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私がワンピースを作り始めた理由

こんにちは、Dress shop~garden~相良です。

2024年、オープンした店ですが
若かりし頃に服飾科の学校で学び、アパレル企業に勤めた私にとっては
自分の思い通りの素材で作りたいデザインの服を自由に作ることは長年の夢でした。

というのもアパレル企業に勤めると自由に、とはいきません。
私がアパレル企業の中で感じた憤りというか、困惑というか…もやもやしていた事を解消しつつ、多くの女性に手にして欲しい長く着られる服を作りたくて始めました。

現代のアパレル業界はシーズン毎に新作を作り、前シーズンの商品はセールからアウトレットもしくは廃棄していることは現在では周知の事実かと思います。
当たり前のように行われているこの目まぐるしいサイクルはこのシステムの中で生産者も消費者もひたすら小さなネズミのように同じところでぐるぐる回っています。

現代では持続可能な生産、消費をと意識も変わってきましたがまだまだ旧システムは変わり切れていません。

ファストファッションは消費するもの


ファストファッションが一気に盛り上がりを見せた頃は心底無力感を感じました。
凡そ洋服を仕立てるにあたって使いたいと思えない素材が商品として形になっていることも多かったですし、縫製に至っては絶句することも多々ありました。

もちろん安くトレンドをフォローできるというのがファストファッションの利点ですから、あまりファッションにお金を使えないながらも流行の装いをできれば良いのよ!と割り切っている方にとっては素晴らしいものです。
しかし昨年買ったファストファッションブランドのお洋服をいざ今年も、と手に取ると全く着る気にならない、という経験をしたことがあるのではないでしょうか。

ファストファッションは消費するもの、というあの割り切りは果たしてファッションが好きな人の心を満たせるのか?いや、満たし続けられるのか?
あの虚しさはもう感じたくなくてファストファッションを購入することはやめました。

今ではSHEINが安くて可愛い物を消費するファストファッション役割を担っているように感じています。
しかし購入したことがある人なら気づくはず。
ファストファッション以上に虚しいアイテムが届きます。

私もSHEINで実際にいくつかアパレル商品を購入し手にとってみました。
もう本当にびっくりするような素材で作られているものがありました。
3回洗濯したら形を保てないようなニットやカットソー。
見たことのない素材で作られていました。

発がん性のリスクがある下着がSHEINで販売されていた、というニュースもありましたね。

もちろん、数回着れればいいの!という人にとっては安くたくさん手に入りますからそういった利点もあります。

ファストファッションの問題点

ファストファッション初め、シーズンごとにセールを行うファッションブランドも同じような問題を抱えています。
いくつか感じる問題点を挙げますと、

  • 大量生産、大量消費によって生まれるゴミ

  • 安い素材による環境汚染や健康被害

  • 低価格→低コスト→低賃金

環境問題は地球全体の問題ですが、先進国で消費される量をコントロールしなければいつまでも解決に向かわないと感じます。
その中でも日本はもともと物を大事にし、同じ着物を一生着続け、さらに次世代に受け継いでいたような文化がありました。
この精神をまた再び現代に根付かせられたらとても良い方向へ向かう気がするのは私だけでしょうか?

また、アパレル企業に勤めていた頃から低賃金の問題は感じていました。
アパレル生産の流れの中で関わる人はたくさんいます。
大まかには下記の通り

  1. デザインの企画をする人

  2. パターンを起こす人

  3. 生地やボタン、ファスナーなどの付属品を生産する人

  4. 縫製工場で縫製する人

  5. 出来上がった商品をプレス(アイロンがけ)する人

  6. 店舗、もしくは顧客へ配送する人

  7. 店舗、もしくはオンラインショップでの販売をする人

細かく言えばマーケティングする人、生産管理をする人やプレス、広告をする人などもっと関わる人はたくさんいます。
低価格な商品を売るということはこういった人たちの手間に対する賃金が下がっていくということです。
例えば日本の縫製工場は服飾を勉強し経験を積んだ職人さんが丁寧な仕事をしてくれます。
その仕事に対する報酬はそれなりに高額で、だったら賃金が安い外国で作ればいいじゃない、となったのが契機だったような気がします。
今では潰れてしまった縫製工場もたくさんあり、それと引き換えに安くできるそれなりの服が多く市場に出回るようになりました。
私はそれがとても寂しかったのです。
しょうがない、と一言では言い切れない感情がありました。

思い出のワンピース

子供の頃に触れた母と叔母にもらったワンピースが私の中で初めて「素敵…!!」と心から感じた体験でした。
年代で言えば1960年代のものだったと思います。
独身の頃から大切にしていたワンピースを、母は大切に仕舞っていました。
ウールやコットンのしっかりした素材を丁寧に仕立てたワンピースは長い時間が経っていても着ることができる品でした。
叔母はいまだに私に着なくなったお洋服をくれるのですが、高級なシルクやコットン素材を使って日本で丁寧に作られた素敵な服ばかりです。
多分私はこういった四半世紀の時を経ても色褪せない丁寧に作られた服たちをこれからも大切に着ていくでしょう。

目指している服作り

一生大切にしたいと思えるような、長く着られる服を作りたい。
それには良い素材で作られたしっかりした生地を選び、
流行に左右されないベーシックで美しいパターンを作り、
美しく丁寧な縫製で仕上げた服を多くの人に手に取って欲しいです。

そしてそれを着て、綺麗な景色を見に行ったり、好きな人やお友達と楽しいお出かけに行って思い出を彩って欲しいです。

かしこまりすぎず、崩しすぎない。
クローゼットにかけておけば、ちょっと楽しい予定がある日に迷わず手に取ってもらえる、これを着れば気持ちが上がる!
そんな一枚を目指しています。
皆様のおしゃれ心をくすぐる可愛いワンピースを作ることを目指して頑張りますので、ぜひご覧いただけましたら嬉しいです。


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