしてました。甲府駅へ着いた後はバス下車後小走りで駅へ向かいましたが無事に間に合いました。

甲信地区でよくみかける211系オールロングシートの車両です。土曜の15時過ぎあたりの電車なのでご覧の通りガラガラです。このまま山梨県の一番西の小淵沢駅まで向かいます。竜王、塩崎、韮崎、新府、穴山、…と見どころの多い区間を抜けていきます。風景としては町並みよりは山や雑木林メインで、坂道に駅があったりと長閑な風景が続きます。

小淵沢駅は中央本線と小海線の乗り換え駅で、中央本線の山梨県の中間駅としては比較的規模が大きめの駅となります。八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、清里など高原リゾートへの観光の中心地となります。この駅には速達タイプでない特急あずさも停車しますが、あまり停車本数は無いので、ある目的を達成するには普通列車にどうしても乗らないといけませんでした。

駅前には馬のモニュメントがありますが、これは小淵沢駅から分岐している小海線の沿線が、昔から馬の飼育が盛んな土地だそうで、そのため駅のある北杜市は馬のまちと呼ばれるみたいです。

馬のモニュメント

この後小海線に乗り換えるつもりなんですが、少し時間があったので駅舎の屋上の展望デッキでちょっとした間食を摂りつつ、風景写真でも撮ることにしました。富士山は残念ながらやっぱり見えませんでした。
ちなみに駅には立ち食い蕎麦の店もあるんですが、大混雑でしたので諦めました。

通過する特急あずさ
あの山並みを越えるとおそらく諏訪方面

しばらく待っていると次に乗る予定の列車が入線してきました。本日最後の乗車予定の観光列車「HIGH RAIL」の当日最終便です。1カ月前に指定席券をえきねっとで朝10時から狙って確保しましたが、そのあとすぐに満席になったくらい人気の列車です。
日中も1号と2号が「HIGH RAIL 1375」として運行されていて、JR線で標高が一番高い地点を走る小海線の沿線風景を楽しめるのですが、夜に運行される「HIGH RAIL 星空」については星空観察会が行われます。
ちなみに「1375」は清里駅と野辺山駅の間に存在する日本における普通鉄道最高地点の標高1375mに由来します。日中の運航便には「1375」という愛称がつきますが、夜の下りの小諸行きの便は「星空」という愛称になります。

HIGH RAIL 1375 に使用されるキハ100系/110系気動車の改造車

普通の定期便(右側)といったん並びます。右側の列車が先に出発した後しばらく経つと「HIGH RAIL 星空」も出発します。

出発までドアはすぐ開くわけではないのでホームを見物しつつしばらく待ちます。ホーム上には特に売店はないので事前に駅舎内の売店で弁当など確保すべきです。自販機ぐらいならばホーム上にもあります。

これから進んでいく小海線の各駅標高を示す地図

小諸方面の先頭側になる2号車にはギャラリーHIGH RAILというスペースが設けられており、プラネタリウムのような天井や一般向けの天文関連の書籍が配置されています。

ギャラリーHIGH RAIL
乗車スタンプなどは車端部にあります

天気が良くて星空が見える条件では野辺山駅の停車時間で「星空観察会」が開催されるのですが、この日は天気は良いものの19時台は全然暗くない時期なので、ギャラリーHIGH RAILで「映像上映会」が開催されました。
映像上映会はギャラリーHIGH RAILのスペースの都合やコロナの時勢でもあることから少人数で複数回に分けて実施されます。小淵沢駅発車後に整理券が適当に配られます。一応希望は聞かれますが、とりあえず一番最初ということになりました。
上映会は夏の星座の話がメインでした。当然ながら、天体や宇宙のコアな話が聞けるわけでもなく万人に向けた説明となるので留意しておいたほうがいいかもしれません。

ギャラリーHIGH RAILのスクリーン
小淵沢駅発車後はターンするように進路方向が変わります。
映像上映会の整理券

野辺山駅には時刻通りでは 18:53 に到着します。7月上旬なので日はまだ沈んでいません。ここでは19:42まで50分ほど停車時間があり、天気が良くて暗ければ星空観察会が開催されます。条件が揃わない場合は車内で過ごすか、駅を出て周辺を散策するなどで過ごすことになります。車内販売でアルコールも提供されているので、その辺はいくらでも過ごしようがあります。
私は車両を降りて車両の写真を撮ってみたり、駅を出て駅前をブラブラしてみることにしました。

JR鉄道最高地点、標高1375m
野辺山駅
7月上旬の19時台はまだまだ明るい
野辺山駅駅舎。この駅舎は3代目。
入道雲
駅前の銀河公園にはC56形96号機が展示されています
出発する頃には空は真っ暗

この後は小海駅で8分ほど停車する以外、ほかの駅は1分程度の停車で走り続けます。夜間なので周囲の景色はもう見えず、ウトウトとしながら小諸方面まで進んでいきました。
私は2号車のリクライニングシートの窓側の席に座っていたのですが、通路側の人と話をする機会が得られて、お互いどこから来たのかとか、今日はどこまで行ってきたんですか、とかそういった会話をしばらくすることになりました。特に連絡先を交換するといったことはしませんでしたが、旅の中で出会いがあるのはいいものですね。

HIGH RAIL の終点は長野県の小諸駅になりますが、今回は佐久平駅で降りることにしました。
ここから北陸新幹線に乗り換えることで 20:57発のはくたか576号東京行きで同日中に東京まで帰ることができる (東京 22:12 着) のですが、今回は佐久平駅前のアクアホテル佐久平に宿泊することにしました。駅から徒歩1分の好立地です。

佐久平駅
アクアホテル佐久平のシングル部屋

夕飯は小淵沢駅で買ったものの車内では食べなかった駅弁「甲州Wワイン弁当 しあわせ甲斐」をいただきました。ハンバーグと牛肉の炭火焼きの弁当ですが、ハンバーグのほうは個人的には冷凍食品の感じがしてちょっと残念な感じかなぁと思いました。

甲州Wワイン弁当 しあわせ甲斐

この後はシャワー浴びて、翌日の軽井沢方面への行程だけ立てて、すぐに寝落ちしました。

乗り鉄ばっかしてる移動旅行になるかなと切符の確保時点では想像していましたが、実際には昇仙峡の観光も含めてバスやロープウェイも利用したりと待ち時間で色々観光出来たりと、朝から晩までかなり充実した1日でした。移動経路はなんだかすごいように見えますが、要所要所ではちゃんと観光出来ました。星空観察会が見れなかったり、終始富士山を見ることがなかったのは残念なので、またリベンジしたい行程です。

この1日の行程


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