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【あつ森】はるどこ&ワドハピLongインタビューvol.2【あつ森ドラマ】

こんにちは、びゅーんです。

前回に引き続き、あつ森ドラマ『はるどこ』とその続編『ワドハピ』の原作を担当された太宰さん(以下、敬称略)をお招きして、両作品のストーリーについてインタビューしました。vol.2では主に『ワドハピ』についてご紹介します。

尚、当インタビューは『はるどこ』と『ワドハピ』についてネタバレの内容がガッツリ含まれています。ご了承の上、お楽しみくださいませ。

『ワドハピ』とは?

『World's End Happy Birthday〜きみに贈る物語〜』は前作『春はどこへ行った?』の続編。前世トーカの記憶を持つ少年灯火は、仲良しの少女董子の誕生日に心のこもったプレゼントを用意し、想いを告げようとするが……というハートフルなストーリーが美しい島の風景と共に繰り広げられます。全5話+α構成で2022年7月にyoutubeにて公開されました。

『ワドハピ』についてインタビュー


あの登場人物はこうして復活した

ーーでは、続きまして『きみに贈る物語 〜World's End Happy Birthday〜(以下ワドハピ)』についてお話を伺いたいと思います。『はるどこ』の続編に該当するワドハピの構想はいつからあったのでしょうか。

太宰:Twitter版のはるどこ5章(スノウの過去編)の反響が大きくて、はるどこの最終章直前あたりから、続編作れたらいいねという話をゆりーなちゃんとしてました。はるどこの撮影が全て終了して、原作版の最終章の編集作業をしてたんですけど、心残りがあったんです。

ーーその心残りとは何のことでしょうか。

太宰:スノウについてです。『はるどこ』は必ずしも変わることが大切だという話にはしたくなかったんですが、スノウはあれでよかったのだろうかと。彼がああいう自分になったのは環境のせいもあるし、かなり自分自身にネガティブな感情を持ったまま消えてしまっていいのだろうかと考えてました。
仕事帰りの3月の夕方、交差点で信号待ちをしてた時だったんですけど、横断歩道の向こうに恨めしそうに佇んでるスノウのイメージが思い浮かんだんです。

ーー横断歩道の向こうにボウッと佇むスノウ…

太宰:それだけ物語のことで頭がいっぱいなんだなあと衝撃を受けました。「ああ、悪いことしちゃったなぁ」と思って。それでこの子も次の世界に連れて行ってあげたい、トーカと一緒ならきっとうまくやっていけるだろうと思いました。そういう訳で、はるどこ最終回直前に生まれたのが雪くんで、灯火が生まれ変わるときに一緒に連れてきたということにしました。ドライでダークだけど、それがいいし、そのままの君でいていいんだよと。それでも灯火と一緒に育ったのでだいぶ優しく丸くなっています。
更に『はるどこ』で尺が足りなくて登場できなかったギル=光くんも加えて、滑り込みで書いた原作版のエピローグ(YouTube版の新規シーン)がワドハピの原型になりました。

雪くんと光くんが登場するはるどこエピローグはこちら。2人の未来に幸あれ(涙↓↓

『ワドハピ』でやりたかったこと

ーー太宰さんに起きた不思議な出来事が無かったら、雪くんは登場しなかったかもしれなかった…てことですよね。そんな雪くんと光くんが加わったワドハピですが、当初どのようなスタートでしたか。

太宰:はるどこの最終回を投稿した翌日くらいには、ゆりーなちゃんと続編の話をしていました。ただ、ゆりーなちゃんのスケジュールが大変すぎるのもあって、最初は短編で2話くらいのお話にという予定でしたし、ストーリー自体も灯火が前世の記憶に悩んでいて、一夜だけ魔法が復活、雪と光と一緒に王の亡霊と戦って、董子に告白することしか決まってませんでした。

ーー今公開されているボリュームを見ると、なかなか想像出来ないスタートぶりです;太宰さん、ワドハピの原作を書くときにやりたいことがあったとのことですが…

太宰:はい。続編でやりたかったのは『灯火が前世からの想いを伝えること』、『本格的な魔法バトル』、『あつ森らしいお話と結末にすること』です。

ーーおおぉ!是非ひとつずつ教えて頂けますか。

太宰:『灯火が前世からの想いを伝えること』についてですが、はるどこのトーカがはっきりとトーコに自分の気持ちを伝えられなかったので、ワドハピでお互い17歳で一緒に過ごして青春して欲しいと思って書きました。これはポスターに書いていた『もう一度、君に恋するファンタジー』の言葉で表しました。けど最終的にスペシャルサンクスストーリーでは『もう一度、君を愛するファンタジー』に変わります。指輪作りや想い出の風景作りを経て、灯火の恋が董子への愛に変わった意味を込めています。

灯火が自分の抱く想いを本当の意味で理解した瞬間。そこには幸せそうな董子と祝福する人達が…!本筋から逸れますが、亡霊の表情がニコニコしているところにも注目です。↓↓

太宰:指輪を作りに行ったのに肝心のサイズを知らなかったり、自分の打った楔が抜けてピンチになったり、ちゃんとしたかった告白はズタボロだったりと。17歳灯火には失敗して少し苦い想いをしてもらっています。失敗を踏まえて成長させたかったんですよね。25歳になってちゃんとぴったりな指輪を作って、理想のプロポーズをする為に。

あつ森で表現出来る本格エフェクト

ーー主人公の灯火がお話を通して成長していくという流れがいいんですよね〜!では次に『本格的な魔法バトル』の話についてお聞かせください。

太宰:以前にも話した通り、『はるどこ』でやるには尺と技術力が足らなかったんです。ただ、『はるどこ』の時に家具磨きを使ってみて、もしかして頑張ればできるのでは?と思い挑戦することにしました。ちょうどその時ハリーポッターの映画が地上波で放送されているのを見て「ああやっぱり魔法バトルってカッコいいな〜」て思ったというのもありますが(笑)

ーーマイデザインと家具磨きでバトルエフェクトを描こうという発想がまずスゴい&恐ろしいです。実際、どのようにエフェクトを作りましたか?

