初めまして。今年初めてのコンサートの感想を初投稿します。

 こんにちは。加藤浩子と申します。オペラを中心に、クラシック音楽界隈でお仕事させていただいています。Note、初投稿です。どうぞよろしくお願いします。

 今日は、今年の「お聴きぞめ」の感想です。

 今年のお聴き初めは1月3日、63回目を迎えたNHKニューイヤーオペラコンサートでした。今年はイタリア出身で、日本でも東京フィルハーモニーの首席指揮者を務めて大人気のアンドレア・バッティストーニが指揮するとあって、チケットはあっというまに完売。
 豪華ゲストは、バッティストーニだけではありません。華麗な演奏とダンサーのようなビジュアルで大人気の「ハープの貴公子」、クサヴィエ・ド・メストレも登場。オリンピックイヤーというのもあるのでしょうか、力の入り方が半端ではなかった今年でした。

 豪華なゲストを迎えたこともあるのでしょう、今回は構成もよく、華やかな緊張感が終始途切れず、あっという間に2時間が経ちました。舞台後方にはイタリアの伝統的な歌劇場のバルコニー席を模した背景が投影され、「イタリア人指揮者を迎える」雰囲気も満点。最初の「ナブッコ」の合唱、「行け、わが思いよ」の最中に、ソリストが入場して紹介されたのはちょっと疑問でしたが、あとは本当に隙のない構成と高い演奏水準で、近年稀な充実ぶりだったと思います。

 プログラムは、日本ですでにいくつもイタリア・オペラを指揮しているバッティストーニににふさわしく、イタリア・オペラの名曲が中心。アリア、二重唱、合唱と多彩で、軸となる作曲家としてヴェルディを据え、特に後半の冒頭ではヴェルディの名アリアを集中して上演。またメストレは、前半と後半をつなぐ箸休めのような中間部に登場し、ソロと、アリア&二重唱の伴奏を担当しました。

 バッティストーニの指揮は、得意の「トゥーランドット」の第一幕フィナーレで豪快に炸裂したのを始め、情感豊かな「カヴァレリア・ルスティカーナ」の合唱(中島郁子さんのソロも出色)、隅々まで繊細で、天上へ上るような極上のピアニッシモを聴かせた「オテロ」の「アヴェ・マリア」など、実に音楽性の豊かなもの。歌手陣も実力派揃いで、「運命の力」の「神よ、平和を与え給え」をでスケールの大きな歌唱を披露した中村恵理さん、「椿姫」の「ああ、あれはあの人かしら〜花から花へ」で、心を掴む表現力や繊細な高音域(最後にEsを聴かせてくれました)で惹きつけた森谷真理さんなど、まさに日本を代表する歌手が勢ぞろいしていました。最後は「乾杯の歌」で華やかに締め。客席には紙吹雪が舞い、熱気も最高潮に達していました。
 バッティストーニは6月に、パレルモのマッシモ劇場で来日し「ナブッコ」を披露する予定です。今からとても楽しみな公演になりました。

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