【あつ森】クリーム島青春与太話(ゆきみルート2)
※字数を考慮し、先日投稿したnote(ゆきみルート1)の内容を分割させて頂きました。
前回↓↓
スーパーから家まで帰って一度別れたかと思えば、あまり時間がたたないうちに私服に着替えたゆきみが俺の家にやってきた。その腕には買ったばかりの食材を抱えている。
ゆきみ「お母さんに事情は話してあります。今日は私に任せてください。腕によりをかけますね!」
ゆきみは早速エプロンを着てキッチンに食材を運び、躊躇いもなく必要な用具を取り出していった。買った野菜をテキパキと捌いていく。乱れないリズムで響く包丁の音が小気味良い。
「俺も何か手伝おうか??」
ゆきみ「いえ。柊二くんはテレビか何か見ながら待っててください。」
そう言われるが、テレビよりも晩飯の準備をするゆきみを見ている方がなんだか落ち着く。…あんまりジロジロ見るのもよくないか。やっぱり手伝うか?だがゆきみの作業があまりにも手際がいいので逆に俺が入りに行かない方が良いような気もしてきた。
ゆきみ「わぁ、いい匂いです〜〜。」
俺の些細な葛藤をよそに、ゆきみはフライパンで野菜を炒めながら味付けを施していく。キッチンから漂う匂いを身体で感じていたら腹の音がグゥグゥ鳴り出してきた。
ご飯と味噌汁、色鮮やかな野菜炒めが湯気を立てたままテーブルに運ばれた。
ゆきみ「お待たせしました。さぁ、たくさん食べてくださいね。」
「ありがとう、ゆきみ。じゃあ…いただきます。」
早速、野菜炒めを口に運んでいく。すると口の中で野菜のシャキシャキした食感とゴマ油の風味が口の中に広がっていった。
「お、美味い!」
ゆきみ「良かった…。柊二くんの口に合うか少し心配だったんです。」
とても美味しい。食感と味付けのバランスが絶妙だし白米にとても合う。箸が止まらなくなりそうだ。だがその前に俺はゆきみに聞こうと思ったことを尋ねることにした。
「なぁ、ゆきみ。聞きたいことがあるんだけどいいか?」
ゆきみ「はい、なんでしょう。」
「ゆきみはどうして俺に丁寧語を使うようになったんだ?昔は普通にタメ口で会話したり遊んだりしたろ?」
ゆきみは箸を止めて少し考えるような顔をしたがふっと息をついてから話し始めた。
ゆきみ「どうしてでしょう。自分でも気付かない内に言葉遣いが変わっていったんだと思います。両親の躾かしら。」
回答としては正直モヤモヤする。けどこの時のゆきみがあまりにも困ったような顔をするから追求する気が削がれていく。
ゆきみ「あ、柊二くん。」
ゆきみが立ち上がり、白いハンカチを持って俺に近づく。すると俺の口の周りを軽く拭いてきた。
ゆきみ「うふふ、口の端についてましたよ。」
「お、悪いな。」
ゆきみ「お気になさらず。ふふふ、こうしてるとまるで…」
そう言いかけた途端、ゆきみは頬を少し染めて黙ってしまった。
「どうした?」
ゆきみ「い、いえ…なんでもないです。さ、た、食べましょ。」
ゆきみはしどろもどろになりながら自分の晩飯を食べ進めた。一体、何を言おうとしたんだろう。
それから一緒に食器洗いをした後、俺はゆきみを送り届けに行った。
ゆきみ「すぐ隣なのに送ってくれてすみません。」
「いいよ。美味い飯を作って貰えたしな。こちらこそありがとう、ゆきみ。」
ゆきみ「あの、柊二くん。実は私からも聞きたいことがあるんですが…」
「どうした?」
ゆきみはモジモジしながら申し訳なさそうに尋ねる。
ゆきみ「あの、もし柊二くんが嫌じゃなかったら…その、今週の土曜日に泊まりにいってもいいですか?今週末、お母さん達が旅行に行くことになったんです。」
「構わないよ。その日はオフクロがロケで外泊するからな。」
ゆきみ「え!?いいんですか??あ、ありがとうございます!!!」
昔からお互いの家によく寝泊まりしていたのだから別に遠慮がちにお願いされるようなことじゃないと思ったが、ゆきみはものすごく驚いたような顔をして大袈裟に何度も「ありがとうございます」とペコペコしている。
「ならついでにさ、同じ日にこれ一緒に行くか?」
俺はオフクロがくれたプールの優待チケットをゆきみに見せる。
「オフクロがくれたんだよ。折角だからルナも誘って3人で遊びに行こうか考えてたんだ。」
ゆきみ「わぁ!プールですか…!私とで良ければ一緒に行かせてください。えっと…ルナさんには私の方から連絡を入れて聞いてみますね。」
「お、それじゃあ頼むよ。」
ゆきみは時々恥ずかしいからなのか、何かを言いかけては自分で言葉を濁してしまうことがある。実は…本当は…何か俺に話したいことがあるんだろうか。いつかゆきみの口からハッキリ聞ける日が来るといい。そう思いながら俺は今週の土曜日を楽しみに待つことにした。
次回↓↓
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