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【あつ森】クリーム島青春与太話(チョコルート1)

前回(最後の目次で『甘露チョコを思い浮かべた』を選ぶ)↓↓


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今日の授業が終わってから帰宅し、簡単な宿題を終えた後に私服に着替えて商店街まで来た。オフクロから日用品と食料品の買い足しを頼まれたからだ。メールで送られたリスト通りの店に寄ろうとしたが、買い物の前に何か飲み物をとろうと商店街を少しうろつくことにした。ふとオープンして数ヶ月の綺麗なコーヒーの店が目に止まる。

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『シャムロック・コーヒー』は探せばどこかしらにある大手コーヒーチェーン店だ。コーヒーの他にトッピングが派手な…いわゆる映えるスイーツドリンクが手頃な価格で飲めるから女子学生がよく使ってる印象がある。今日はいつもより人が多いな…と思ったらなるほど。今日から期間限定の新作ドリンクが販売されるからか。

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流石に行列に並んでまで飲み物を買いたいとは思わなかった。喉を潤すだけなら自販機の水やお茶で十分だ。そう思って引き返そうとした時だった。

「あれ?加納じゃん。こんなとこで何してんの?」

誰かに声をかけられたので見てみるとそこにはテーブル席に座っている甘露チョコがいた。そろそろ夕方に入りそうな時間なのにまだ制服を着ている。ああ、ひょっとして部活帰りなのか。

「いや特に。何か飲み物をと思ってのぞいただけだよ。」

「ふーん……。」

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甘露はそれだけ言って何も言葉を発しない。代わりに俺に見せつけるように手に持ってる見慣れない飲み物を一口飲んで見せてきた。

「甘露のそれ、なんだ?」

俺がふと甘露が手に持っている飲み物について聞くと、甘露はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりのドヤ顔でトッピングであろうクリームが欠けたドリンクを指さす。

「これ!今日から始まった期間限定の新作ドリンクでグリーンティーソーダフロート!!今日はこれを飲むために部活頑張ったもんよね!」

本当なのか演技なのか、甘露はさぞ美味しそうにグリーンティーソーダフロートなる飲み物を味わっている。

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チョコ「いいでしょ〜羨ましいでしょ〜、今から買うの大変だよ〜、売り切れちゃうかもしれないよ〜。」

甘露は何故か勝ち誇ったような顔で俺に新作ドリンクを見せびらかす。別に大して惹かれないんだけどな。

「そうだな。大変そうだな。」

と適当に返しておく。

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チョコ「もうしょうがないな〜。ほら、一口なら飲ませてあげなくも無いよ。」

俺の反応が薄いにも関わらず、甘露は余裕そうな表情で手に持っている飲み物を差し出した。……まぁ、そこまで勧めるってことはそれなりに美味いんだろう。ていうか飲んで欲しそうだし。一口だけご相伴に預かるとするか。

俺はグリーンティーソーダフロートを受け取ると、クリームが欠けている方のグラスの縁から一口分の液体を口の中に入れた。炭酸のパチパチした食感の後に緑茶の爽やかさと苦味が口の中に広がる。少量だがそれなりに味わったところで甘露にグラスを返した。

いや待て。トッピングのクリームが欠けている上に量が少し減ってる…てことは飲みかけってことだよな!?しかも偶然にも俺は甘露が口付けた側のグラスから液体を流し込んだわけで……。これってもしかして、間接キスか??

チョコ「その反応は。さては美味しさのあまり声が出ないんだなぁ?」

甘露はまだ気付いていないのかニヤニヤしながら尋ねてくる。

「いや、味はまぁまぁだったよ。でもお前…これ…」

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これ以上は口にするのが恥ずかしい。俺の表情を見て甘露は一度首を傾げたが、次の瞬間目を丸くして強張った表情を見せた。どうやら自分のやった行為に今気付いたようだ。甘露の引き攣った顔がみるみる赤くなっていく。そして…

チョコ「うひゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!?」

店中に響き渡るほどの絶叫をあげた。周りにいた殆どの人達が甘露の方を見る。うわ、これは面倒くさいことになりそうだ。

「じゃ、じゃあ。俺、そろそろ行くな。」

このままでは俺まで注目を浴びてしまう。俺がさっさと店を後にしようとした時だった。

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チョコ「ちょっと待てーーーーー!!!!」

コーヒー店の入り口まで出てすぐのところで顔を真っ赤にしたままの甘露に呼び止められてしまった。まさかさっきのドリンクを一瞬の内に飲み干して追いかけてきたのか??

チョコ「アンタ…アンタねぇ、何てことしたのよ!!!!ナチュラルにか、か、間接…キ、キスとかしよってーーーー!!」

「いや、差し出したのはお前の方だろ。」

チョコ「なぜ拒否しなかったーーーー!!!?」

え?拒否して欲しかったのか??明らかに飲んで欲しそうだったじゃないか。相変わらず要求とリアクションがチグハグなやつだ。まぁ、あそこで間接キスに気付けなかった俺が今言うことでも無いか。

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チョコ「とにかく!!このことは他言無用!!絶対にだよ。いい!?」

甘露は「絶対に誰にも言うな」と強調し続けた。確かに下手に話して変な噂として広がってしまうのは俺も避けたい。まぁ、たかが間接キスと思われるかもしれないが…。

「分かってるって。それより甘露。」

俺はさっきから甘露の顔を見て言いたかったことを指摘した。

「口の端にクリームついてるぞ。」

チョコ「え?………………な、なーーーーーーーー!!?」

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1人で晩飯をとってから部屋で一息つこうとしたタイミングでまたオフクロからメールが届いた。数時間前に俺が商店街で買ったものを写真に撮って送ったことに対する返信だろう。「ありがとう」の旨の簡単な文と何かが添付されていた。添付のファイルを開けてみると出てきたのは地元の近くにある屋内プール施設の優待券だった。

なんで俺に寄越してきたのかは分からない。俺は優待券をプリントせずそのままにしておいた。だがこの優待券が後に意外な場面で活躍することになるなどこの時の俺は知る由もなかった。


(次回)↓↓


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