見出し画像

【あつ森】クリーム島青春与太話(共通ルート前編)



こんにちは、びゅーんです。

ひな祭りらしいこと特になーんにもやらなかったなぁ(遠い目)


宣言通り、本日からクリーム島の新作与太話の連載を開始します!!今回はごくごく簡単な学園恋愛アドベンチャーゲームをしているかのようにお話が進んでいきますので、過去の与太話と違う部分が沢山あると思います。

お付き合いくださる心優しい皆様はこのまま画面を下にスクロールしてお楽しみくださいませ。新作、クリーム島青春与太話をよろしくお願い致します!



ーーーーーーーーーー


画像4

今回の与太話の主人公について。便宜上、加納柊二(かのうしゅうじ)という名前をつけていますが、皆様の脳内でお好きな名前に変換くださって構いません。

--------

画像10

どこで意識が途絶えたのかまるで覚えていない。気付けば俺はベッドの上に寝転がっていた。布団をかけずにだ。意識がまだ覚醒しきっていないまま、俺は時計の時刻を確認する。7時15分。早いとも遅いとも言えない微妙な時刻だ。

制服の袖に腕を通し、鞄を無造作につかむ。んーー、何か忘れてるような気がする…けどまぁいっか。

画像9

まだ重い瞼を擦りながら静かなリビングに足を踏み入れる。テーブルの真ん中にトレイごとラップで包まれた俺の朝食があった。トレイのすぐ隣に付箋と小銭が置かれてる。

『お昼はこれで好きなの買ってちょうだい。晩御飯は冷蔵庫に置いてあるからね。』

やっぱり。オフクロは今日も朝から仕事で既に家を出ているか。俺はぼんやりしたまま目玉焼きとサラダと味噌汁を口の中に放り込み支度を進める。戸締りの確認をした後、玄関のドアを開ける。陽の光が瞼に突き刺さってきた。うー…眩しい。玄関に鍵をかけ、家の小さな門に手をかけた時だった。

???「柊二くん。」

画像1

家の門を閉じてすぐのところで、1人の女の子が俺のそばに近づいてきた。古里(こさと)ゆきみ。俺の1つ年下で隣の家に住む幼なじみだ。

「おはよう、ゆきみ。」

ゆきみ「はい、おはようございます。今日も暖かいですね。」

「だな。ここまで陽気だと花粉が心配になるよ。」

何か他に話を続けようとしたが、同じ学校の制服を着たゆきみが視界に入った瞬間、俺のぼんやりした意識は徐々に覚醒した。まだ登下校の道が一緒なだけの中学生とばかり思っていたのに、今の彼女は俺と同じ学校に通う高校生であることを改めて感じさせられたのだ。あんなに小さかったゆきみが…

画像14

ゆきみ「どうかしましたか?」

ゆきみが俺の顔を怪訝そうに覗き込む。

「いや、ゆきみも高校生になったんだなって思ってさ。」

ゆきみ「柊二くん。私、中学校をもう卒業してますよ。入学式だって終わりましたし、今日は高校で初めて授業を受けるんです。」

画像5

「ならそろそろ行こう。初めての授業で遅刻はかっこ悪いからな。」

ゆきみ「はい。…あ、待ってください。」

そう言うとゆきみは俺の目の前で屈んだ。見ると俺の解けかかっている靴紐を結び直しているではないか。それくらい自分で気がついた時にやるのに。ゆきみは本当に世話焼きなところがあるよな。

ゆきみ「はい。直しました、柊二くん。」

「あ、ああ…。ありがとう、ゆきみ。」

画像12

ゆきみの家とは家族ぐるみの付き合いがあって、ゆきみとは物心つく前から一緒にいることが多かった。中学校から…いや小学校からか?気付けばゆきみと一緒に登下校することが俺の平日の日課になっていた。

ゆきみと他愛のない会話をしている内に、俺たちが通う『たぬき学園』の門が見えてくる。他の生徒達のように桜並木のど真ん中にそびえる校門を潜ろうとした時だった。

???「あれ?もしかしてアンタ、しゅうちゃん?」

誰かに覚えのある呼ばれ方をされた。しゅうちゃん?…もしかして、俺のことか?いや人違いだったらメチャクチャ恥ずかしいな。誰も反応する素振りが無いのを確認し、そっと振り返った。

画像15

???「やーっぱりそうだぁ!!おーい、しゅうちゃーん!!」

その子が誰なのか最初はよく分からなかった。だが、今思えば俺のことをしゅうちゃんなんて呼ぶやつは1人しかいない。

「もしかしてお前…ルナ?」

俺は心当たりのある人物の名前で尋ねた。するとルナと呼ばれたその子はパアッと顔を輝かせて俺とゆきみのところまで駆け寄ってきた。

ルナ「…!!そう、そうだよ!!ルナだよ!わぁ、覚えてくれてたんだー!」

紅林(くればやし)ルナ。俺と同い年でもう1人の幼なじみ。俺の記憶にあるルナはそれはもう野生児みたいなやつで、事あるごとに俺を振り回してきた。

画像7

ゆきみ「わぁ、ルナさん!お久しぶりです。お元気でしたか??」

ルナ「ゆきみちゃーん!超久しぶりだね!!ルナも会えて嬉しいよ〜。」

ルナは俺だけでなくゆきみとも顔見知りだ。幼い頃はこの3人でよく町中を遊び回ったりしたが、ルナは小学生の頃に両親の仕事の都合で遠い地方に引っ越した。たまに手紙をくれるから元気そうだと思ってたが、こうして会うのは本当に久しぶりだ。

