見出し画像

憎きシュウ酸カルシウム

定期通院の日だったので昨晩からドキドキしていてあまり眠れずの飼い主。早朝にトイレに連れて行くと、採尿したおたまは赤黒くなっていて、シリンジで吸うと見るからに濃いめの潜血が出ている。

コリャ全然良くなってねえ!

ので、獣医さんも「エコーをとってもよろし?」と軽めの確認をしてくれたので、即座に診てもらうことに。診察室に猫を預けて待合で待っていたら、「ヴォアーーーーッッ」と院内に断末魔が響き渡った。他のオーナーはくすくす笑っていて、「さっきの毛の長いあの子だな」とでも思われていただろう。

彼は仰向けにひっくり返されるのも、お腹を触られるのも、手足をぎゅうと掴まれるのも大嫌いで、必死に抵抗しているであろう姿が目に浮かんだ。程なくして別部屋に案内されて、エコーには予想通り2ミリくらいの小さな石が写っていた。

先生の話では、おそらく石は膀胱内に1つではなくいくつかあり、砂状になっているものもあると思われるので、開腹して膀胱をきれいにする必要があるとのことだった。この尖った石が膀胱壁を傷つけているので、血尿が出ているわけだ。

彼は石ができやすい体質とも言われている。先生によるとアメリカンショートヘアは尿路系のトラブルが多いそうで、彼は種類こそ違うがアメショ柄も持ち合わせているので、もしかしたら関連しているのかもしれない。(明確な根拠はないけど)

メス猫であればおしっこの際に石が出てくることが期待できるが、オス猫は尿道が長く細い。そのため石が尿道で詰まり、尿毒症を引き起こすことがある。猫は1日おしっこが出ないだけで死に至る可能性もあるそうだ。彼の膀胱にあると思われるシュウ酸カルシウム結石はストルバイト結石と異なり、食事療法では溶解できない。400g2000円の療法食でもでも太刀打ちできないのだ。いったいこの2000円とは…と途方に暮れる思いではあるが、それ以外にも精神安定剤が含まれていたり、尿を出しやすくする作用のある餌なのでこの出費は欠かすことができない。猫の尿路トラブルには精神の安定と食事管理が何より大事なのだと先生が教えてくれた。彼はこの先、療法食以外は口にできないだろう。大好きだったちゅーるやパウチの餌も食べさせられない。先生の話を聞いて、少し泣いてしまいそうになったが、生き物を飼う上ではそうした覚悟も必要なのだろう。

それなりに覚悟はしていたが、いざ入院させて3泊ほど離れるとなると寂しい。けれど、治療の見通しが立ち、てきめんに状態が良くなることを考えたらこちらがくよくよしている場合ではない。彼らは言葉が話せない。毎度病院に連れて行くたびに、私がもっと小さい頃から食事管理をしていたら…おやつをあげていなければ…と禄なことを考えないので、先生を信頼して手術を受けることを決めたのだった。「そんなに難しくないよ。避妊手術に毛が生えた位の痛さかな。」と言われた。ちなみに彼はオスだ。そんなものなのか、と勝手に納得してしまった。




追記

手術をすることが決まり、内心、いくらかかるんだァ…と心の中の死不川実弥が刀を抜きかけていた。手術費用は6〜7万だが、その他入院費やケア料金がかかるため、先生の話を聞く限りたぶん10万くらいかなと思った。私は長男ではないので金額を聞く前は卒倒する勢いの気持ちでいたが、こんな時のために雀の涙ほどでもせっせと貯金をしていて心底良かったと思う。おまけにペット保険に加入していたので、手術費自体は半額負担で済む。

あと、子猫の頃からよく風邪を引くような子は絶対に保険に入っておくことを勧める。大病をしてからでは保険に入りづらくなるので、できれば若くて健康なうちに入ったほうが良い。(私調べ)