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【あつ森】クリーム島青春与太話(ゆきみルート6終)


前回(最後の目次で「ゆきみは1人の女の子」を選ぶ)↓↓


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俺は1人でその場から抜け出してしまったゆきみを探している。周辺には既にいないようだ。学校にも顔を出してみたがいない。そしたらもう家に帰っているかもしれない。俺は全速力でゆきみといつも下校する道を駆けていった。

その道中、俺は前方に人影をみた。

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ゆきみが1人でトボトボと帰り道を辿っていた。足取りは重く、夕陽の光を全身に浴びている。

「ゆきみ!」

ゆきみ「…………!!」

追いかけてくる俺に気付いたゆきみはまたその場から離れようとした。が、速度は俺の方が若干速い。徐々に距離を詰めガードレール際に追い込んだ。ゆきみからしたら圧を感じるかもしれないが、どうしても逃すわけにいかない。

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ゆきみ「柊二くん…私…………ごめん、なさい……………ごめんなさい!!!」

ゆきみは怯えるように勢いよく頭を下げた。俺はすぐに顔をあげるよう促す。

「ゆきみ、お前にそうして欲しくて来たんじゃない。俺はゆきみが何を考えてるのか話を聞きたいんだ。」

ゆきみは困ったような顔をしたが、覚悟を決めたのかポツリポツリと話を始めた。俺はゆきみがひとしきり話し終えるまで黙って聞くことにした。

ゆきみ「中学時代、たこやんとラッキーに…柊二くんと私は……その、付き合ってるんじゃないかって言われて…その時すごく恥ずかしくなって…言葉遣いを変えるようにしたんです。これなら付き合ってるって間違えられて柊二くんに迷惑かけたりしないと思って…。どんなに柊二くんを意識しても距離を保とうとしました。」

あの友人ら、本当に余計なことをしてくれたもんだ。俺は心の中でそう思いながらもゆきみの話に耳を傾け続ける。

ゆきみ「でも柊二くんに言葉遣いのことを聞かれた時、私は間違ってることをしたかと思ったんです。だって…自然体のルナさんと接する時の柊二くんはすごく楽しそうでした。だから私も昔のようにしてたら良かったのか迷いました。」

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ゆきみ「私…本当は…ルナさんが戻ってきてから不安でした。このままじゃ柊二くんはルナさんしか見てくれなくなると思ってしまって…それで…。」

ルナまでプールに誘ったら俺がルナにばかり構ってゆきみを放ってしまうかもしれない。それで声を掛けなかったということか。ゆきみはそこで声を震わせ、手で顔を覆い隠した。

ゆきみ「柊二くん……私は、あなたが言うような優しい人じゃ…ありません。結局…自分が傷つくのが…怖いだけです。どんなに…どんなにあなたのことが好きでも…私は…あなたに寄り添う資格は………ないんです。」

ゆきみはずっと自分の気持ちを閉じ込めて、こうして話してくれるまでずっと我慢していたんだろう。でもそれはゆきみ1人が我慢しなきゃいけないことじゃ無いはずだ。

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俺は泣き続けるゆきみを包みこむようにそっと抱き寄せた。

「ゆきみ、ありがとう。」

俺がそう呟いたとき、ゆきみの息を呑む音が聞こえた。

「確かに嘘をつかれた時は少し悲しかった。けどそこまで俺のことを好きでいてくれるなんて思わなかったから、今はすごく嬉しいよ。」

本当に嬉しい。やっとゆきみが何を考えているのか知ることが出来たから。でも女の子1人に思いの丈を告白させるのは如何なものか。ならば俺も1人の男として気持ちを伝えなければ。

「俺も同じだよ。ゆきみが急に別人に見えたからどう接すればいいのか分からなくて怖かった。でもゆきみが話してくれたおかげで迷いが無くなった。」

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「俺もゆきみが好きだ。これからはゆきみの幼馴染じゃなくて…恋人になりたい。」

ゆきみは涙を拭う手を止めて目をパチクリさせる。

ゆきみ「……柊二くん。本当に、こんな私で………いいんですか??」

「前にも言ったろ。言葉遣いを変えたぐらいで俺は簡単に嫌いにならないって。ゆきみこそ俺じゃ嫌か?」

ゆきみ「そんなことありません!ずっと…ずっとこうなることを望んでいました。私……これからどんな関係になってもあなたと一緒に居続けたいです。」

ゆきみはそういうと笑顔で俺を抱き返した。茜色の夕陽の下、互いの気持ちを確かめ合うかのように2つの影が1つに溶けていった……。

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俺たちを取り巻く日常がこれからどうなってしまうのか誰にも分からない。でも不安と後悔はない。俺にはゆきみがいて、ゆきみには俺がいる。それだけはこの先変わらないのだから。

…………………

*・゜゚・*:.。..。.:*・GOOD END・*:.。. .。.:*・゜゚・*


※後書き※

こんにちは、びゅーんです。これにて青春与太話のゆきみルート完走しました。ありがとうございます、おめでとうございます!!

ゆきみちゃんをヒロインにするならどんな感じかと考えた際、控え目(主人公の健康のことになるとやや強気)で主人公に尽くす子…という印象が浮かび、そこから思ったことを仕舞い込む性格や主人公の幼馴染という設定を加えていきました。

そんなヒロインを演じてくれたゆきみちゃんですが、クリーム島でも小柄でポテポテ歩く姿が愛らしくて小脇に抱えてお持ち帰りしたくなる子です。

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