無本番・練習日記2020年10月5日~11日

2020年10月5日(月)
音階
クロイツェル:42の練習曲
 モダンヴィオラでクロイツェルの14番を弾き、曲が流れはするものの拭えない息苦しさに疑問を覚える。とりあえず何も考えない(≠何もしない)状態で弾くことにするが、雑念が多いのか時間が迫っていて急いでいたためか、息苦しい音楽が出てくるだけだった。これでは恐らく、演奏者だけでなく聴いている側もしんどいであろう。良いことは何一つなさそうだ。
 バロックヴィオラは楽器の無事確認のみ。多少調弦は狂っているものの、弦は切れていない。良し。音出しのついでに、クロイツェルの14番をバロックで弾いてみる。感触が全く違うのは面白いが、長いスラーはモダンのようにはいかないと実感。掘り下げる時間まではなかったため、数段弾いたところでこれは次の機会にまわすことにする。

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2020年10月6日(火)
音階(C-dur)
ジェミニアーニ:音階練習のページ
音階(C-dur , a-moll)
オケ授業譜読み
ドント:練習曲とカプリス Op.35(ヴィオラ編曲版)
 バロックヴィオラは音階に終始した日。カール・フレッシュの音階教本でC-durの5番を弾き、ジェミニアーニの音階練習のページでGの音から始まる音階を抜き出し、速さや
弓遣いを変えて色々なパターンで弾く。コロナ禍で本番が軒並み中止延期になるまでは苦手だったバロックヴィオラのポジション移動、楽器に向き合う時間が増えたことで、少しは克服できているのだろうか。
 モダンヴィオラはこちらもいつも通り、カール・フレッシュの音階教本からC-durとa-mollの5番。軽くオケ授業の譜読みをした後気分を変えるために、ドントを取り出した。特にこれといった目的意識は持たず、目をつむって開いたページを、細かいことを抜きにしてとにかく弾いていくことに。ストレス発散の衝動買いではないけれど余計なことを何も考えなくなるので、楽器が弾けるときはこれが一番気分転換になる(ような気がする)。弾いたのは1番・7番・13番。
 最後に弾いた13番で手こずり、結局通常の練習へ。弾いているうち、案外聞いているつもりで耳に入っていない、聞き落としている音があることに気付く。アップボウにあたる音であることが多いので、意識するようになったつもりでも、まだまだダウンボウから弓を返す際、自覚なし・条件反射的にアップボウを使ってしまっているのかもしれない。腕の疲れと共に練習終了。アップボウの扱いって難しいよな、と思いながらここ数日は楽器を弾いている。ヴァイオリンの練習にはたどり着けなかった。

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2020年10月7日(水)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー(ヴィオラ編曲版)
 午後から外出のため、音出しできる時間は30分。出先でモダンヴィオラは弾けるため、明日も弾けないことを考えると選択肢はバロックヴィオラに絞られる。テレマンのファンタジーは2番。使っている楽譜には曲ごとに演奏時間が記してあり、こういう時に気持ちに余裕が持てるという点において助かる。1曲1曲が短いことはわかっていても、時計の針を気にしながら練習する時には、良い時間の目安になるのだ。
 細かい部分を掘り下げてさらうというよりは、本当に楽器を鳴らすだけの時間。A線の毛羽立ちがだんだん目立ってきた。年明けの本番がどうなるかわからないが、そろそろ弦の張替えを視野に入れようか。

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2020年10月8日(木)
他用のため練習お休み。
 「見巧者、聴き巧者」という言葉があるけれど、今の世の中、評論家や批評家ではなく「聴き巧者」は果たしてどれくらい居るのだろう。