太宰:とにかくマイデザインを描いて磨いての繰り返しでした。毎回撮影ギリギリまでクオリティを上げようとしましたね。あらゆる家具を磨いて試して、「ちゅうせいのまちなみ」や「ひろげたしりょう」から出す方法を見つけられたのが、映像の自然な魔法表現につながりました。魔法エフェクトは、世界観、魔力の源が星であるという設定から美しくしようと意識して作りました。藤本タツキ先生の作品が大好きで、『チェンソーマン』のバトルシーンの中で特に好きな、刺客編の辺りの恐ろしさと美しさが合わさった雰囲気を出したいなあと頑張りました。

ーー「ひろげたしりょう」での家具磨きについては太宰さんのTwitterで教えて頂きましたが、あれすごく参考になりました!

太宰:余談ですが、当初雪くんが使う氷の魔法はありませんでした。ですが、映像構成上、クライマックスに雪くんの活躍シーンがあった方がいいというゆりーなちゃんのアイデアを受け、急遽制作しました。おかげですごくカッコいい魔法シーンができて本当に良かったです!

太宰さんがマイデザインと家具磨きで表現した魔法エフェクトはこちらで!何度も見返す内に様々な発見があるかも…!?↓↓

灯火もあつ森住民の1人

ーー当時、Twitterで雪くんの魔法を「パイナップルの頭」なんて仰るから、しばらくパイナップルが頭から離れませんでした(笑)続きまして『あつ森らしいお話と結末にすること』について教えてください。

太宰:ワドハピでは、灯火をより私たちのあつ森世界の主人公として描いています。指輪を自力で作るという展開も、あつ森世界のDIYであれば自然なのではと思いました。出来る限りどうぶつの出番も増やして、つねきちやカイゾー夫妻に重要な役割を持たせました。特にカイゾー夫妻のキャラクターは、好きな人の誕生日に指輪を贈りたいという挑戦を、茶化したり否定したりせずに後押ししてくれる大人がいたらいいなという原作者の想いにぴったりでよかったです。

灯火の挑戦が本気だからこそ、カイゾー夫妻も惜しみなく指導してくれたに違いない。

太宰:他のどうぶつ達の出番は、島の風景を使った撮影にこだわったことや、ゆりーなちゃんと出来るだけ一緒に撮りたかったので、可能な限りさりげない登場にとどめました。

ーー島の風景といえば、ワドハピではフォロワーのfumikaちゃんの島を使っての撮影でしたね。

太宰:fumikaちゃんの島をお借りしての撮影はゆりーなちゃんからの提案でした。ワドハピの世界観にぴったりで、カフェのシーンなど、外国映画のような雰囲気になってとても良かったです。
物語の結末の、灯火が思い出の風景を作る展開は最初ありませんでした。ただ続編でも『はるどこ』に登場した風景をまた登場させたいと思った時に、長い時間が経過して世界そのものも大きく変わっているのに、そのままの風景が残っていていいのだろうかと思ったんです。だったら前作の風景は、世界からなくなったことにして、灯火が作ることにしようと思いました。

ーー『はるどこ』の風景を再現する様子は最終章にありましたが、前世の記憶がある灯火と雪くん、魔術や歴史に強い関心を持つ光くんの設定が活かされていますし、島クリ(という名の建築作業)をすることで過去の風景を復活させるという流れは『あつ森らしい物語』にも当てはまっていますね!

太宰:あつ森をずっとプレイしながら、Twitterで色々な方の島作りを見てきて、自分の思い入れのある風景を再現する人もいれば、私やゆりーなちゃんのように自分のオリジナルの風景を作っている人もいて、どちらもいいなぁと思っていました。なので、灯火にはどちらもやってもらおうと。

ーーどちらも?

太宰:はい。灯火が復元したオーナメントのガーデンは、思い出の再現風景=再現島の比喩です。

ーーああ!先ほど仰ってた『あつ森世界での主人公として』という表現のことですね。まるで灯火が島クリして作ったようじゃないですかー!

太宰:プロポーズの言葉の、「これから君と生きて行く風景も一緒に作っていきたいんだ」は、これから再現風景だけでなく、自分の好きなオリジナルの風景も作って行くことを意味しています。

両作品に登場した同じ風景も、作られた背景を知ってから見ると何処かエモさを感じます。

太宰:和名タイトルの『君に贈る物語』にあるように、灯火が想いを込めた2つの指輪(婚約指輪と結婚指輪)と想い出の再現風景を贈る、董子への愛を贈る物語です。そして同時に、雪くんと灯火の間には、自分自身への愛があり、光くんと灯火・雪くんとの間には友達への愛(恋愛とは違う大切に想う気持ち)があります。

それぞれの愛を贈るお話だなあと思い、最終的にこのタイトルにしました。

ーーお話を聞けて、改めてワドハピはラブストーリーとファンタジーとあつ森の要素が程よく融合した心温まる物語だと感じました!本当に素敵…


といいお話を沢山聞けたところで、当記事は一旦ここで区切らせて頂きます。太宰さんのインタビューはvol.3で最終回。次回は『はるどこ』と『ワドハピ』の撮影裏話について聞いてみちゃいますよー!

※そんなワドハピの登場人物の背景や世界観をもっと知りたい方にはnote版がオススメ!裏で起こる異変の為に暗躍する雪くんなど、Youtubeにはないエピソードが書かれています。


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