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【あつ森】クリーム島青春与太話(ゆきみルート4)


前回↓↓


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それから俺とゆきみはスーパーで買った食材をキッチンに運んでカレー作りを始めた。今は2人並んでジャガイモとにんじんの皮を剥いている。

ゆきみ「柊二くん、まだ剥き終わってないジャガイモをください。」

「ほいよ。」

俺はまだ皮がついたままのジャガイモをゆきみ手渡そうとした。ゆきみは手を伸ばして受け取ろうとしたが、その時ジャガイモと一緒に俺の手まで握ってきた。お互い「あ……」と声が漏れてその場でフリーズする。それから2、3秒ぐらいしてからだ。

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ゆきみ「ご、ごめんなさい!」

ゆきみは申し訳なさそうな顔をして2、3歩俺から距離をとった。

「い、いや別に…。」

それから更に気まずくなってしまったのかお互い無言で黙々と野菜の処理を続ける。俺に至ってはゆきみの顔を見ることさえ出来ない。するとゆきみの手から皮を剥いたジャガイモが飛び出していった。床に落ちる前にゆきみがなんとかキャッチする。

ゆきみ「どうしちゃったんでしょう、私…。と、とにかくカレーを作りましょう!」

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「「いただきます。」」

どうにか完成させたカレーをゆきみが一口食べる。するとゆきみは満面の笑みを浮かべた。

ゆきみ「わあ!今日のカレー、すごく美味しいですね!!」

「ああ美味い。そりゃあカレーを煮込むのは殆どゆきみがやってたからな。」

ゆきみ「でも柊二くんの方がお野菜をたくさん切ってくれました。」

今日のカレーはいつもと同じようで少し違う。勿論いい意味でだ。きっとそれはゆきみと一緒に作ったからなんだろう。

「ゆきみも疲れてるのに晩飯作ってくれてありがとな。」

ゆきみ「なんてことありませんよ。沢山作りましたから明日以降はおばさんと召し上がってください。カレーは1日置くともっと美味しくなると言いますから。」

頼んでいないのにオフクロのことまで気にかけてくれてたのか。ホントに世話焼きなやつ…。でもそういうところがゆきみらしいし、俺もその気遣いについ甘えてしまう。

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それから俺は風呂に入り、ゆきみの寝床としてオフクロの空いてる部屋を案内した後自分の部屋に戻った。今日のゆきみとのやりとりを思い返しながら自分のベッドに入る。今日はすごく充実した1日だったけど…いつものゆきみの相手をした感覚がなかった。重くなった瞼を閉じ、あと数秒で眠れそうな時だった。コンコンと軽いノックの音がした………ような気がした。

ゆきみ「柊二くん、今…いいですか?」

か細くて聞き取りづらい声だがゆきみの声なのは何となく分かった。いいよ、と言ったつもりだが意識が朦朧としていて呂律が回らない。少したった後、ゆっくりと扉を開ける音がした。ゆきみが入ってきたんだろう。俺の身体は壁の方を向いてしまっている為、ゆきみが部屋のどこにいるのか分からない。

ゆきみ「寝て、ますか?…………分かりました。今から独り言を話しますね。えっと…話したいことがあるはずなんです、でも、どうしましょう。私、何から話せば…。」

ゆきみの話を聞く為に意識を無理やり覚醒させようとした。だが身体が思うように動かない。俺の身体が背を向いているにも関わらずゆきみは話を続けた。

ゆきみ「柊二くん。前に、どうして言葉遣いを変えたか…て聞きましたよね。確かに私…中学生になってから言葉遣いを変えています。意識的に。でもごめんなさい…何故変えたかまでお話する勇気がないんです。だって私…まだ…柊二くんに嫌われたくない…。」

何故、言葉遣いを変えると嫌われるなんてことになるんだ。それに声が徐々に震えているように聞こえる。気になり出したからか意識が戻っていく。俺は身体の向きを反転させようとした。

