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スイスのぶどう品種 その1(スイスでワイン造ってるの? #35)

スイスでは250種以上のぶどうが栽培されているといわれています。
そのうち80種類は固有品種といわれ、固有品種のうち59種類は近年人間による交配で、21種類はぶどう畑で自然発生的におきた交配といわれています。
これまでも折に触れてスイスのぶどう品種について綴りましたが、今回は「ぶどう品種だけに的を絞って」綴ります。

スイスワインのエバンジェリストを目指しているって本当だったでしょ(笑)

ぶどう品種の表記

そもそも外国語をカタカナで表記することに無理があるのですが、日本でワインを紹介するにはやはりカタカナ表記がいいと思うのです。
国際品種である「シャルドネ」や「ピノ・ノワール」などはカタカナ表記もほぼ定着していますが、スイスだけで栽培される固有品種で造られたスイスワインのぶどう品種をカタカナにするのに、実は苦労しています。

ユマーニュ・ブラン?ヒュマーニ・ブラン?

私が輸入しているヴァレー州のワイン「ヴィニグマ・アプリオーリ」はHumagne Blanc (もしくはHumagne Blanche)(写真下)とPetite Arvineというぶどうを使って造られています。
両方ともヴァレー州の固有品種で、この州だけで栽培されてます。
Humagne Blancはスイスで最も古いぶどうの一つといわれ、1300年代の文献にも現れています。
また、Petite Arvineもほとんどがヴァレー州で栽培されています*。
これらのぶどう品種を使ったアプリオーリはまさにヴァレー州を象徴するワインといえますね。

ユマーニュブラン_スイスのブドウ品種

このぶどう品種をカタカナにするのが全くもって悩みの種なのです。

ヴァレー州はフランス語圏なのでHumagne Blancは「ユマーニュ・ブラン」とするのが最も適切なような気がしますが、ドイツ語圏の生産者が発音すると「ヒュマーニ」と聞こえます。
さらに悩ましいことに、スイスワイン生産者協会 (Swiss Wine)が発行している「スイスワインガイド」の日本語版(タイトル写真左)では「ウマーニュ」と書かれているのです。
また、Petite Arvineの場合は、リエゾンして「プティタルヴィン」が良いはずなのですが、生産者は「プティット・アルヴィン」とリエゾンしないのです(涙)

どないせ〜ちゅ〜ねん!」(「どないせーって、言うねん」がリエゾンしてますね)(笑)

* 出典:Jose Vouillamoz著「SWISS GRAPES」(タイトル写真右)

二人のヴァレンティン

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(https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/)

スイスワインを語る上で重要な人物として二人のヴァレンティンがいます。

最初のヴァレンティンはヴァレンティン・ブラトナー(写真上)です。
ブラトナーはユラ州ソイエールにてぶどうのブリーダーとして様々な交配種を作っています。
1991年にヨーロッパの品種どうしを交配させ、寒さや病害に耐性のある品種を作ったのが交配種作りの始まりと言われています*。
名前がついている交配品種は16品種、まだ名前のついていない品種は3品種以上あると言われる「交配品種の父」のような人物です。

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もう一人のヴァレンティンはヴァレンティン・シース!(写真上)
ユマーニュブランを使ってヴィニグマ・アプリオーリを造っている「ワインの魔術師」です。

ヴィニグマ・アプリオーリ以外にも「交配品種の父ブラトナー」が作った品種で「ワインの魔術師シース」が造っているワインがありますので、追ってご紹介します。乞うご期待!

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お求めやすい飲み切りの500mlサイズもあります。

グラスを傾けてご一緒に「どないせ〜ちゅ〜ねん!

Beyond the Glass
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