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ランプの石 

2024年1月6日公開 こちらの記事は2019年3月12日に執筆したものです。
今年も沢山の旅をできると良いなとの思いを込めて以前の旅ブログに加筆
しています。

イスタンブール、サンフランシスコ、マイアミロスアンジェルス、ニューヨーク、香港、台北。
今年になって旅をした都市は7箇所。
ここ何カ月かブログが書けなくなってしまいご心配をおかけしました。
その理由は忙しい毎日を送る私には無縁と思っていた
まさかの更年期障害。。。
兎に角、集中して長い文章を書く事が出来ない。今まで大好きだった読書も出来なくなり自分でも驚いてしまいどうしよう?と思いデザインやお仕事のインスピレーションを求めて昨年よりも多くの旅をする事にして
気分転換をしました。

様々な都市で何十年も会っていない子供時代からの友人に会って話したり、新たな人との出会いで随分とリフレッシュしてまた元気を取り戻すことができました。今回の旅で得た不思議なお話や楽しいお話を少しづつ

皆さんとシェアできたらと思います。

7つの都市の旅の始まりはイスタンブール。

京都の仲良しの骨董商のSさんからご紹介された
絨毯屋さん。
トルコで代々カーペット商を営みお祖父様が日本に一番最初にキリムを紹介したAltuntas商会のCihanから聞いたお話です。

楽しいお話は全て日本語で聞かせて頂きました。
出入りしていた日本からの貿易商の方から今度来たときに日本語を話せたらお菓子をあげる!と言われてお菓子欲しさに12歳のときには日本語で夢を見るほどとなった彼の日本語はほぼ完璧。

Cihanのお母さんの出身地、トルコ南部のアンタルヤ。
山に囲まれ切り立った海岸線の美しいその地は今では海の青さからターコイズコーストと知られ、飛行機でイスタンブールからすぐに行ける高級リゾート地として有名ですが、彼女の幼少時代には何もない山に囲まれた田舎でした。

当時の都会とのアクセスは年に数回来る地方を巡回する政府の役人のみ。
その彼女の育った田舎の旧家には裏山があり、古い時代に人の住んだ形跡のある洞窟があるそうです。
幼い時代の彼女にとっての洞窟は格好の遊び場。
ロウソクを持って暗い洞窟に入り、近所の子供と隠れん坊をしたり、探検ごっこをしていたそうです。

ある日のこと、驚くほど輝く石を岩陰から見つけた彼女はその石を家に持ち帰り、家族に見せたところ家族もその光り輝く石に魅了され、窓際にその石を置き、月の光を集めキラキラと輝くその石をランプの石と名付けて毎晩その光り輝く石を楽しみながらチャイを飲んだり家族の団欒の話題の中心にしていました。

あまりにも輝く不思議な石。
その石が何の石なのか確かめて見たいと思った彼女の父親はランプの石を一年に数回来るお役人さんに預ける事にしました。

しかしながらその時を境にランプの石もお役人も消えてしまい二度と見ることは無かったそうです。

大人になった彼女は結婚後、イスタンブールに移り住み、トプカプ宮殿を訪れました。

トプカプ宮殿の入り口



宝物殿で通称”スプーンのダイヤモンド”を見た彼女は絶句。

少女時代に洞窟で見つけたあのランプの石と全く同じ形の石だったのです。

86カラットの巨大な涙型のローズカットを施されたスプーンダイヤモンドはトプカプ宮殿の宝物殿にある最も高価な展示物。
通称”スプーンのダイヤモンド”と呼ばれるダイヤモンドにはこんなストーリーが残されています。昔、昔イスタンブールの漁師が海岸で光る石を拾い、大喜びで町の宝石商のもとへその石を持ち込みます。

あまりの大きさにその光る石をガラス玉と判断した宝石商は漁師のがっかりした姿に同情し、大きな光る石と3本のスプーンと交換します。
その後その光る石はトルコの知事の手に渡り、トルコ政府が買い取りトプカプ宮殿の宝物殿に現在では収められています。

このスプーンダイヤモンドにはもう一つ同じ大きさの石が存在するという噂があるそうです。

アンタルヤは紀元前150年前にベルガモン王国のアッタロス2世が強大な海軍の基地としてアッタリアと名付けた土地として信じられアッタロス3世の死後の紀元前133年、共和政ローマの版図に入り繁栄を迎えます。

2世紀、キリスト教が及び、パウロがこの地を訪問したことも使徒行伝に記されています。
西暦130年にローマ皇帝ハドリアヌスの訪問を称えて建てられたハドリヌアス門が現在でもローマ時代の遺跡としてアンタルヤには残っています。

今でもCihanのお母さんは”ランプの石”のことを思い出してはとても悔しそうにその輝きの思い出話をするそうです。

トプカプ宮殿の財宝の目玉とも言える”スプーンダイヤモンド”
86ctもあるそうです。


トルコ アンタルヤ 今ではターコイズコーストと呼ばれる海の青さが美しいリゾート地です。


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