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【疎開日記2021】#2 ブンタウ再び

2021年6月1日(火)

毎週木曜に日本人学校の宿題配布と回収があるので、それを待って金曜の授業後に出ようかと夫と相談。ブンタウは2回目だし、今回は準備の時間もあるし大丈夫!と余裕ぶっかましてブンタウ行きを決めたのが31日(月)のこと。

前回住んでいたマンションではなく、今回はもっと新しいマンション、しかも民泊に出している部屋に泊まれると聞き、これは考えようによっては長期リゾート休暇のようなものでは?と期待に心がはずむわたし。

この一年、ちょっとした外食以外は娯楽はほとんどなく(外泊禁止令が出ていたので)、近所のお散歩やプール遊びで過ごしてきた我が家にとって、いい気分転換になるかもしれない。

ホーチミンと違い、まだ感染者の出ていないブンタウはレストランも通常営業しているし、海も入れるとのこと。前回は着古して捨ててきてもいいような服ばかり持っていき、色んな意味で気持ちが落ち込んだので、今回はちょっとだけお出かけ用の服も持っていこう。妄想がどんどん広がる。

ホーチミンは15号が出たことで緊張が走った31日、我が家はちょっと浮かれて旅行前の気分でした。不謹慎ですみません。


翌6月1日(火)、朝ニュースをチェックすると…

本日12時よりブンタウは遊泳禁止。ホーチミンからの旅客の移動も禁止。

夫から電話があり、「移動が禁止される前に慌ててブンタウ入りすることになるかも。今いろいろ確認中だから、いつでも出られるように準備しておいて!」とのこと。

やいやい、またこのパターン。前回同様、夜逃げのように出ていくことになるのか…。

前日に膨らんだ妄想はみるみる間に萎んでいき、リゾート計画はあっけなく幕を閉じたのでした。


慌てて学校に連絡を入れ、テストやプリント類を受け取れるように先生に依頼。スーツケースを引っ張り出し、持っていくものを詰め込みます。昨夜、ノートに持って行くものリストは書き込んでおいたので、それを見ながらオンライン授業中の娘の邪魔にならないように、淡々と、淡々と準備を進める。

考えてはいけない、悪い方に考えてはいけない。呪文のように呟きながら、ひたすらパッキング。

今回は早めに出られそうなので、夜逃げっぽくはならないはず。それだけが救いだなと思いながら、夫の帰りを待っていると、再び着信あり。

今、高速降りたところなんだけど、足止めされちゃってさ。警察が来るまで動けないんだって、もう一時間も待ってるからそろそろだと思うけど。

何の手違いかわからないけれど、夫は帰って来られず、出発は大幅に遅れることに。更に、いつも夫の送り迎えをしてくれているドライバーさんも一緒にブンタウへ引っ越すらしく、家に荷物を取りに帰るから、なんだかんだで出発は夕方6時くらいになるとのこと。

荷造りの最後の仕上げをしながら、引っ越しに必要だと言われ、健康申告のウェブサイトに登録して、QRコードを大家さんさんに送信。


はぁ、バタバタ。デジャブ感がすごい、ほぼ前回と同じ。

荷物山盛りでぎゅうぎゅう詰めの車が薄暗いサイゴンを後にしたのは夕方6時過ぎ。

夜の高速は去年ほどガラガラでもなく、懐かしいような何とも言えない気分に浸りながら、娘としりとりを続けること数時間。前回よりも悲しくないのは、慣れ?諦め?

ブンタウに着いたのは夜8:30。

検問があると散々ベトナム人スタッフに脅されていた夫は気が気でなかったらしい。結局なかったけれど。

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とにかく無事にブンタウに着き、車から降りて背伸びをする。腰とお尻が痛い。

やれやれとホッとする暇もなく、荷物を下ろしているとマンションのバオベー(警備員)達に取り囲まれる。

そうそう、この感じ。去年と同じ。

こんな時にホーチミンから来るなんて。そう非難されても仕方がない。ホーチミンは昨日31日に首相指示15号が出されたばかり。一部地域(ゴーバップと12区)はもっと厳重な16号でロックダウン、つまり封鎖されている。

ホーチミンの何区から来た?ゴーバップではあるまいな?

ここに来る前に、健康申告をするように言われていて、大家さんにそれを送ったので登録は完了しているはずだ。その旨を伝えたけれど、本当に大丈夫なのか?と顔を見合わせるバオベー達。

そこへ連絡を受けた管理人が登場。ベトナム語で事情を説明し、一人一枚書類に記入をすればいいと告げられる。渋々了承するバオベー達。明らかに歓迎されていないムードの中、書類を書き上げる。早く書き終えて、部屋に入りたい。

名前、生年月日、パスポート番号や住所の他に、

・移動手段

・14日以内に咳や発熱等の症状はなかったか

・そのような症状が出ている人に会わなかったか

・野生生物に触れたり、それらが売り買いされているマーケットに行ったか

…などなど。

諸々書き込んで手続きは終了。晴れて入居可能、、、のはずだが、周りの視線が痛い。

お呼びでない?こりゃまた失礼しました!

そう言ってささっと視界から消え去りたい。できることなら、このままホーチミンに引き返して欲しい。

荷物運搬用エレベーターに乗り込む。シーンと静まり返ったエレベーターホールにゴロゴロとトランクのタイヤの音が響き渡る。同じフロアの人達が聞き耳を立てているようでドキドキする。

部屋のドアの前に来ると、早く開けたいような開けたくないような複雑な気分。今年の部屋はトイレ臭がキツくないはず!前回よりもいい部屋だと聞かされていたけれど、期待をすると裏切られる。そう、ここはベトナム。落ち着いて、落ち着いて。

思い切ってドアを開けると、あぁやっぱり、送ってもらっていた写真とは違う。あんなにキラキラしてるわけないよね。でも、臭くない!大丈夫!住める!

またブンタウ生活が始まったか…と何とも言えない気分になりながらも、荷物を運び入れ、ドアを閉める。と同時に、どっと疲れが。無事に着いた、それだけで今日は良しとしよう。部屋の掃除をさっと済ませて、明日からの生活に備えねば。

初日はこうして、バタバタと慌ただしく過ぎて行ったのでした。


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