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【あつ森】クリーム島青春与太話(ラムネルート3)

(前回↓)


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平凡な男の休日は至って平凡なものだ。天気にも関わらずだらだら過ごしたければだらだら過ごす、外に行きたければ行く。冷蔵庫の中身をチェックしたところ冷凍飯のストックがない。ならば今日の夜は炊くか…いや、今度は米びつのストックがない。仕方ない。スーパーまで行って無洗米を買うか。

ということで米を求めて男1人で外をほっつき歩いているわけだ。ここで平凡な男とは無縁なドラマのようなシーンが待っているだなんて普通は思わないだろう。

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???「きゃっ」

俺が視線を一瞬だけ正面から外したところで何かとぶつかった。

「すみませ…え、猫宮さん??」

ぶつかったのは女の子…しかもあの猫宮さんだ。

ラムネ「加納くん…?」

同じく猫宮さんも驚いて目をパチクリさせている。しかし次の瞬間だった。

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ラムネ「……………っ!」

猫宮さんの表情がみるみる泣きそうなものに変わり…何かに怯えているかのように震えてしがみついてきた。人気ナンバーワン女子高校生(しかもお金持ちのお嬢様)が一般男子高校生の胸に飛び込むなんてシチュエーション誰が想像するだろうか?俺は全く想像してない!!

「どうした…?だ、大丈夫か?」

内心どうすれば良いか戸惑っている。だからこんな風にしか声をかけることが出来ない。

ラムネ「加納くん……私、わたし…」

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とりあえず猫宮さんを落ち着かせる為に人通りの多い場所から抜ける。するとちょうど都合の良いタイミングでベンチを見つけたからそこに猫宮さんを座らせることにした。何故か全速力で走っていたらしく喉が渇いてそうだったので近くの自販機でミネラルウォーターを2つ買い、うち1つを猫宮さんに渡した。これで少しは落ち着いてくれるだろうか。

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「そういえばその、今着てるのってドレス?何処か出掛けるとこなんじゃないのか??」

ラムネ「これは…。実はさっきトビーさんと一緒にパーティーに出席してたんだけど…」

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事件はトビーという男が主催者に頼まれてスピーチをしている最中に起きたらしい。

トビー「本日の催しは大変素晴らしいものでした。ですが皆さん、私も皆様に素晴らしいご報告があります。さぁラムネ、こっちに来ておくれ。そうだ、そのまま壇上まで。私トビー・バーミンガムはこの可憐で愛らしい方と結婚することになっております。」

ラムネ「トビーさん?!急に何を…あの、せめて離して頂けませんか?」

トビー「今こそここで僕らの愛の強さを証明して見せようじゃないか。さぁラムネ、もっとこっちへおいで…」

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ラムネ「それで私、びっくりしちゃって…つい…」

いやぁそれ見てる側もドン引きするだろう。いきなり大勢の前でその…キスしようとするなんてなぁ。

ラムネ「トビーさん、今頃探し回っているかしら。」

「多分そうだろうな。」

ラムネ「………。」

パーティーを勝手に抜け出した気まずさからか、それともトビーが自分を探していることへの不安からか、猫宮さんは表情を曇らせるばかりだ。

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「思ったんだけど…猫宮さんはトビーってやつのこと、好きなの?」

ラムネ「……好きか好きじゃないかと言われれば、好きじゃない。トビーさんのことは苦手なの。」

そう言って猫宮さんは静かに首を振る。それを聞いて少し…いやかなり安心した。正直俺もトビーにいい印象を持っていなかったからだ。すると猫宮さんが「それとね…」と話を続ける。

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ラムネ「私、あなたにずっと謝りたかったの。私が良かれと思って家に招待したせいで逆に嫌な思いをさせちゃって…。本当にごめんなさい。」

「…いいや。猫宮さんが謝ることないよ。」

確かになんとも言えない気持ちになったがそれは猫宮さんのせいではない。もしトビーがあの場にいなかったらメイドさんのお茶を飲みながら2人でまったり喋ったり寛いだり出来たんだろう。

ラムネ「私、もう1回ちゃんとお礼がしたいの。加納くんのしたいことで何か私に出来ることはないかしら。」

別にいいのに。でも猫宮さんはそれで納得してくれないだろう。なら…

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「じゃあ猫宮さん、今からお茶会の時の埋め合わせするか。その…俺と遊びに行く?」

ラムネ「え…?」

…あ。なに言ってんだ俺!!?これじゃ猫宮さんに絡んできたあの男子高校生どもと同じじゃないか!!やばい、前言撤回しなくては!!

