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【あつ森】クリーム島青春与太話(チョコルート4)


前回↓↓


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次に向かったのは学校からすぐ近くの商店街。前に甘露と…間接キス事件を起こした場所でもある。今回俺たちが立ち寄るのはコーヒーチェーン店ではなくゲームセンターだ。

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ペーター「ゲームセンターかぁ。僕はあんまりこういうところ行かないからなんか新鮮な気分。」

エトワール「こうして皆で来るとは思いませんでした。何して遊ぼうかしら。」

チョコ「皆でプリクラとかレースゲームとかいいよね!………あ。」

甘露がある1点に目を止めてある場所に近寄った。

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甘露が見つめているのはクレーンゲーム…正確に言うとクレーンゲームの中にひしめき合うクマのぬいぐるみ達だ。徐に財布を取り出すと500円玉をゲーム機に投入する。真剣な表情でかぶりつくようにアームを見ながら操作する甘露……アームの動きから察するにお目当ては眼前にある茶色のクマなんだろう。

甘露は茶色のクマ目掛けてアームをおろすがそう簡単にクマを挟み込まない。ゲーム回数があっという間に無くなったが甘露は諦めきれないのか追加の500円を投入した。

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チョコ「ぐぬぬぬぬぬ……………」

あれから何十分たっただろう。峯山と星野の応援も虚しく、甘露は何度もクレーンゲームに挑戦してもお目当てのクマをゲット出来ないでいた。

ペーター「あ、あの...甘露さん。僕、そろそろトイレに行くね。」

エトワール「峯山くん、私もお手洗いに行こうと思ってたんです。一緒に行きましょう。」

峯山と、その後を追うように星野がトイレの為にその場を離れた。しかし甘露はまだクレーンゲームにかじりついたままだ。

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チョコ「あ〜〜〜ん!どうして取れないのーーー!?」

未だ茶色のクマを捕まえられない甘露はついにその場で地団駄を踏み出した。

「なぁ甘露。向こうのブースに行けばゲームの景品買えるぞ。そっちにしたらどうだ?」

チョコ「ここまで来て諦められるかっての!アタイは負けない、ここで屈しない!」

どうやらクレーンゲームで取ることに拘ってしまってるらしい。確かにここまでゲームにかけた金額を想像すると…引き返すに返せないのかもしれない。あー、また失敗してる。……しかしこれ以上はまずいだろう。余計泥沼にハマる予感しか見えない。俺は懲りずに小銭を用意しようとする甘露を退けて自分の財布から500円玉を取り出した。

チョコ「え、アンタ……。」

「貸してみ。こういうのはコツがいるんだよ。」

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甘露のお目当てのクマのぬいぐるみは真正面を向いている。これを1回で取ろうとするのはかなり難しいだろう。3回プレイのうち2回でぬいぐるみが掴みやすくなるよう位置を調整し、真正面を向いていたぬいぐるみを横倒しにした。輪っかになっているタグを狙う方法もあるが、これは意外と操作技術を要する。

ついに3回目、残りプレイがあと1回になったところで俺は勝負に出た。アームを正確な位置につける為慎重に操作し、そして……。アームにガッチリ掴まれた茶色のクマのぬいぐるみが下降口に落ちていった。

「ほら。欲しかったんだろ、これ。」

チョコ「あ………………。」

ぬいぐるみを差出すと甘露が驚いた表情を浮かべ手を伸ばして受け取ろうとしたが、ハッと我にかえると俺に背を向けてボソリと呟いた。

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チョコ「い、要らない…。」

え?要らない??さっき思いきり受け取ろうとしてたじゃないか。あまりに不自然な心変わりだ。

チョコ「別に……欲しかったわけじゃない。な、なんとなく取れればいいかなって思っただけだし。」

「そんな風に思ってる物に対してあんなに金使うか?すごく欲しいから頑張ったんだろ。」

チョコ「だから!欲しくない!別にアンタから貰ったって嬉しくなんかないんだから!!」

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そこまで頑なに俺の言葉を否定し続けるか。どうして、甘露は俺の気持ちを…甘露自身の気持ちを認めてくれないんだろう。いつもならスルーしているところなのに今日は苛立ちの方が勝ってしまっている。

「お前、いくら何でもその態度はあんまりじゃないか?」

チョコ「だ、だって…アタイ別にそれが欲しいなんて言ってない。アンタが勝手に勘違いしただけじゃん!」

「嘘つくな。絶対欲しがってただろ。大体、甘露はどうしていつも俺に正直なことを話してくれないんだ。」

チョコ「な……何それ、アタイがいつも嘘ついてばっかだって言いたいわけ!?」

「ならもっと素直になれよ!そんな捻くれてばかりいたって可愛げないだけだぞ!」

…………………。今、俺はなんて言った???もしかして甘露にとってかなりマズイことを言ったのでは??我に返って見ると甘露は肩を震わせながら俯いていた。

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チョコ「そうだよ…。」

甘露は絞りとるような声で言うとキッと顔を上げ俺を睨みつけた。

チョコ「ええアンタの言う通りよ!!嘘つきで可愛げがなくて悪かったね!」

そう言って甘露は押しのけるように俺の前を走り過ぎて行き、そのまま全速力でゲームセンターを飛び出していった。

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エトワール「チョコちゃん!」

甘露はトイレから戻ってきた峯山と星野の横をも通り過ぎていった。事情を知らない2人はただ唖然として甘露が走っていった先と俺を交互に見つめる。

ペーター「ねぇ加納くん。一体、甘露さんはどうしちゃったの??」

「……………………。」

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俺は峯山と星野がトイレに行っている間に起きたことを話し、3人で商店街中を回った。しかし甘露の姿は見当たらなかった。

ペーター「甘露さん、もう帰っちゃったのかな。」

「かもしれないな。…悪い、2人とも。折角の日を台無しにしちまって。」

エトワール「加納さん……。チョコちゃんには私からスマホでお話しておきます。今はそっとしといてあげてください。」

結局俺たちは甘露に会うことなくその場で解散となった。

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峯山と星野と別れ、1人残った俺は迷い人のように商店街をフラフラ歩いてる時だった。俺の真横を女子集団が通りすぎていく。

『ねぇ、あそこ行かない?まだ限定ドリンク飲んだことないんだよね。』

『マジ!?絶対飲んだ方がいいって!行こう行こう!』

女子集団が楽しそうに『シャムロック・コーヒー』に入っていく。その時 間接キスが発覚して顔を真っ赤にした甘露が頭をよぎったが振り払い、店を通り過ぎる。しかししばらく歩いている内に商店街を一周してしまったらしく、またゲームセンターの前に戻ってきていた。

どうしてこうなったんだろう。あの時はただ、甘露がどうしても欲しそうにクマのぬいぐるみと格闘してたから代わりに取ろうとしたのに。いや、何故代わりに取ろうとした??それは……そうだ、甘露に喜んで欲しかったから。喜ぶ顔が見たかったからだ。そこで追い討ちをかけるようにプールでの星野の言葉を思い出す。

エトワール『あんな態度をとってますが、チョコちゃんはあなたのことが嫌いじゃないんですよ。』

素直に思うことを伝えて欲しい俺と素直に伝えられない甘露。考えていることは同じかもしれないのに、こうもすれ違ってしまうのか。そうか、今日1日中どうしてこんなにモヤモヤしているのか分かった。俺は甘露のこと……

(次回)↓↓


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