ザ・マッチング 怪力の人間と待ち合わせする男
さて昨今マッチングアプリが隆盛、ここでつい「iスタービーチ」や「エキサイトフレンズ」など昔話をしてしまいがちですが、わたしは「初めてPHSを手にした1996年、まず自分の電話番号に似てる電話番号に適当に電話してみた」話をしようとしています。こんばんは!インターネットでも書いてはいけない話を書くのはやめましょう!ギャアアアーッギャアアアー(インターネットでは言えない話、を話し合う会の開催が待ち望まれている昨今であります。)みなさん待ち合わせしていますか?
待ち合わせ──特に顔も知らない人との場合、あなたはさぞかしドキドキしていることでしょう。あの興奮はたまりませんよね。何を隠そう、わたしはしょっちゅうめちゃくちゃ待ち合わせしてドキドキしています!その数通算えーと年に120回あるとして30年(現場歴)…
おれは3600回待ち合わせをしたことがあります。作業員と
さあ、まずみんなバーバリアン(野蛮人)…揃いも揃って怪力だ…怪力の作業員と待ち合わせをしている…みなさん、そんなの全然ドキドキしないと思いますか? 否! この胸のときめき 溢れる想いを みなさんに知っていただく事でわたしの苦労をみなさんに強制的に押し付けられたらいい~できればみなさんももっと待ち合わせをしてほしい~と思うのであります。
まず、いよいよ作業員が現場で働きますという時の現場エントリー方法には何パターンかあって
①現場入り口で待ち合わせ
②駅で待ち合わせ
③会社で待ち合わせ
④コンビニで待ち合わせ
その他 家まで迎えに行く、謎のハイエースに乗るなど
それぞれのエピソードまで書いてたら【特集 現場に入る】で週刊プレジデントが書けるのでとにかく待ち合わせ!待ち合わせです。現場内まで直接入って来てしまうのは悪手。わたしはそのせいで、午前中全然関係ない型枠大工の手元をずっとやらされていたうえ日当半分にされた事があります。キャリアを積んでなんかの責任者になったらしめたもの。あなたのマッチングアプリ生活がスタート!最近の派遣型作業員はアプリで管理されてるみたいだしね。
CASE1 現場の前で待ち合わせした60代男性
「今日も待ち合わせか…」そんな日はいつもより早く現場に行かなければならない。自分の身仕度、仕事の準備、作業員受け入れの段取り、書類の整備など済ませたうえで待ち合わせ時間に所定の場所に行く。そしてバックレられる時もある…だがそんな時、怒りよりもホッとした感情が湧いてくるようになったら一人前だ。人を安全に効率的に働かせることは、自分が働くより何倍も大変だということが分かっているのだから。
「あれは…?」
早朝、駅から現場へ向かう道すがら、わたしはリヤカーを引いている、ドンゴロスのような、ヘルメットを被った人物を確認した。追い越すときにリヤカーを確認すると、毛布やポットやラジカセに混ざって左官バケツ、つるはし、角スコなどの建築土工の道具が確認できた。
「土工さんの夜逃げかな 大変っすね」
わたしは現場に着いた。
さあいよいよ待ち合わせ時間だ。くぐり戸まえに7時15分。そこにはまさかのさっきのドンゴロスがいた!
「(とんかつ本名)さんかい?おれはドンゴロスだ。」
リヤカーがでかすぎて現場のくぐり戸に入らねえ!
ド「この現場、泊まってもいいかい?」
と「ダメです。」
CASE2 milk man
真夏、駅で待ち合わせ。時間通りに現れた50代男性と、現場への遠い道すがら作業内容の説明をしていると
「すみません、まだ着かないんですかね!?もうちょい急いでもらえませんかね!」
と明らかにイラついた様子で言われた。
「全然仕事間に合いますけどどうかしました?」と言うと
「いや牛乳腐っちゃうんで!!」
と言われた。
おっさんは現場に着くや否やリュックから1リットルのパックの牛乳を次から次へと6本取り出し「この現場冷蔵庫ないんですかね!!」と怒鳴った。
おっさんは昼めしの時間に牛乳4本をゴップゴップと一気飲みしていた。(あと2本は10時と15時にそれぞれ飲んでいた。)
CASE3 Winter tale
2023年1月、混みあう駅の改札前で待ち合わせ。40代男性とのこと。本当に寒い日だった。人々は誰もが暖かいコートやダウンジャケット、マフラーなどを身に付けていた。するとその雑踏の中に、白い半袖Tシャツを袖まくりして肩をあらわにし(日向小次郎スタイル)、短パン、いやホットパンツ、大きなリュックを背負い野球帽をわんぱく被りした40代くらいの男性がいた。悪い予感がした。「まさかあいつじゃねえよな…」
一際目を引くその男性は改札で一回引っ掛かり再度スイカを押し当て通過。すぐさまホット・パンツのポケットから携帯を取り出しどこぞに電話を始め──わたしの携帯が鳴った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
──「寒く、ないんですか?」
現場へと向かう道すがらわたしは尋ねた。
「はい。」
その声はやけに甲高く、またギターエフェクターのコンプでもかかっているかのように鼻が詰まっていた。
CASE4 ニューシネマ・とかげ
最近の話 作業中にも待ち合わせがある。着任したばかりの現場で、ある業者がある作業で困っていて助けてあげて欲しいと監督に頼まれた。「B1のX44Y8sに行けば○○工業の山田さんって方が待ってますんで。」まだ全然慣れてない現場なのに、かつてない広大な敷地面積。こっちが助けて欲しいよ!えーとここがX44でYが…と歩いていると、ちょっと先のところに、ヘルメットを被った男性が、両の手のひらを胸のところで結び、満面の笑顔で立っていた。わたしは小走りで接近した。
「あ お待たせすみませ~ん(とんかつ社)です。」すると、
「とかげつかまえた。」
両の手のひらを胸のところで結んだ男性は、ちょっと手のひらを開いてそのトカゲを見せてくれた。それは黒光りする肌に所々黄色い斑点が覗く、10cmぐらいの立派なトカゲだった。
「入れ物ねえかな~」
「ケースかなんかねえかな~」
そう言うと男性はどこかに歩み去って行った。
ちなみにその男性は○○工業の山田さんではなく全然関係ない人で、○○工業の山田さん本人は結局その場所には来なかった。
CASE5 Beyond the cemetery(墓地の彼方に…)
恵比寿駅前の某ビルの現場入り口にて20代男性と夜勤の待ち合わせ。季節は冬。この時期は大学生がアルバイトで現場に来ることが多い。終電後の作業になるので待ち合わせ時間は23時。
「おっバックレか?」
待ち合わせ時間を過ぎても姿はなく電話連絡もない。彼が所属している派遣会社から番号を聞いていたので電話するも出ない。
「まあいいか…」わたしは作業を始めた。
深夜2時、わたしの携帯が鳴った。今日バックレた彼の番号だった。
「はい(とんかつ本名)です。」
「すみません(派遣)なんですけど!!」
なんか半ギレだ。
「ずっと23時から待ってるんですけど!!」
「─何いまどこ?」
「言われた住所のとこに来たんですけどなんか墓地のど真ん中なん」ガチャ ツーツー
電話をかけ直したらつながらなかった。
完
ね 待ち合わせってドキドキするんですよ 相手が誰であれね 頼むから普通の人来てくれ!ちなみにまだまだエピソードがあるんですが
CASE6 200人
CASE7 小さすぎる
CASE8 ドクター・ストレンジ
はちょっとインターネットでは言えない話になっていますんでぜひインターネットでは言えない話を話し合う会の開催を希望します!
つづく
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