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【あつ森】クリーム島青春与太話(ゆきみルート1)

前回(最後の目次で『古里ゆきみを思い浮かべた』を選ぶ)↓↓


とある週末より何日か前の夜だった。

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俺が宿題をやっている時に珍しくオフクロが部屋を覗きに来た。オフクロはテレビ局でADの仕事をしていてあまり長い時間家にいることがない。目の下に濃いクマが出来ているところからして、よほど忙しく休む暇もないんだろう。それなのにわざわざ時間を作って俺の部屋に来たのだ。俺は宿題の手を止めて向き直り、オフクロに用件を促した。

オフクロ「お母さん、今週の土曜から地方ロケの仕事入ったのよ。だから今週末は外で泊まりに行くわ。柊二、また家にいてやれなくてごめんね。」

「了解。……あと謝ることないって。オフクロがやりたくて続けてる仕事なんだろ?なら気にせず行きなよ。俺のことは大丈夫だから。」

ガキの頃は他の子供より甘えることが出来なくて寂しいと何度も思ったが、年を重ねていく内にオフクロがいかに大変な仕事をしているか、今の仕事をどれだけ好きでいるかを理解してきたつもりだ。俺のせいで好きな仕事に支障をきたすなんて思いはして欲しくない。

オフクロ「気を遣わせちゃうわね…。そうだ。これ会社の人がくれたんだけどアンタにあげるわ。」

オフクロはテーブルに何かを置いた。複数人で使える屋内プール施設の優待チケットだ。

オフクロ「ゆきみちゃんやルナちゃんと行っておいで。それじゃあおやすみ、柊二。」

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ゆきみと一緒に登校してルナと再会してから1週間以上が経った。あれからゆきみもルナも高校に少しずつ慣れてきたようで、登下校する度に自分達の学年で起きた出来事を俺に話すようになってきた。

今日の放課後も、俺はゆきみとルナと一緒に下校し、彼女達の話の聞き役に回っている。

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ルナ「でねでね、2限目の移動教室の途中でさ…」

ルナの話を聞きながら帰り道を進むと背後の少し遠いところで別の声が聞こえた。

???「あ。あれ、ゆきみじゃない?」

???「ホンマや!おーーい、ゆきみーーー!!!」

俺が気になって振り向くとそこには違う制服を着た女子2人がゆきみに向かって手を振っている。

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ゆきみ「わー!!たこやん!ラッキー!」

ゆきみは喜んで2人のところへ駆け出した。あの2人は見たことがある。確かエセ関西弁を話す方がたこやんで、包帯を巻いてる方がラッキーだ。2人は中学時代のゆきみの友達で、中学を卒業してからゆきみと別の高校に進学したんだとか。

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たこやん「久しぶりやねぇ、ゆきみ。やっぱり例のセンパイと一緒にいるんかいな。」

ラッキー「ふふふ。ゆきみはいつもラブラブ。」

ゆきみ「もう!またそういうことばっかり言って。2人も帰るところなの?」

そういえばゆきみ、あの2人と会話する時は口調が砕けるんだよな。まあ真の意味で同級生だからかな。俺ともタメ口で話してた時期があったはずなんだけど、いつからゆきみは俺に丁寧語を使うようになったんだっけ。あと例のセンパイって俺のことか?

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ルナ「ゆきみちゃんの友達か。いいなぁ。ルナもこの町でまた友達増やしたいな。」

「ルナならすぐに友達出来そうだけどな。学校でうまくやれてないのか?」

ルナ「そんなことないよ。クラスでお喋りする人達だってちゃんといるよ。でもあの子達みたいに些細なことで一緒に盛り上がれる人はまだいないかな。しゅうちゃんとゆきみちゃん以外でね。」

ルナと話している時に何か視線を感じた。するとたこやんとラッキーが不思議そうな、何かを物色するような顔で俺とルナを見つめている。

「な、なぁ…。何か俺に話したいことでも?」

たこやん「いんやぁ…。センパイ、意外とそういうとこあるんやなぁと。」

ラッキー「センパイ、モテモテ。」

たこやんとラッキーの後ろではゆきみが顔を赤くして恥ずかしそうにしている。

ゆきみ「もう!柊二くんが困ってるでしょ。変なちょっかいかけないの!」

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それからグダグダと皆で会話をしていく内に、たこやんとラッキー、ルナと別れていった。俺は今ゆきみと一緒に帰り道を行く途中だ。だが今日は真っ直ぐ帰らずに寄るところがある。

「今日は晩飯の買い出しがあるからこれからスーパーに寄るんだ。」

ゆきみ「え!?買い出しって…柊二くん、今日の晩御飯ないんですか?」

「そうなるな。だからすぐに食べれる出来合いのを買おうと思ってる。」

ゆきみ「でしたら私の家で晩御飯食べますか?今からでも連絡を入れれば柊二くんの分も用意出来るかもしれません。」

「いや、それは遠慮するよ。おばさんに悪いし。」

ゆきみ「そんな…!ならせめて私が柊二くんの晩御飯を作りに行きますよ。」

「え?ゆきみが…?いやいや、それも悪いよ。」

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だが普段押し売りに弱いゆきみが引こうとしない。何が何でも古里家のご飯を食べさせたいようだ。ゆきみの顔つきがだんだん真面目になっていく。

「いいえ。是非作らせてください。柊二くんにちゃんと栄養のあるご飯を食べて欲しいんです。」

もしかして、俺に買い出しをさせるとインスタント麺とかお菓子しか買わないと思われてるのか?反論したい気持ちもあるがどっちかが折れない限り話は堂々巡りで先に進まない。仕方ない…今回は俺の方から折れることにするか。

「分かった。俺の方からお願いするよ。一緒にスーパーに行こうか。」

次回↓↓


※字数を考慮し、先日投稿したnoteの内容を分割させて頂きました。


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