[過去記事特集まとめ] ベトナム語の鏡: ベトナム社会と文化探求

ベトナム語を通じてベトナムの豊かな歴史、文化、そして社会を深く理解するための過去記事をいくつかまとめました。ベトナム語を学び、その多様な特性からベトナムとその人々の魅力的な面を探求してみましょう。

①少数民族とベトナム語

ベトナム語は少数民族の共通語でもある

多くの人は「ベトナム語はベトナム人にしか通じない単一的な言語である」と思っているでしょう。しかし実際はそうではありません。

我々が普段口にする「ベトナム人」というのは「キン族(dân tộc Kinh)」のベトナム人のことをさしています。キン族とはベトナムの主要民族のことで、全人口の86%を占めます。そして残りの14%を53の少数民族が占めています。

つまりベトナム語はキン族のベトナム人と話すための言語だけでなく、53の少数民族が話す共通語としての役割もあるのです。

通常、少数民族の方達は同じコミュニティー内で彼ら独自の言語を話します。
例えばベトナム北東部のヌン族(dân tộc Nùng)は中国語に近いヌン語を話し、中部のバーナー族(dân tộc Ba Na)はラオス語、タイ語系のバーナー語を話し、南西部のメコンデルタ地方に住むクメール族(dân tộc Khmer)はクメール語を話します。

彼らはベトナム語をtiếng Việtと呼ばず、tiếng Kinh(キン族語)と呼びます。自分達が普段話す民族の言語と明確に区別するためでしょう。

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