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【あつ森】クリーム島青春与太話(ゆきみルート3)

前回↓↓


その日はついにやってきた。授業のない土曜日。俺は優待チケットを携えゆきみを迎えに行き、屋内プール施設『ニュー・ホライズン・ラクーン』へ出発した。

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ゆきみ「ルナさんは用事があって来れないそうですね。」

ルナがなかなか来ないと思っていた時、ゆきみがそう教えてくれた。ルナから連絡をもらったんだろう。

「用事があるんじゃ仕方ないよ。今日は俺達だけで遊びに行こう。」

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ゆきみ「柊二くんと2人きりでプール、なんだかドキドキします。」

「そうか?プールなら前に遊びに行ったことあるじゃないか。」

だから今更ゆきみとプールへ行くことに別に抵抗は無いんだがな。

ゆきみ「確かにそうですね。でも今日はちょっと違うような気分で…」

ゆきみの方はなんだか緊張しているのか少し困った顔でソワソワしている。

「ゆきみ、もしかして体調悪いのか?だったら無理しなくていいんだぞ。」

ゆきみ「いえ、そんなことありません。で、では私着替えにいきますね!」

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『ニュー・ホライズン・ラクーン』は俺の家の最寄駅から電車で1駅分先にある屋内プール施設で、だいぶ昔にゆきみとルナとその保護者グループで遊びに行って以来久しぶりだ。俺の地元とその周辺は近くに海開き出来るビーチがないからか、昔からシーズン問わず客がそれなりに入っているそうだ。

今日は土日ということもあり家族連れやカップルが多く、ウォータースライダーや流れるプールといった様々なプールを楽しんでる。

ゆきみ「柊二くん、こ…こっちです。」

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声のした方を見た瞬間俺は目を瞬かせた。水着に着替えたゆきみが少し恥ずかしげに身体を縮こませている。この時、俺はゆきみが最初に言っていたことを今更理解した。緊張で身体から火照りそうだ。今ここにいるゆきみは昔の小さかったゆきみじゃない。身体も雰囲気も様変わりした1人の女の子なんだ…。

ゆきみ「この水着、今日の為に新しく買ったんです。あの…に、似合ってるでしょうか。」

「お、おぅ。いいんじゃ…ないか?」

普通に似合ってる。そう言いたいのに言葉が喉でつっかえてしまってる。ゆきみはゆきみで何も言わず沈黙が続いてしまってる。この沈黙は非常に気まずい。何か話題を振るか??しかし先に口を開いたのはゆきみの方だった。

ゆきみ「柊二くん。私、告白したいことがあるんです。実は…」

え!?このタイミングでゆきみは何を言い出すんだ?心臓が跳ね上がる。

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ゆきみ「実は私…泳げないんです。」

告白する…てそういうことか!想像していたものと違う告白に俺は拍子抜けた。

ゆきみ「高校でも夏はプールの授業があるそうで…だから私、その時の為に少しでも泳げた方がいいんじゃないかと思うんです。柊二くん、私に泳ぎかたを教えてくれませんか?」

俺は普通に泳げるだけで特別上手いわけじゃないんだがな。だが他にプールですることが思いつかないから、ゆきみに俺なりの泳ぎを教えることにした。

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ゆきみ「か、身体が沈んでいっちゃいますー。」

「全身に力を入れ過ぎだ。足を動かすときも力を抜いて。」

ゆきみ「しゅ、柊二くん!あわわわわわ…」

「大丈夫だ、しっかり端に捕まってるんだ。その内身体が浮き上がるから。」

ゆきみ、ほんとに泳ぐの得意じゃないんだな。

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それから俺はゆきみが満足するまで泳ぎの特訓に付き合った。特訓の甲斐あってか、ゆきみはビート板さえあればとりあえず前に進めるぐらいにはなった。

ゆきみ「私、ちょっとは泳げるようになったでしょうか。」

「そうだな。今のゆきみならオリンピックに出れるんじゃないか。」

ゆきみ「もう!柊二くん、それはオリンピック選手に失礼ですよ。」

次第にプールで合流してからのぎこちなさは無くなってきて、いつものように会話が出来るようになってきた。最初は水着姿にドギマギしてしまったがやっぱりゆきみはゆきみなんだな。そう思うと少し安心してきた。

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プールでひとしきり遊んだ後、元の私服に着替えて俺の家の前まで戻ってきた。

ゆきみ「柊二くん、今日は連れてってくれてありがとうございます。私、とても楽しかったです。」

「ゆきみが楽しめたなら良かったよ。」

ゆきみ「あ、あの…それで…この後なんですけど…。」

ゆきみはそう言いながら俯きつつチラチラと俺に視線を送る。この後、ゆきみが何処に行きたいのかはなんとなく察した。前に約束したからな。

「分かってるよ。そのまま俺の家に行くか?」

ゆきみ「はい!……あ。」

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ゆきみ「今日も柊二くんの家にお世話になるんですから、私が晩御飯を作ります!なので先にスーパーに行きましょう。」

「これから!?いいよそこまでしなくて。ゆきみだってたくさん泳いで疲れてるはずだ。」

ゆきみ「大丈夫ですよ。それに…」

「それに?」

ゆきみ「私が…そうしたいんです。」

そう言われてしまうと断れない。ゆきみ、今日はいつにも増してズルいぞ。

「そ、そうか…。でも今日は簡単な料理にするんだぞ。俺も手伝うからな。」

ゆきみ「分かりました。でしたら今日はカレーにしましょう。うふふ、柊二くんと一緒に作るなんてワクワクしますね。」

次回↓↓


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