「ごめ!流石に気持ち悪いよな、今言ったことはな…」

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ラムネ「ううん。私も加納くんとデートしたい。」

えぇ!!?マジで言ってるこの子!?不本意だが一応言う。俺はトビーよりもルックスと経済力は遥かに低い。それでもか!!?

「本当に、いいのか?」

ラムネ「ええ勿論!それとね、私のことは猫宮じゃなくてラムネ、て呼んで欲しいの。」

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俺と猫宮ラムネが最初の目的地に選んだのは屋内にあるプール施設『ニュー・ホライズン・ラクーン』だ。プールといっても高級ホテルの中にあるような静かに楽しむものではない、家族からカップルまで様々な層の人達がわいわい集まるようなプールであることを説明したが、ラムネはそれでも行きたいと言ったのだ。

ついでに聞くとトビーは風呂以外で水に濡れるのが嫌いらしく、プールに連れて行こうとしなかったという話だ。ひょっとしたらプールに入ってまでラムネを探しに行こうとしないかもしれない。

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ラムネ「大変!私たち水着を持ってきてないわ。どうしましょう。」

「あぁ…水着だったら隣の店で買えるようだぞ。」

ラムネ「そうなのね。なら私、加納くんの分の水着も買いに行くわ。」

「いやいやいや!自分の水着は自分で買うから!」

嬉々として水着ショップへ駆け込むラムネの後を慌てて追いかけるのだった。

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水着に着替えてプールに出てからは自分達をジロジロ見ている奴らがいないか周囲を観察していた。それにしてもさすが休日の午後。トビーの目から身を隠すのにちょうどいい混雑ぶりだ。それから数分後、着替えてきたラムネが俺のところへ合流しに来た。

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ラムネ「加納くん、どうかしらこれ…似合ってる?」

少し恥ずかしそうにしながら感想を求めるラムネの水着姿に視線が釘付けになる。律儀に胸の鼓動が早くなっていくのを感じる。や、やばいとにかく何か言わなくては。

「お、おぅ……とても似合ってるよ。」

ラムネ「良かった、ありがとう。」

う…褒められてはにかむ姿が眩しい。逆に俺が緊張で身が萎みそうだが耐えろ。

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「とりあえず今日はラムネがやりたいことをして遊ぼう。何しようか?」

ラムネ「うーん…あ!私、あれやりたいわ。」

ラムネが物珍しそうにプールのとある一角を指さした。その先にあるのはこのプールの売りの1つであるウォータースライダーだ。多くのプール客が悲鳴を上げながらも楽しそうに滑っている。

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この施設には大小様々なウォータースライダーがあるが、ラムネが行きたがっていたのは2人乗りの浮き輪に乗って滑っていくタイプのものだ。

ラムネ「ああ…とってもドキドキする。」

前にラムネ、後ろに俺が乗って準備完了だ。俺が浮き輪を動かすとラムネと俺を乗せた浮き輪が滑り台を滑走し始めた。水の流れに乗って勢いがつく。俺は途中で投げ出されないよう両手で浮き輪の端を握りしめてるが、ラムネはテンションが上がってるのか普通に手を離してバンザイまでしてる。

ラムネ「ヤッホーーーーー!!」

ウォータースライダーでこんなにはしゃぐ人気ナンバーワン女子高校生…。知り合う前なら想像もしなかっただろうな。

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そんなことを考えている内に浮き輪はゴール地点のプールに着水。その衝撃で浮き輪から身体が投げ出された。俺が水中で体勢を立て直してプールの水面から顔を出すと…

ラムネ「あははははは!!」

よほど楽しかったのか、同じくプールの水面から顔を出したラムネが大笑いしている。俺も釣られて笑ってしまいそうだ。

「思ったよりスピード出るんだな。びっくりしたよ。」

ラムネ「ええ、とっても楽しいわ!!加納くん、もう1回行ってきてもいい?」

それから俺達はほぼ全種類制覇するくらいの勢いでウォータースライダーを楽しむのだった。

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ラムネ「こんな体験が出来るなんて夢みたい。プールってこんなに楽しいものだったのね。」

こんなに楽しんでくれるなら1日中いてもいいかと思ったが、ここのプールは混雑時になると利用制限時間が設けられる。俺たちが滞在出来る時間も残り数分くらいだ。

「ラムネ。そろそろ時間だ、着替えて出よう。」

ラムネ「残念だわ…いつかまた遊びに行きたいな。」

そうラムネは名残惜しそうに言って女性用の更衣室へ戻っていく。

(次回↓↓)


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