「ゆきみ…?」

ゆきみ「お願い…振り向かないで、ください…。今、あなたの顔を見てしまったら、泣いて…しまいそう…。」

あの問いは俺にとって些細なものだと思っていた。しかしゆきみにとっては深刻なことだったのか。言葉遣いが変わったってゆきみは今までと変わらないじゃないか。

「どんな言葉遣いになっても、お前は繊細で細かい気配りが出来て優しい古里ゆきみだ。そんなゆきみを俺は簡単に嫌いになったりしないよ。」

俺は意を決してベッドから身を起こし、背後を振り向いた。そこには身体を小刻みに震わせ、今にも泣きそうなネグリジェ姿のゆきみがいた。

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「もしそのことで不安にさせちゃったんなら、俺の方こそごめんな。」

ゆきみ「いいえ…ありがとうございます、柊二くん…ありが…とう…。」

ゆきみは消え入りそうな声でありがとうと繰り返した。閉じられた瞼から小さな雫が静かに流れ落ちる。その姿を見て思わず胸が締め付けられそうになる。

「ゆきみ、そろそろ寝よう。身体に障るぞ。」

ゆきみ「…はい、そうします。おやすみなさい柊二くん。」

その言葉を聞き届けるとゆきみが部屋を出る姿を見ることなく瞼が落ちていった。

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気付けば日付は進み、窓の隙間から薄ら光が差し込んできた。今日はいつも以上に目覚めがよく、朝から脳がシャキッとした気分だ。顔を洗う為に身体を起こそうとしたが…

「……………?」

おかしい。何故か身体が重い。重いというより何か乗ってるような違和感がある。ベッドを確認した瞬間、俺は顔をギョッとさせた。

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そこには俺のベッドに頭を預け、そのまま寝ているゆきみがいた。寝に戻ったんじゃないのか!?しかも俺の腕に思いきり頭を乗せている。ゆきみが頭をどけてくれないと俺はベッドから降りることが出来ない。だからといって腕を無理やり抜こうとするとゆきみは起きてしまうだろう。とりあえず小声で声をかけてみるか。

「ゆきみー?」

ゆきみ「うーん…うぅ…む?」

すると俺の声に反応したのか、ゆきみはトロンとした瞼をゆっくり擦った。ゆきみの開いた目と俺の目がばっちり合う。

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ゆきみ「きゃあ!!?」

この状況に気がついたゆきみは勢いよく俺のベッドから飛び退いた。ゆきみが退いてくれたおかげで体が自由になったので上半身を起こした。

ゆきみ「柊二くん!!これは、えと、その…ちゃんと寝たか確認しようと思っただけで……えと、そういうことがしたかったわけじゃ……」

ゆきみは顔を真っ赤にしてアワアワしている。そんなゆきみの姿があまりにも可笑しくて、可笑しすぎて愛おしさも感じて思わず噴き出してしまった。

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「なんだそれ、まぁ俺もビックリしたけどな。おはよう、ゆきみ。」

俺が笑ったからかゆきみも徐々に落ち着きを取り戻していった。

ゆきみ「………はい、おはようございます。」

「その、こう聞くのもなんだが…ちゃんと疲れは取れたのか?」

ゆきみ「はい。ばっちりです!」

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リビングで朝食を取った後、俺はゆきみを送りに行った。その時は俺の部屋の掃除と洗濯までやると言っていたが、流石にそこまで世話になるのもどうかと思い丁重に断った。

ゆきみ「柊二くん、昨日から本当にありがとうございました!私、この日のことは忘れません。」

「大げさだな。でも俺も楽しかったよ。」

そろそろオバサンが戻ってくるだろう。邪魔するといけないから俺は自分の家に帰ろうとした。するとゆきみが俺を呼び止める。

ゆきみ「また…いつものように一緒に学校行きましょう。」

そうだ。いつものようにまた一緒に学校へ行くんだ。俺とゆきみは幼馴染なんだから今更どうってこと…あれ?

折角クリアな頭で朝を迎えられたと思ったのにまた頭に霞がかかる。俺はふと振り返り、玄関でまだ立っているゆきみを見る。そこにいるのは幼馴染のゆきみなのか。昨日のドギマギした記憶が甦りまた頭がモヤモヤし出す。

もしかして俺は、ゆきみに幼馴染としてじゃない別の何かを見ているのか………?

(次回)↓↓


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