「帰ってくるなんて知らなかったよ。事前に連絡くれれば良いのに。」

ルナ「えへへ〜。内緒にして2人を驚かせたかったんだ!不死鳥のごとくビッグになって帰ってくるルナ!超かっこいいでしょ。」

「確かに図体だけはビッグになったな。」

ルナ「ちょっとちょっと!図体だけってなによー!!」

俺の言葉が気に食わなかったのか、ルナは頬をぷーッと風船のように膨らませる。昔から機嫌が悪くなった時によくルナがやっていた癖だ。俺の持つ記憶と変わっていないルナの姿を見ることが出来て、何故か少し安心した。

「はは、悪い悪い。おかえりルナ。」

ゆきみ「おかえりなさい、ルナさん。」

画像15

「てことはルナも俺と同じ学年か。クラスはどこだ?」

ルナ「ん?ルナは高校1年からやり直しだよ。1年2組。」

ゆきみ「え!?そうなんですか??」

ルナ「まー色々あってね。今年からゆきみちゃんと一緒の学年なんだ。」

コイツ、何があってそうなったんだ。思えば確かにルナは昔から勉強が大嫌いそうだったけど。うーん大丈夫か???

画像6

???「おい柊二ぃ、朝から見せつけてくれるじゃないか〜。」

「なんのことだよハムカツ。」

教室に入り自分の席について早々、見知った男子生徒がずいっと恨めしげな顔で詰め寄ってきた。

ハムカツ「とぼけるな柊二、オイラは見たぞ。校門の前で女の子2人に挟まれてデレデレしてるお前をなー!」

ああ。さっきゆきみと登校している途中でルナに会った時か。俺、デレデレしてるように見えたのか?

画像11

???「...フ、鈍感な上に自覚がないのは本当に罪だな。」

「どういう意味だよ。」

こいつらは俺のクラスメートで苅田(かりた)ハムカツと大神(おおがみ)シベリア。2人とも俺が高校1年の時に知り合った奴らだが、男子生徒の中でも一緒にいて居心地の良い、実は気のいい奴らだ。

ハムカツ「なんでオイラのとこには春が来ないんだよぉ!!非モテの同士だったのに裏切ったなぁ!!」

シベリア「両手に花ってやつか?これがどんな三角関係に転がるのか見ものじゃねぇか。」

………………。気のいい、奴らだよな??

画像8

俺たち2年も今日はクラス替えが終わって以来初めての授業だ。教科書も教師も一新してまた初心に帰る気分にさせられる。1限目は現代文。教室に入ってきた女教師が自己紹介をした後、早速教科書に載せられている文学作品の読解が始まった。

クラスの皆に続いて現代文の教科書を取り出そうとするが…

「あれ、教科書。俺の教科書は…?」

まさか。家に置き忘れてしまった?ああそうだ思い出した!昨夜、時間割の準備をしようとしてそのまま寝落ちしたんだった。なんてこった!今朝寝ぼけたまま支度したから教科書を鞄に入れ忘れたことに気付かなかったんだ。

女教師「では次の場面の考察に入りましょう。加納くん、」

…え?呼ばれた。マジかよ、よりによってこんな時に指名されるなんて。

女教師「加納くん、34ページ3行目から読んでください。」

そんなこと言われたって読むための教科書がないんだ。でも皆の前で忘れましたと堂々と言うのはかなり恥ずかしい。ああ、俺がグズグズするから周りの人達がチラチラと俺の方を見始めている。くそ、どうする俺。

画像3

???「ここを読んで。」

俺がアタフタしていた時、隣の席の女子生徒が持っている教科書の34ページ3行目を指差して渡してきた。俺の机の上に教科書が無いことに気付いたんだろうか。

「悪い!ちょっと借りるな。」

小声で女子生徒に詫びを入れて俺は差し出された教科書を受け取る。

女教師「加納くん?」

「すんません、今読みます。...コホン。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

女子生徒の救いの手のおかげで俺はなんとか1限目の授業を乗り切ることが出来た。俺は隣の席で次の授業の準備を進めている女子生徒に声をかける。

「さっきはマジで助かったよ、えーっと…」

???「猫宮キャビア。」

「そっか。ありがとう、猫宮さん。」

猫宮さんは無表情で呟くように「いいえ」とだけ言うとすぐに俺から視線を外した。この人、会話するのがあまり好きじゃないのか??

画像13

午前中の授業が終わった後は待ちに待った昼休みだ。友人と昼食を取る人、趣味に没頭する人など皆それぞれ自由きままに貴重な休み時間を過ごす。

俺は家のテーブルに置かれていた小銭を確認し、昼飯に何を食べようか思考を巡らせていた。この学園にはラーメンや炒飯が出る食堂もあれば、惣菜パンや菓子パンを販売している購買もある。外のコンビニまで行って買いに行くのもOKだ。

ハムカツ「柊二ぃ!昼メシどうすんだー!!」

シベリア「俺たち今から学食に行くけど、お前もどうだ?」

悩めば悩むほど貴重な昼休みの時間は過ぎていく。俺は思考を断ち切り、ハムカツとシベリアと一緒に食堂へ向かうことにした。


次回↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?