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【あつ森】クリーム島青春与太話(モニカルート6終)

前回↓↓(最後の目次で『もっと自分を大事にしてください』を選ぶ)


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保健室まで来たが鍵はかけられてなかった。軽くノックしても反応がない。保健の先生は今席を外してるんだろうか。俺はそっとドアを引いて中を覗いた。やはり誰もいないのか…。いや、ベッド用のカーテンが1つ閉められている。もしかしてあの中にモニカさんがいるのか。

「モニカさん……?」

小声で尋ねても反応がない。少し迷ったが、俺は起こさないようカーテンを静かに開けた。

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モニカさんはジャージ姿のままベッドに横たわり、静かに寝息をたてていた。そういえば今までこんなに近くで顔を見たことが無かったっけ。…綺麗な顔だ。そういや弟のシベリアも結構モテてるんだったな。

ここまで近くに来たのにモニカさんは目を覚まさない。このまま顔を近づけたら…その、キス出来そうだ。と思ったのも束の間…………

モニカ「……………………ん。」

王子様(フツメン)の出番は無さそうだ。モニカさんの瞼がゆるりと動いた。

モニカ「………だ、れ?……………あ………しゅう、じ?」

「甘露が呼んでくれたんです。大ごとになってないようで良かった…。」

モニカ「心配で来てくれたの?…ありがと。練習がひと段落した後にフラついちゃってね。…恥ずかしいわ、貧血だったのかな。待ってて今起きるから。」

「いえ、安静にしててください。」

するとベッドから降りたばかりのモニカさんは渋々近くのパイプ椅子に腰掛ける。

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モニカ「ねぇ、柊二。さっきのことなんだけど…リラのことは悪く思わないで。リラもチアのことを何より考えてる。アタシ、あの子が言ったこと何一つ間違ってないと思うの。」

結構キツイこと言われてたのに…やっぱり同じ部員としてリラさんのことは信頼してるんだな。少し間を置いてモニカさんは話を続ける。

モニカ「あのね…本当のことを言うとリラの言う通りで、アタシ…上手く踊れてないの。ダンスの振りもスタンツもちゃんと覚えてるのにすぐ息が上がっちゃって…皆と合わせられるのにすごく時間かかっちゃうんだ。」

「…シベリアから聞きました。モニカさん、本当はチアを満足に出来る身体じゃないって。」

モニカ「あーあ、柊二にまで知られてたなんてね。」

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カッコ悪い…とモニカさんは苦笑いしながら呟く。

モニカ「アタシ、小さい頃から体が弱くてよく学校を休んだりしてたの。だから高校に入ってからチアやりたいって話して親と揉めたり医者の人を困らせたりしたわ。何回も医者の人に相談して無理をしないようにって条件でチアリーディング部にやっと入ることが出来たの。」

モニカ「練習して色んな場所で踊ってく内に先輩達に褒められたり、後輩の子達に懐かれたり、ダンスを見たお客さんが笑顔で拍手してくれた時はすごく嬉しかった。その度にもっと頑張ろう、もっといいとこ見せようって思ってきたんだけど…」

そこでモニカさんの表情に少し翳りが見えた気がした。

モニカ「医者の人がいう無理をしないようにってのが無理になってきたの。だから昼休みに自主練したりしたわ。今のままじゃアタシは皆に迷惑をかけちゃう、皆から取り残されちゃうから。そんな時にアタシ、プールの時にドジやっちゃって…当然医者の人にも叱られて自主練を禁止されてるし、練習に精が入らなくてリラ達に迷惑かけたわ。それでもね…」

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そこで言葉を詰まらせたモニカさんだが…急に椅子から立ち上がり、飛び込むように俺の肩を掴んできた。

モニカ「アタシ、チア……続けたいの!続けさせてくれるならどんな言葉を浴びたっていい。どう思われたっていい。苦しい思いをしてでも頑張らなきゃと思うの。」

モニカさんは顔を俯かせたままだ。全身も声も小さく震えている。ひょっとしたら倒れてしまうんじゃないか。そっと腕を伸ばして俺にしがみつくようにする彼女を支える。

モニカ「自分でも知ってるの!アタシがチアやるだけで心配する人や迷惑に思う人がいることも!だからこそ中途半端にやりたくないし、こんなアタシに期待してくれる人がいたらそれに応えたいの!」

「…………………。」

モニカ「………あは、今更だけどアタシったら柊二にまで迷惑かけちゃってる……あなたはチアの部員でも弟でもないのに…いきなりこんなこと話されても困るだけよね。ごめんなさい。」

モニカさんがこんな風に話してくれてむしろ俺は逆に嬉しくなった。人間誰しも完璧なわけない。モニカさん自身もそれはちゃんと分かっていて…それでもチアを諦めたくない気持ちは本物で。こんなに一生懸命でかっこいい人を俺は今まで見たことがない。

「いいえ、迷惑に思いません。やっぱりモニカさんはすごいです。でも、頑張ってても辛いと思った時って無かったですか?」

モニカ「………それは………………。」

「その気持ちを1人で抱えたままだといつか壊れてしまいます。俺、モニカさんがそんな風になるのは嫌です。モニカさん、もし自分のことで相談出来る人がいないなら俺に愚痴でもなんでも話してください。俺ももっとモニカさんと話がしたいんです。」

モニカ「…………………。」

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モニカさんは俺の肩を離すとゆっくり顔を上げた。目元がうっすらと赤く滲んでいる。

モニカ「アタシ…あなたに甘えていいの?」

「はい。」

モニカ「あなたに弱音を吐いてもいいの?」

「はい、いくらでも。」

モニカ「それじゃあ……あなたのこと、好きになっていいの…?」

「……はい、勿論。」

俺だってモニカさんに夢中だ。こんなに1日を一生懸命過ごす人を好きにならないわけがない。

「弟の代わりじゃなくて恋人として、あなたの側にいさせてください。」

そう答えるとモニカさんは笑ってくれた。プールの帰りに背負って家まで送った時に見せてくれた、あの笑顔で。

モニカ「…ありがとう。アタシを支えてくれる、かっこいいあなた。」

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退院してから久しぶりの学校だ。保健の教師から電話を受け取ってここまで来た。電話を取ったのが俺で良かった…これが親だったりしたら修羅場だ。保健室まで来てドアを開けようとしたが保健室からひとの気配を少し感じて一旦止める。それからひと呼吸おいて僅かに隙間だけ作って中を覗いた。

そこで俺が見たのは…。

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ああ…。いつかあれに本当の意味での理解者が、最も心から寄り添えるヤツがいればと思っていた。あれは単なるワガママ姉じゃないことを知ってくれるヤツが、輝く姿から弱い姿まで全てを受け入れてくれるヤツがいてくれればと思っていた。

姉貴……やっと見つけたんだな。

まぁ、俺としては相手がアイツなのは少し複雑だけど。


…………………

*・゜゚・*:.。..。.:*・GOOD END・*:.。. .。.:*・゜゚・*


※後書き

こんにちはびゅーんです!!

やっとモニカルート、終わりましたー!!読んでくださった皆様ありがとうございます、そして完走おめでとうございます!

青春与太話に登場するヒロインの中で最年長の役をモニカに演じて頂きましたが如何でしたでしょうか。笑顔が爽やかな元気系のモニカをお姉ちゃん風に書くのは最初苦労しましたが、書いていく内にだんだん楽しくなってきました。

余談ですが『モニカのしゃしん』または『モニカのポスター』、結構セクシーなので住民にモニカがいる方、あつ森の攻略本をお持ちの方はぜひチェックしてみてくださいませ。

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