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2020年10月9日(金)
カール・フレッシュ:音階教本(C-dur , a-moll , es-moll(6番の音階部分))
ドント:練習曲とカプリス Op.35(ヴィオラ編曲版)
ジェミニアーニ:音階
 モダンヴィオラでC-durとa-mollを弾いた後、生徒へのレッスンの予習も兼ねてes-mollの3度の音階を弾く。そういえば学部入試の時はカール・フレッシュが一次試験の課題に入っていたことを懐かしく思い出した。身体を温めたところでドントの13番へ。音符の扱いに関するバランスを取りながらでなければ弾けないことに気付く。「Vivace=速い=急がなきゃ」だけでは疲れるばかり。「練習曲も、一つの作品として弾く」原点に立ち返ることにした。通せるようになったところで、Prestoとの対比も兼ね、2番を弾く。一音一音に重さのある13番に対し、こちらは各音符に対する重量が軽め。メトロノームの数字は近いけれど、やはり「速い」だけでは括れない。
 バロックヴィオラはC-durの音階のみ。色々なボウイングで弾いていく。そのうちセヴィシックも取り入れてみようか。
 弓を返す瞬間に入る微妙なアタックというか、間というか、衝撃のようなものが気になって、なかなか先へ進めない。何より衝撃が楽器に伝わって、次の音を出すのに具合が悪い。しばらくして「弓を返す瞬間とポジション移動の瞬間が無意識になりやすい」という言葉を思い出し、弓の動きと出している音(音色や、音と弓のスピードバランス)をひたすら注視。その結果、自分が使っているのはバロックボウであることを思い出した。モダンを弾いてからバロックを弾くと、モダンと同じ弾き方になってしまう。バロックヴィオラと仲良くなるまでの道は、まだまだ始まったばかり。両方弾けるときは、しばらくモダンから弾くことにしよう。
 モダンもバロックも、上半身の各パーツの役割分担を再確認することにした。
・右手→ボウイング(弓を持って、動かす)
・左手→弦を押さえて音程をつくる
・目→見る(楽譜や周囲の様子など、現状把握)
・耳→音を聴く(現状把握を含む)
・頭(脳みそ)→4つのパーツの統括

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2020年10月10日(土)
音階(C-dur , a-moll)
ドント:練習曲とカプリス Op.35(ヴィオラ編曲版)
 楽器を出すのも気が進まない日。重く感じられるケースの蓋を何とか開くものの、弾けば弾くほど自分の出す音を嫌悪してしまい、ドントの21番を数段弾いたところで練習中断。時間にしてどれくらい弾いたのかも定かではない。
 本来ならば、コロナ禍で変更になってしまったけれど、今日は本番があるはずだった。
 自分の技術を最低限維持するために、そしてレッスンのクオリティを落とさないために日々の練習は欠かせないけれど、時折猛烈な虚しさに襲われることがある。

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2020年10月11日(日)
音階(C-dur , a-moll)
ドント:練習曲とカプリス Op.35(ヴィオラ編曲版)
音階(C-dur)
 昨日練習を中断してしまったことが尾を引いていて、今日も楽器ケースの蓋が重い。しかし不調というわけでなしに弾かない日が続けば続くほど、ケースの蓋は重さを増していく一方なので、兎にも角にも楽器に触れることを今日の目標に定める。
 何だかんだ言っても楽器に触ってしまえば練習へのハードルは半分以下に下がるわけで、昨日あんなに腐ってしまった原因も探りながらの練習時間となった。
 どうやら昨日は、肝心の「今響いている音を聴く」ことができていなかったらしい。
モダンもバロックも、たくさんのことをやろうとすると再び練習中断になりかねないため、「出した音を一音残さず耳に入れる」行為のみに徹することにする。そうすると気付くのは、弓の返しがオートマチックになりがちだということ。モダンであればそれでも音は出るので気付かずにいてしまうのだが、バロックでこれをやると、ボウイングや音の不都合が起こりやすいらしい。そして上半身の各パーツ(左右の手と腕・耳・頭)のチームワークも重要。出す(出したい)音・弓のスピード・弦を押さえた時弓が振動させる弦の長さetc. 、バロック楽器というものに触れたばかりの頃、しょっちゅう音が出なかった瞬間があったことを思い出した。
本日モダンは音階とドントの21番・22番。バロックは音階のみで終了。

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