ダナン郊外にある米軍基地跡に行ってみた
ダナン市郊外にあるキャンプ・リーズナー(Camp Reasoner)という米軍基地跡に行ってきました。
キャンプ・リーズナーとは
キャンプ・リーズナー(Camp Reasoner)とは、1965年に南ベトナムに最初に常駐した第3偵察大隊の駐屯地跡です。
1965年以前は、アメリカは南ベトナムを支援するという名目で、軍事顧問団の派遣はありましたが、大規模な軍隊の派兵はまだありませんでした。
しかし1965年に米軍が初めて海兵隊の大規模戦闘部隊をダナンに派兵し、それをきっかけにアメリカがベトナム戦争に本格的に参加するようになります。
米海兵隊3500人がレッドビーチ(現在のthanh khê地区周辺のビーチ、ホテル三日月ダナンがあるところ)から上陸し、後に現在のLiên Chiểu区にある小高い丘にキャンプ・リーズナーを作ります。
ちなみにキャンプ(Camp)とは「駐屯地、(一時的な)拠点」という意味です。キャンプは海兵隊や陸軍など機動性、即応性のある部隊の拠点でよく使われる用語です。ベトナム語ではdoanh trạiやtrại quân sựといいます。
一方でベース(Base)は「(恒久性のある)基地」という意味で、艦船や航空機を所有する海軍や空軍がよく使います。ベトナム語ではcăn cứといいます。
また、リーズナー(Reasoner)とは、上陸後にベトコン(南ベトナム解放民族戦線)と勇猛果敢に戦って亡くなったFrank S. Reasoner中尉の名前からとったものです。
実際に行ってみた
ダナン市中心部からバイクで30分ほど行くと、ベトナム人民軍の施設が見えてきます。
ゲートがありますが、一般人でも普通に入れました。
道を少し登ると大きな採石場があり、巨大な仏像が建設中でした。
仏像をこのように上から彫っていくのは初めて見ました。
周辺の地形は採石によりかなり変化していたため、基地跡が跡形もなく取り壊されてないか心配になります。
しかし、基地の標識と警備室がフェンスに囲まれている形でモニュメントのように保存されていました。
コンクリートの標識はかなり損傷が激しく、草もボーボーで見えづらかったですが、一応Camp Reasonerの文字が読み取れました。
米軍基地跡は貴重な史跡
ベトナムに現在残っているベトナム戦争関連の史跡のほとんどは、当時の北ベトナム軍及び解放戦線の勝利、栄光、犠牲、献身を美化したものばかりです。
米軍基地は侵略されたことを示す絶対悪の証でもあるため、現在のベトナム政府にとって都合が悪く、ベトナムではほとんど見ることができません。そのため、このような米軍基地跡は非常に貴重な史跡なのです。
採石場になっているにも関わらず、取り壊さずにちゃんと史跡として残しておこうとする姿勢に少し感動を覚えました。
沖縄との関連も深い
キャンプ・リーズナーに常駐した海兵隊の第3偵察大隊は、実は沖縄で訓練された部隊でした。しかもこの部隊は沖縄の辺野古のキャンプ・シュワブを拠点に現在も存続しています。
沖縄で訓練し、ベトナムで戦い、沖縄にまた戻る...ベトナムと沖縄の戦争の結節点の一つがこのキャンプ・リーズナーなのです。
当時米軍基地で働いていた沖縄人はベトナム戦争の時のように間接的に戦争に加わっているともいえます。
ベトナムでは戦争はすっかり過去のものとなっていますが、沖縄では普天間基地の辺野古移設問題など、現在でも米軍に関わる問題が山積みで、未だに解決していません。
小高い丘にあるキャンプ・リーズナーから発展するダナンの街を眺めると、眼の前に広がる綺麗な景色と相反する沖縄への何ともいえないモヤモヤ感を抱きながら私は丘をあとにしました。
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