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624gで生まれた私が普通の人の皮を被れるようになるまでその52

ある春休み

のどかな春に
真剣な表情をした小学生がいた。

それは私だった。

勉強ではない。雑草と呼ばれる草花を
すり潰すのに必死だった。

平たい石を持ってきて、
その上によもぎをおいてすり潰す。

尖った石を見つけてきて、
ごりごり。ごりごり。

住んでいた場所は田舎だったので
静けさの中に私のゴリゴリ音が響いた。

人目を気にするタイプだったら
「私は変な人に思われているかも」
とか
「ともだちに見られていたら
恥ずかしいな」
って思うだろう。

でも一切そういうのは無い。
ただ、ゴリゴリしたいのだ。

ゴリゴリしている時間は目の前の草花
だけに集中していればいいから
とてつもなく心地よい。

そして、お得意の過集中で
何も聞こえない、周りは何も見えない。
だから誰かがどうしていようが
気にならない。

最高の春休みだった。


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